行雲流水|読み方・意味・使い方・類語・対義語などを解説

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ここでは「行雲流水」という四字熟語について解説します。「行雲流水」は古代中国発祥の四字熟語です。一般にはなじみ深い言葉ではありませんが、実は人気ゲームの技や武器の名称としてゲーム好きな人はよく知っている言葉でもあります。

そこでここでは「行雲流水」の意味や使い方、語源や類義語・対義語から英語表現に至るまで多角的に解説いたします。「行雲流水」をご存じない方はもちろん、言葉だけはゲームで覚えたという方にとっても、ためになる内容です。ぜひお読みください。

「行雲流水」の読み方・意味・使い方


「行雲流水」は「こううんりゅうすい」と読みます。意味は、空を行く雲や流れる水が片時もとどまらないように特定の事物にこだわらず自然の成り行きに身を任せて行動することをあらわします。

ちなみに禅宗の修行僧を「雲水」と呼ぶのも「行雲流水」が語源。「雲水」が修行で諸国を行脚することを「行雲流水」にたとえました。さらに禅の教えで「欲や執着を捨て無欲に生きることで苦悩から解き放たれる」という意味も含まれています。

ゲーム界でも「行雲流水」は人気の言葉で、ドラゴンクエストではテンションを維持したり高めたりする特技。「モンスターハンター」では攻撃用の太刀の名称になっています。ただし、いずれも「行雲流水」の本来の意味は反映されていません。

「行雲流水」の語源

「行雲流水」は古代中国の文豪、蘇軾(そしょく)が記した「謝民師推官与書(しゃみんしすいかんにあたうるしょ)」の一節「作文如行雲流水 初無定質 但常行於所當行 止於所不可不止」が語源とされています。

意味は「文章を書くには行雲流水のように定型にこだわらず、自然と行きつく所に行き、止まった所で止まることだ」という蘇軾の文章哲学をあらわします。

「行雲流水」は良い文章を書くための秘訣をわかりやすく教えるために蘇軾が示した比喩表現から単独の故事成語になりました。それがやがて「成り行き任せの生き方」を意味する四字熟語に変化したものと考えられます。

「行雲流水」のビジネス上での使い方


「行雲流水」は一般にはほとんど知られていない難解な言葉です。ビジネスシーンでも使う機会は多くありませんが、行雲流水が持つ「自然に任せる」「定型にこだわらない」「欲や執着を捨てる」などの意味はビジネスの教訓としても通用します。

たとえば大きなプロジェクトを任された部下が気負いすぎて失敗しそうなときには「行雲流水」を引き合いに出して「力まず、あせらず。自然体で行きなさい」とアドバイスするといった使い方ができます。

ただし「行雲流水」という語を知らない人も多いので、使うときは意味も合わせて説明しましょう。また、この言葉を知る人はゲームで覚えた可能性が高く、故事成語のつもりで話してもゲームの話と勘違いされる可能性があることも留意しましょう。

「行雲流水」の類義語と例文

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「行雲流水」には「一カ所に長くとどまらないこと」という意味と「自然体でのぞむこと」「ものごとに執着しすぎないこと」など複数の意味があります。

まず「一カ所に長くとどまらない」という意味の類義語としては、「一所不住(いっしょふじゅう) 」「樹下石上(じゅかせきじょう)」などをあげることができます。

「一所不住」は文字通り一カ所に定住しないこと。転じて、諸国をめぐり歩くことをいいます。「樹下石上」は「樹木の下と石の上」つまり山野と路傍のこと。転じて、家にとどまらず野宿をしながら異動する生活をいいます。

次に「自然体でのぞむこと」を意味する同義語では、「天衣無縫(てんいむほう)」があげられます。意味は「天女の衣には縫い目がないこと」。そこから転じて詩歌や文章が自然で作為的でないこと。性格が純真で天真爛漫なことをいいます。

前述したように「行雲流水」の語源は「謝民師推官与書」という文章作法の指南書です。「天衣無縫」の語源も詩歌や文章の論評ですから、「行雲流水」の本来の意味に最も近い類義語といえます。

最後に「ものごとに執着しすぎないこと」という意味の類義語には「雲煙過眼(うんえんかがん)」「自由闊達(じゆうかったつ)」があります。「雲煙過眼」は雲や煙が流れて視界から消えるように、何事にも執着しないことを意味します。

また「自由闊達」の「闊達」は度量が大きく、些末なことにこだわらないこと。「自由闊達」は自由でのびのびとして物事にこだわらない人柄や生き方をあらわします。

「一所不住」の例文

大学卒業後は就職せず、海外で一所不住の放浪生活を二年ほど経験しました。

「自由闊達」の例文

今回のプロジェクトでは部署や役職の壁を取り払い、全社一丸となって自由闊達な意見やアイデアを出し合っていただきたい。

「行雲流水」の対義語と例文

楽しいことがない
「行雲流水」の対義語についても「一カ所に長くとどまらないこと」「自由に生きる・自然体でのぞむこと」「ものごとに執着しすぎないこと」という三つの意味について考慮する必要があります。

まず「一カ所に長くとどまらないこと」の対義語としては「定雲止水(ていうんしすい)」があります。意味は文字通り、雲や水が停止している状態のこと。それが転じて、何事にも動じない、静かで達観した精神力の強さを意味します。

次に「自然体でのぞむこと」の対義語としては「頑迷固陋(がんめいころう)」をあげることができます。「頑迷」も「固陋」も「頑固なこと」を意味する同義語です。同じ意味の言葉を重ねることで、意固地で視野がせまいことを強調します。

最後に「ものごとに執着しすぎないこと」の対義語には「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」があります。意味は仏道の修行に身も心も惜しまないこと。そこから転じて、我が身を省みず死にものぐるいで物事に取り組むことを意味します。

「頑迷固陋」の例文

政財界の中枢に頑迷固陋な老人たちが無数に寄生していることが、この国にとって一番の問題だ。

「行雲流水」の英語表現

気楽な仕事
「行雲流水」を英語で表現する場合、直訳では「The clouds floating(in the sky) and the water flowing ( in rivers ).」といった表現が考えられます。

ただし、これでは「一カ所にとどまらない」「自由に生きる」「物事に固執しない」などの語意が伝わりません。

まず「一カ所にとどまらない」ことは「live a rootless vagabond life」「to be a wanderer」などと表現できます。

次に「あるがままに、自由に生きる」という意味では「Live freely」。あるいは「自分の気持ちに従って行動せよ」という意味で「Follow your heart」という表現も可能です。

最後に「固執しない」という表現は、「stick to~」「cling to~」など「~に固執する」という言葉の否定形で表現することができます。

たとえば「I don’t stick to results.」で「私は結果にはこだわらない」という意味になります。

まとめ

  • 「行雲流水」は物事にこだわらず自然の成り行きに身を任せて行動することを意味する言葉です。
  • 「行雲流水」はゲームの技や武器の名称としても知られています。
  • 「行雲流水」の類義語には「一所不住」「自由闊達」などがあります。
  • 「行雲流水」の対義語には「定雲止水」「頑迷固陋」などがあります。
  • 「行雲流水」の英語表現には「live a rootless vagabond life」「to be a wanderer」「Live freely」などがあります。