ブリーダーの仕事内容とは|なり方や年収、向いている人などを解説

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この記事では、「ブリーダー」の仕事内容、なり方、年収、勤務体系、将来性などについて考察します。

今や「ブリーダー」という名前はよく耳にします。なんとなく犬や猫を育てる仕事というイメージはありますが、具体的にどのような仕事をしているのか詳しく知っている方は、そう多くないでしょう。

「ブリーダー」は、愛犬家や愛猫家にステキな出会いを与える仕事です。この記事を通して、「ブリーダー」の仕事内容やなり方、将来性などを理解し、ブリーダーに対する正しい知識を学んでください。

ブリーダーとは


「ブリーダー」とは、英語で「家畜や植物の交配・繁殖を職業とする人」のことです。日本では、主に血統書が付いた犬や猫の繁殖をおこないペットショップなどに流通させる仕事をおこなう人のことを意味します。

英語では、犬の繁殖をおこなうの「dog breeder」と猫の繁殖をおこなう「cat breeder」と明確にわかれています。日本の場合は、犬も猫も「ブリーダー」と呼びますが、一般的には犬のイメージが強いようです。

ブリーダーの仕事内容

ブリーダーの仕事は主に以下の4つに分かれます。

  • 計画的な交配
  • 血統書のある犬や猫にもさまざまな種類があります。繁殖や品種改良を行う場合には、それぞれの正しい知識を持ち、遺伝的な疾患などが生じないように計画的に交配をおこなうことが必要です。

  • 出産のサポート
  • 動物の出産も正しく世話をしなければ、難産になり赤ちゃんのも悪影響を与える危険性があります。ブリーダーは、母体の健康管理や栄養管理を正しくおこない、散歩などの運動をして体力づくりをサポートします。

  • 子どものケア
  • 生まれたばかりの子どもは、体が弱く、感染症などに罹りやすくなっています。衛生管理をしながら、常に子どもの状態を観察するのも、ブリーダーの大切な仕事です。また、産後の母親のケアも大切です。

  • 販売する
  • ブリーダーの収入は、子犬や子猫をペットショップやWebショップで販売して得る利益です。出産してすぐに販売できるものではありませんので、当然、売れるまできちんと育てるのもブリーダーの重要な仕事です。

「ブリーダー」と「ペットショップ」の違い

「ブリーダー」は、犬や猫を繁殖するのが仕事ですが、「ペットショップ」は、子犬や子猫を販売するのが仕事です。つまり、野菜でいうならば、ブリーダーは農家であり、ペットショップは八百屋さんです。

ペットショップで、子犬や子猫を自分のところで繁殖することはありません。ブリーダーの場合は、ペットショップへ販売するだけでなく、Webなどでも直接販売しています。最近の農家がWeb販売しているのと同じです。

ちなみに、欧米の場合、子犬や子猫はペットショップでは販売していません。子犬や子猫をガラスケースに入れて販売するのは、動物虐待とみなされているからです。ですから、ほとんどの場合、子犬や子猫は直接ブリーダーから購入しています。

ブリーダーになるには

千載一遇
では、ブリーダーになるにはどうすれば良いのでしょうか?特別な資格などを取得する必要はあるのでしょうか?

特別な資格や免許は不要

ブリーダーは、医師のように国家資格ではありません。ですから、特別な資格や免許は必要ありません。但し、ブリーダーとして開業する場合には、以下のような届け出と資格が必要です。

「第一種動物取扱業」の届け出

「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」では、「業として、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う場合は、営業を始めるに当たって登録をしなくてはなりません」と規定されています。

ブリーダーとして開業する際には、管轄の都道府県又は政令市の動物愛護管理行政担当部局に登録の申請をしなければなりません。

  • 「動物取扱責任者」の資格
  • 第一種動物取扱業を登録する場合、「動物取扱責任者」の資格を有している者を配属させることが義務付けられています。動物取扱責任者は、開業する本人でも問題ありません。但し、以下の条件をクリアする必要があります。

  1. 動物取扱業の種別に係る半年以上の実務経験又は実務経験同等の1年以上の飼養経験。
  2. 種別に係る知識や技術について1年以上教育する学校を卒業。
  3. 公平性・専門性のある団体がおこなった試験により資格を得ていること。

依然は、これらのいずれかがあればOKでしたが、2020年の動物愛護管理法の改定により、半年以上の実務経験又は1年以上の飼養経験は必須になっています。つまり、(1)+(2)もしくは、(1)+(3)が条件になります。

「実務経験同等の1年以上の飼養経験」は、ボランティアや師弟関係で飼養に従事した経験やアルバイトなどで動物取扱業に従事した経験です。判断基準があいまいな部分があるので、所轄の動物愛護センターなどで確認してください。

専門学校や通信講座で専門知識を身につける人も多い

動物取扱責任者の資格取得の条件のひとつ「公平性・専門性のある団体がおこなった試験により資格を得ていること」には、環境省が認めた「JKC愛犬飼育管理士・公認訓練士・愛玩動物飼養管理士・動物看護師・認定ペットシッター・トリマー」があります。

このような専門知識を学ぶには専門学校がおすすめです。また、通信教育もあり、ブリーダーを目指す方も多く受講しています。

ブリーダーに向いている人


動物が嫌いな人は、まず、ブリーダーには向いていませんが、単に犬や猫が好きだと言う理由だけでブリーダーという仕事を選ぶのはおすすめできません。ブリーダーという仕事に向いているかよく考えることも必要です。ブリーダーには以下のような人が向いています。

