使いどころが難しい「浅学非才」の意味と「浅学菲才」を使用した例文

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

ビジネスの場面では、時折耳慣れない表現に戸惑うことがあります。その中には四字熟語を用いたものも多く、「浅学非才」もそのひとつです。使いどころも難しいこの表現について、例文を交えて解説します。

浅学とは

学問や知識、教養の程度が浅いこと。またそういう人のことを指す言葉です。第三者のことを指すのではなく、主に自分のことをへりくだる謙遜の語として用います。

浅学非才とは

浅学非才の意味

「浅学非才(せんがくひさい)」とは、学問・知識が浅く未熟で、才能が劣っているという意味です。「浅学」と同様に、自分の事を謙遜して言う場合に用います。

「浅学菲才」とも書き、もともとはこちらの表記でしたが「菲」が当用漢字にならなかったために「非」の字で表記されるようになりました。

「菲」とはかぶらに類する野菜のことですが、粗末な食事のことも表す表現でもあり、転じて「うすい」「少ない」「劣った」という意味で用い
られています。

なお、「浅学非才」の対義語は「博学多才(はくがくたさい)」です。

浅学非才の類語

類語の四字熟語

いずれも「浅学非才」と同様に、自分の事をへりくだる場合に用います。

浅学寡聞(せんがくかぶん)
学問・知識が浅く、実際に見聞きした経験が少ないこと。
浅学短才(せんがくたんさい)
学問・知識が浅く、才能がないこと。浅学非才とほぼ同義。
浅識非才(せんしきひさい)
修業が足らず学問・知識が浅く、才能に欠けること。
浅知短才(せんちたんさい)
あさはかな知恵と、才能が乏しいこと。

その他の類語

その他の類義語は以下の通りとなります。

・無知な
・見識のない
・知識のない
・学の浅い
・学識のない
・教養のない
・見識の浅い
・若輩者
・未熟者
・勉強不足
・不勉強
・経験不足

浅学・浅学非才を使用する際の注意点

この表現を用いるにあたっては注意が必要な場合があります。

「浅学非才」は自分の事をへりくだって述べる言葉ではありますが、「もともと能力がある人が謙遜している」とも受け取れる表現です。自身が本当に知識・学識の浅い場合や、相手に対して自身の身分が低い場合には、この言葉を用いるのは避けた方が無難です。

この手の「自分を下げて相手を敬う」表現は、謙遜したつもりが、かえって「慇懃無礼(言葉や態度などが丁寧すぎて、かえって嫌味や無礼な態度にとられてしまう様子。)」な印象を与えてしまうこともあるためです。

ビジネスの場でも年代によってはあまり一般的な表現ではありません。特に20~30代の若手の方はこの言葉を無理に使おうとする必要はないでしょう。迷う場合は他の言葉(「未熟者」「若輩者」「経験の浅い身」など)に言い換えた方が誤解を招かずに済みます。

浅学・浅学非才を使用した例文

発表の場で冒頭の挨拶をする場合

浅学非才の私に、このような発表の場をいただき、心より御礼申し上げます。

独立・開業・異動などにともなう挨拶をする場合

浅学非才の身ではございますが、〇〇店の店長として、地域の皆様に愛される店づくりができるよう鋭意努力して参りますので、これからもご指導ご支援賜りますよう心よりお願い申し上げます。

昇進・任命などを受けた際の挨拶をする場合

本案件の責任者として任命していただきましたからには、浅学非才を顧みず、皆様の期待に応えられるよう努めて参ります。
もとより浅学非才の私ではございますが、社業発展のためにたゆまず努力して参る所存でございますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
前任者に比べ浅学非才で未熟な身ではございますが、精一杯努力して参りますので何卒ご支援のほど、よろしくお願い申し上げます。

浅学菲才についてのおさらい

ビジネスの場における「浅学非才」という表現は、「学問・知識が浅く未熟で、才能が劣っている」という意味で自分をへりくだる表現ですが、「もともと能力のある人が謙遜している」とも受け取れるなど、使いどころが難しい表現です。

昇進や社長就任の挨拶など、すでに能力も立場も高い人が使うのに適した表現であると言えます。

言い換えられる表現は数多くあるので、使い方に迷う場合は、別の表現に置き換えて用いるとよいでしょう。