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この記事では、「庭師」の仕事内容、資格、年収、勤務体系、将来性などについて考察します。
「庭師」と聞いてどんな仕事をイメージするでしょうか?なんとなく雰囲気はわかっても具体的な仕事内容までは理解している方は少ないでしょう。
「庭師」は、日本庭園には欠かせない職人です。この記事を通して、「庭師」の仕事内容や資格、将来性などを理解し、職業選択の参考にしてください。
庭師とは
庭師は、「庭を造る」職人のことで、庭石を並べたり、樹木を剪定したりして、トータルに空間を作り上げます。つまり、庭をひとつの造形空間としてとらえ、設計・施工・製作をするのが、庭師の仕事。一般的には「造園業」と呼ばれるジャンルの仕事をする職人です。
日本には古くから庭園があり、枯山水で有名な龍安寺の石庭は今でも多くの方々に感銘を与えています。しかし、当時は庭師という職人は存在していません。お寺などの庭は僧侶が作っていました。
江戸時代になると、大掛かりな庭園が作られるようになり、将軍は「御庭師・御庭掛」と呼ばれる庭づくりや管理を専属でおこなう職人をかかえるようになったのです。日本三名園と呼ばれる、「兼六園」「偕楽園」「後楽園」も江戸時代につくられた庭園です。
明治時代になると一般の家庭でも庭を持つようになり、植木職人や石工が造園業を営むようになり、多くの庭師が誕生しました。
庭師の仕事内容
庭師の仕事は、主に個人宅の庭を造り、手入れなどの管理をすることです。また、公園やゴルフ場などの景観管理、オフィス街などの緑化のサポートなど、個人宅以外にも幅広い仕事が存在します。
個人宅の庭造りの場合は、まず、その庭の土の状態や日当たり、水の流れ、樹木や草の特徴などをチェックします。そして、それらをトータルに判断し、施工主と相談しならがプランを作成します。
庭師の仕事は外でおこなうものなので、天候に大きく左右されます。雨や雪が降れば基本的に休みになりますが、納期が迫っている時は雨の日でも働くことはあります。剪定などの業務だけなら1日で終わりますが、庭造りの場合は2週間から長いと1か月かかるケースもあります。
庭師と植木屋との違い
植木の剪定をする仕事といえば、「植木屋さん」をイメージする方も多いのでは?庭師と植木屋との違いは、植木以外のものを取り扱うかどうかです。庭師は、庭石、樹木や池、水路から芝など植木以外のものもトータルに扱い、庭を造るのが仕事です。
つまり、庭師の仕事の範囲の中に植木屋の仕事があると考えられます。庭師=植木屋ではありません。庭師は庭を作り上げるアーティストとも言えるでしょう。
庭師になるには
庭師になるには、特別な資格は必要ありません。但し、樹木や草木などに関する深い知識や空間デザインに対する理解力、さらには庭造り全般の技術力が必要です。これらを全て身につけなければ庭師としては認められません。
高校や大学・専門学校などで造園について学ぶ
庭師に必要な知識を学べる場所はいろいろあります。
例えば、高校の場合、園芸高校・農業高校の園芸科・造園科・土木科で学べます。大学や短大の園芸科や造園科、土木科もおすすめです。また、造園関係の専門学校もあるので、自分の状況に合った場所を選びましょう。
造園会社に就職する
高校や大学で学ばなくても庭師になることは可能です。造園会社に就職すれば、現場の仕事を手伝いながら、造園に関する知識を身に着けることはできます。「習うより慣れろ」という言葉のように、現場で学ぶのが一番近道と言えます。
造園会社によって、仕事の規模や内容が異なってきますが、真面目に経験を積み重ねれば庭師として仕事を任せられるチャンスは訪れます。
少数だが、公務員として働く道も
庭師には、公務員として働く道もあります.あまり募集は多くはありませんが、都道府県では、造園職(造園技術職・造園技師)の公務員試験を定期的に開催しています。それなりに難度の高い試験ですが、公務員として働きたい方はチャレンジしてみるのも良いでしょう。
庭師の就職に有利な資格
庭師になるのには特別な資格は必要ありませんが、実際に仕事をする時や就職に有利になる資格がいくつかあります。
造園技能士
「造園技能士」は、都道府県知事が実施する技能検定制度の一種で、造園に関する国家資格です。造園技能士には、1級・2級・3級があり、1級は厚生労働大臣から合格証書が交付されます。
試験内容は、学科と実技試験があります。学科は、「庭園および公園」「施工法」「材料」「設計図書」「測量」「関係法規」「安全衛生」から1級・2級で50問(100分)、3級で30問(60分)出題されます。
技術試験は、竹垣などの製作する作業試験と樹木の枝の部分を見て、その樹種名を判定する要素試験があります。造園技能士の平均合格率は、1級で25%、2級で40%となっています。
造園施工管理技士