動物に対する愛情と責任感がある人

ブリーダーは、犬や猫を繁殖して販売する仕事ですが、一般的な商品と異なり、「命」を扱うしごとです。単にお金を稼ぐ手段ではありません。愛情を持って、ペットが欲しい方に健康な子どもを提供するという責任感が不可欠です。

常に子どもたちを観察して、様子が変なときには即座に対応できる人でなければ、ブリーダーには向いていません。

地道に世話ができる人

ブリーダーの仕事は、出産のサポートや産後のケア、食事や清掃、散歩などこまかな作業がたくさんあります。これらのお世話が苦になるようでは、ブリーダーの仕事は長続きしません。

自分の子どものように、愛情を持って世話ができることがブリーダーに求められます。子育てが好きな方にはおすすめの仕事と言えます。

向上心のある人

犬や猫に関しては、学校だけで得られる知識や情報には限りがあります。より良く育てるためには、常に新しい知識や情報を入手する必要があります。習った知識だけで満足しているような人は、良いブリーダーにはなれません。

常に向上心を持ち、新しい知識や情報に敏感であることが大切です。また、積極的にブリーダー仲間とコミュニケーションを図り、良い血統などの情報を得る努力も必要です。

ブリーダーが主に勤める場所


飼育数が100頭を超えるようなブリーダー業を営む会社もありますが、このような大きな会社はごくわずかで、ブリーダーの多くは個人経営か副業としておこなっている人のようです。

また、ペットショップで経験を積み、独立開業する人もいます。

ブリーダーの年収


ブリーダーの多くは、個人経営や副業なので、正確な年収に関するデータはありません。ブリーダー会社に勤務する場合は、基本的に中小企業の年収が基準になります。厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査の概況」から算出すると以下のような年収になります。

企業規模 平均年収
大企業(従業員1000人以上) 約450万円
中企業(従業員999人~100人) 約409万円
小企業(従業員99人~10人) 約375万円

多くのブリーダーの場合は、個人経営や副業です。この場合の年収は、ペットショップに販売した金額から飼育費を引いた金額になります。

ここでは、10頭の母犬を飼育する例で考えてみましょう。

犬の場合、発情期が年2回で、一回の出産で産まれるのは、4頭~6頭です。1回で4頭出産したと仮定して、年間で8頭、母犬が10頭ですから、80頭の子どもが誕生することになりますが、一般的には60頭ぐらいが平均になります。

ペットショップに販売する場合、ショップでの販売価格の10%~20%が相場。店頭価格が10万円なら1万円~2万円で売り渡すことになります。1頭あたり2万円でも、年間の収入は120万円です。

この売上から、交配・出産費用やエサ代・ワクチン代などのさまざまな経費を差し引いたのが年収になります。つまり、ブリーダーとして生活するには、頭数を増やすか、ペットショップなどを通さずにWebなどで直接販売するのがベストです。

そのためには、ドッグショーやコンテストなどに出場して、多くの人々に認められるような努力が必要です。このようなトップブリーダーになれば、高額な収入を得ることも可能です。

また、安定的な収入を得るために、ペットホテルやトリミングサロンを併設しているブリーダーもいます。

ブリーダーの勤務体系と休日


ブリーダーの多くは、個人経営や副業です。また、犬や猫を世話するのに勤務時間も休日も関係ありません。365日24時間、だれかが世話をする必要があります。まさに、人間の子育てと同じで、ラクな仕事ではありません。

個人経営や副業が多いのは、自分の生活圏でできる仕事だからです。常に近くでサポートできることが重要です。

ブリーダーの将来性


ペットブームは相変わらず継続し、特に子犬や子猫の人気は衰えません。ブリーダーの需要も高まっていますが、反面「悪徳ブリーダー」の問題も表面化して、ブリーダーに対する目は厳しくなっています。

最近では、ペットショップでなく、ブリーダーを紹介しているサイトなどから子犬や子猫を購入する人が増えています。これは、ペットがどのような環境でどうように育てられたかを判断してから購入するという傾向が強くなっている証です。

これらのニーズに応えるためにも、ブリーダーとしての知識やスキルを磨くことが大切です。そうすれば、将来性は大いに期待できます。

まとめ この記事のおさらい

  • 「ブリーダー」とは、英語で「家畜や植物の交配・繁殖を職業とする人」のこと。
  • 日本では、主に血統書が付いた犬や猫の繁殖をおこないペットショップなどに流通させる仕事をおこなう人のことを「ブリーダー」と呼ぶ。
  • ブリーダーの仕事は、「計画的な交配」「出産のサポート」「子どものケア」「販売」の4つ。
  • 「ペットショップ」は、ペットの販売が仕事で、子犬や子猫の繁殖はしない。
  • ブリーダーになるには特別な国家資格は必要ないが、開業するためには「第一種動物取扱業」の届け出と「動物取扱責任者」の資格が必要。
  • ブリーダーには、「動物に対する愛情と責任感がある人」「地道に世話ができる人」「向上心のある人」が向いている。
  • ブリーダーの多くは個人経営か副業としておこなっている人。
  • ブリーダーの正確な年収に関するデータはなく、会社に所属している人は、中小企業の年収ぐらいと推測される。
  • ブリーダーに、勤務体系や休日はない。
  • ブリーダーとしての知識やスキルを磨けば、将来性は大いに期待できる。