疑心暗鬼とは|意味・使い方・類語・対義語・英語表現と例文を解説

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この記事では「疑心暗鬼」の読み方や意味について解説いたします。

日常的にもよく見聞きする言葉だといえますが、その意味や使い方についてはよく分からないという人もいるかもしれません。

そこで今回は「疑心暗鬼」の使い方や語源、ビジネス上での使い方や類義語、対義語や英語表現も含めて取り上げました。

この記事の中で一つでも参考になるような内容があれば幸いです。

疑心暗鬼の意味・読み方・使い方

「疑心暗鬼」は「ぎしんあんき」と読み、「疑いの心があると何でもないことまで怪しく見える」という意味です。

疑いの心を持っていると物事に対して穿った見方をしてしまうことがあり、その結果何でもないようなことまで怖く感じてしまう様子を表しています。

また「疑心暗鬼」は大きく分けて以下の3つの使い方をすることが多いです。

・疑心暗鬼になる

・疑心暗鬼にさせる

・疑心暗鬼の状態

上記の使い方を用いた例文としては、下記のようなものが挙げられます。

・人から嘘をつかれるという経験が重なり、ついに彼女は疑心暗鬼になってしまった。

「疑心暗鬼になる」という表現は最もよく使われる言い回しだといっても過言ではないでしょう。

この例では、人から嘘をつかれるという経験を何度もした結果、彼女が人の言葉に対して疑いの心を持つようになってしまったということです。

・一番の親友だと思っていた人からの裏切りが、私を疑心暗鬼にさせた。

疑う心を持たせるようになることを「疑心暗鬼にさせる」と表現します。

今回は親友だと思っていた人の裏切りにより、人のことを疑う心を持つようになったと解釈できるでしょう。

・一度疑心暗鬼の状態になると、それを克服するのは容易ではないだろう。

何事に対しても疑いの心を持ち警戒している状態を「疑心暗鬼の状態」ということがあります。

周りの人達が「疑心暗鬼」を克服させようと善意の行動を取ったとしても、それに対しても疑ってしまう為克服するのが簡単ではないというわけです。

疑心暗鬼の語源

「疑心暗鬼」の語源は、中国の『列子』だといわれています。

この『列子』は、中国の思想家である「禦寇 (ぎょこう)」が著したものです。

また『列子』の中には自分の鉞(まさかり)がなくなってしまった男が登場し、その男は隣家の息子が盗んだのではないかと怪しみ始めました。

一度疑いの心を持つと、隣家の息子の顔つきや言動の一つひとつがまるで盗んだ者かのように見えてしまうのです。

そんな中しばらく経った後、男はなくした鉞を山で見つけました。

そして男が帰宅すると、隣家の息子が全く怪しく見えなくなったのです。

こうしたことから、疑う心があると盗んでいない人であっても怪しく見えるということが読み取れます。

この話は「これが疑心、暗鬼生ずというものだ」と喩えられ、次第に「疑心暗鬼を生ず」と略されるようになり、それが現在では更に省略され四字熟語「疑心暗鬼」が使われているというわけです。

疑心暗鬼のビジネス上での使い方

「疑心暗鬼」はビジネス上でも使われることがあります。

その使い方としては、例えば次のようなものが考えられるでしょう。

・支払いが何度も遅れるような取引先に対しては、疑心暗鬼になってしまうのも無理はないだろう。

ビジネスの世界で約束を守るというのは基本中の基本でありながら、かつこの上なく重要なことの一つでもあります。

支払いが一度ならず度々遅れるような取引先に対しては、「もしかしたら今後も支払いが遅れたり、最悪払ってくれないかもしれない」と疑う気持ちになっても無理はないでしょう。

・上司の度重なる朝令暮改の命令は、彼女を疑心暗鬼の状態にさせた。

「朝令暮改」は「ちょうれいぼかい」と読み、「朝に命令を出して夕方それを変えること」や「法令が出てもすぐ後から改められて、あてにならないこと」という意味です。

この例では上司の命令の内容が度々変わるので、彼女は上司の命令をどこまで信じたら良いのか分からなくなっていることが読み取れます。

疑心暗鬼の類義語と例文

「疑心暗鬼」の類義語としては、以下のようなものが挙げられます。

・猜疑心

・不信感

その他には「警戒心」等が該当するでしょう。

また上記の類義語を使うと、以下のような例文を作ることができます。

・彼は猜疑心がとても強く、周りの人の声にもなかなか耳を傾けない。

「猜疑心」の読み方は「さいぎしん」で、「人の言動を疑う心」という意味があります。

この例では、人の言動を疑う気持ちがとても強いので、周りの人の意見を素直に受け入れようとしないということです。

・政府に対して不信感があり、演説を聞いてもその内容を鵜呑みにすることは到底できない。

「不信感」は「ふしんかん」と読み、「信じていない思い」や「信用できない気持ち」という意味があります。

不信感を抱いている相手の言うことは、どれだけ良い内容であってもなかなか信用することができないということが読み取れるでしょう。

疑心暗鬼の対義語と例文

「疑心暗鬼」の対義語としては、下記のようなものが該当します。

・虚心坦懐

・明鏡止水

それ以外では「安心立命(あんじんりゅうみょう)」等も対義語です。

また上記の対義語を使った例文は以下のようなものが挙げられます。

・彼があれだけ人から好かれているのは、虚心坦懐に人と接しているからだろう。

「虚心坦懐」は「きょしんたんかい」と読み、「わだかまりがなく、さっぱりした心」という意味があります。

この例では、誰に対してもわだかまりがなくさっぱりした心で人と接しているので、彼は人気があるのだということです。

・明鏡止水の気持ちで試合に挑む。

「明鏡止水」の読み方は「めいきょうしすい」で、「よこしまなものが一切なく、静かに澄み切った心の状態」という意味です。

邪念をなくした状態で試合に挑もうとしていることが読み取れるでしょう。

明鏡止水とは|意味・使い方・類語・対義語・英語表現と例文を解説

疑心暗鬼の英語表現

「疑心暗鬼」を英語表現は「can’t help being doubtful」や「Suspicion begets idle fears」等で、以下のような例文が考えられます。

・I can’t help being doubtful for others.
(他人を疑わずにはいられない。)

「can’t help 〜ing」は「〜せずにはいられない」等と訳されることが多いです。

「疑わずにはいられない」ということは、どうしても疑ってしまうということで「疑心暗鬼」の英語表現として当てはまるというわけです。

・Suspicion begets idle fears.
(疑心暗鬼。)

上記の英文を直訳すると「疑い(疑心)が根拠のない恐怖を生じさせる」で、それが転じて「疑心暗鬼」と訳すことができます。

まとめ この記事のおさらい

  • 「疑心暗鬼」は「ぎしんあんき」と読み、「疑いの心があると何でもないことまで怪しく見える」という意味がある。
  • 「疑心暗鬼」には大きく分けて「疑心暗鬼になる」や「疑心暗鬼にさせる」、「疑心暗鬼の状態」という3つの使い方がある。
  • 「疑心暗鬼」の語源は中国の『列子』だといわれている。
  • 「疑心暗鬼」の類義語としては「猜疑心」や「不信感」といったものが挙げられる。
  • 「疑心暗鬼」の対義語には「虚心坦懐」や「明鏡止水」等がある。
  • 「疑心暗鬼」の英語表現は「can’t help being doubtful」や「Suspicion begets idle fears」等が該当する。