「造園施工管理技士」は、国土交通省が管轄する国家資格です。屋上緑化・公園・庭園・道路緑化工事等、造園工事における適正な施工ために設置されました。1級と2級にわかれ、それぞれ四肢択一式の1次試験と記述式の2次試験があります。
四肢択一式は、土木工学等・施工管理法・法規から出題され、記述式は施工管理法から出題されます。試験時間は、1級の四肢択一式が4時間30分、記述式が2時間45分、2級の四肢択一式2時間30分、記述式2時間になっています。
合格率は比較的高い水準ですが、2016年の1級の合格率は53.2%と報告されています。しかし、年々難度が上がり、2020年では39.6%になっています。
樹木医
「樹木医」は、害虫や環境汚染によって病気にかかった樹木を診断する、「樹木のお医者さん」です。樹木医には、獣医師のような国家資格ではありませんが、財団法人日本緑化センターが主催する資格試験に合格しなければなりません。
また、受験するためには、造園業や農林業、国、地方公共団体の農林・緑化関係職員、大学および研究所の職員などの実務経験がトータルで7年以上必要です。さらに、樹木医の資格をえるためには、研修受講者選抜試験を受ける必要があります。
選抜試験は、樹木医が備えるべき一般教養と樹木医研修科目に関係する専門分野、高校卒業程度の生物の知識から筆記試験(択一式)が、樹木医としての総合的な知識や技術、文章力を判断する選択式の問題が出題されます。
選抜試験に合格すると、13日間の研修に入ります。研修では樹木や土壌、環境に関する学習と筆記試験が行われ、最後に面接で樹木医としての適性が審査されます。
庭師が主に勤める場所
庭師が勤務する場所は、主に造園会社です。造園会社は個人宅の庭をメインにしている小規模経営のところから公共事業をメインにしている大きな会社までさまざま。また、造園に強いか土木に強いかなど特徴にも違いがあります。
最近は、住宅周りのエクステリアなどの会社や住宅関連会社には造園部門を設けているところが増えてきました。このような会社も庭師の勤務する場所になります。
また、造園職の公務員として、まちづくりを手がけている庭師も少なからず存在します。
庭師の年収
庭師の年収は、勤務する場所によって異なりますが、造園会社の多くは中小零細企業ですから、初任給に関しては決して良いとは言えないのが現状です。平均で16万円から20万円ぐらいと言われています。
求人サービス会社の調査では、庭師の年収にバラツキがありますが、平均すると280万円前後と判断できます。一般的なサラリーマンの年収と比較すると低めであると言えるでしょう。
但し、庭師としての経験を積めば、当然年収もアップし400万円以上の年収をもらっている人も少なくありません。
庭師の勤務体系と休日
庭師の勤務体系は、勤務する会社によって規定が異なりますが、主に外でおこなう仕事なので、天候によって出勤日数がことなる場合も少なくありません。会社によって土日が休日になるケースと雨の日が休日になるケースとの2つに分かれます。
1日の仕事も日が明るいうちにおこなう作業なので、暗くなったら終了になり、当然冬場は作業時間が短くなります。
お盆の夏休みや正月休みは一般的な会社と同じぐらいの期間はあります。これは、施工場所の近隣に迷惑がかからないようにするためと思われます。
庭師の将来性
最近は、広い庭がある住宅が少なくなり、個人宅の仕事は減少傾向にあります。反面、環境問題が重視される中、公共や大型施設などの需要は高まっています。また、日本庭園に興味を抱く外国の方が増えています。
これは、整然と植木を並べた西洋の庭園にくらべ、自然を再現する日本庭園に魅力を感じることが理由と考えられます。庭師は、日本文化を継承するアーティストとして認められているのです。
伝統的な施設や大きな庭園の管理には、庭師が不可欠です。そういう意味では、庭師の仕事は継続的で、将来性は高いと言えるでしょう。
まとめ この記事のおさらい
- 庭師は、「庭を造る」職人のことで、庭石を並べたり、樹木を剪定したりして、トータルに空間を作り上げます。
- 庭師の仕事は、主に個人宅の庭を造り、手入れなどの管理をすること。
- 庭師になるのに資格はいりませんが、専門の高校や大学などで学ぶこともできます。
- 庭師として働くためには、「造園技能士」「造園施工管理技士」「樹木医」などの資格があると有利。
- 庭師が勤務する場所は、主に造園会社ですが、住宅関連会社の造園部門や造園職の公務員として働いている人もいます。
- 庭師の年収は、一般的なサラリーマンの年収と比較すると低めですが、庭師としての経験を積めば、当然年収もアップします。
- 庭師の休日は会社によって土日が休日になるケースと雨の日が休日になるケースとの2つに分かれます。
- 伝統的な施設や大きな庭園の管理には、庭師が不可欠ですから、将来性は高いと言えます。