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この記事では、「僧侶」とはどういう意味かや、なり方、年収や勤務時間、将来性などについて考察・解説します。
人生において少なくとも数回はお世話になるのが、「僧侶」です。一般的には「お坊さん」と呼んでいますが、実際、「僧侶」とはどんな人でしょうか?
私たちの人生に大きな関りを持つ「僧侶」。この記事を通して、「僧侶」についての正しい知識を学んでください。
僧侶とは
「僧侶(そうりょ)」とは、俗世間から離れるために出家して修行している修行者のことで、「僧」や「お坊さん」とも呼ばれている人です。
狭義では、仏教の僧を指しますが、キリスト教の聖職者の意味でも使われました。
「僧侶」の語源は、古代インド語で仏教修行をする集団の意味である「僧伽(ソウギャ)」です。
ちなみに、「お寺」は日本古来のものではありません。古代インドで修業の場(サンガ)として使われていた建物が、お寺になったのです。
師となる優れた僧の説法を聞いたり、お経を読んだり、瞑想をしたり、自分を高めて悟りに近づく修行の場所だったのです。
僧侶とは何をしている人か
僧侶は、修行者ですから、普段の暮らしを全て修行の場ととらえています。大きな役割は、人々に仏の教えを使えることです。日本では葬儀やお盆などで仏教に触れることはありますが、日常生活では無縁なものになっている人が多いでしょう。
このような中、僧侶はお釈迦さまの教えを学び実践するものとしての役割を果たしています。
具体的には、葬儀や法要の時などに説法を説いたり、信徒の悩みや相談に乗ったりします。
また、日々のお勤めとして仏前で読経などをおこない、先祖の安穏と人々の無事をお祈りします。
葬儀やお盆などの時には、読経や説法だけでなく、会食をしたり、檀家を回り、読経をおこなうなど、さまざまな修行をしています。
私たちの生活の節々に関わっているのが、僧侶と言えるでしょう。
本名と僧侶としての名前は別の場合が多い
有名な女流作家の「瀬戸内寂聴」さんは、1973年に出家し、これまでの「瀬戸内晴美」から「寂聴」という法名になりました。
このように、僧侶には本名とは別に法名があります。しかし、宗派によって法名の在り方はさまざまです。
ある宗派では、得度式で法名を授かり、裁判所に「名前の変更」手続きをおこなって、法名が実名になる場合もあります。
但し、お寺に生まれた僧侶の場合は、本名を訓読みにして法名を音読みにすることが多いようです。例えば、本名が「良純(よしずみ)」なら、法名は「りょうじゅん」と読みます。
また、一般家庭で生まれた僧侶の場合、本名の1文字を法名に使う場合もあります。
「僧侶」と「住職」の違い
お坊さんのことを「僧侶」以外に「住職(じゅうしょく)」と呼ぶこともありますが、「僧侶」と「住職」の違いはなんでしょうか?
「僧侶」は、前述したように「俗世間から離れるために出家して修行している修行者」のことで、日々厳しい修行をおこなっています。
僧侶は職業的な存在ではなく、仏教の教えを守りながら生きている修行僧と言えます。
一方、「住職」は、お寺に住んでお寺の維持管理をおこなう僧侶のことです。お寺が宗教法人になっていれば、住職は代表役員になるので、当然職業として仏教に関わっていることになります。
「住職」は、一般的な呼び名ですが、正式な呼び名が宗派によってあります。
浄土宗では、「和尚」、浄土真宗では「院家・院住・御前・御院」、真言宗では「和尚・方丈・阿闍梨・僧正」などさまざまな「住職」の呼び名があります。
お寺によっては、「住職」ではなく「○○さん」と呼んでくださいと、正式呼称をアピールしているところもあるようです。
僧侶になるには
お寺に生まれた人でなくても、仏教に興味があり僧侶になりたいと思う人もいるはずです。
しかし、実際に僧侶になるためには、どうすれば良いのでしょうか?
特別な資格は不要
僧侶になるのには、特別な資格は必要ありません。学歴や年齢、性別や国籍に関係なく誰にでも僧侶になる道は開かれているのです。
最近では、日本の仏教に興味を持ち、修行をおこなっている外国人僧侶も登場し、大きな話題になっています。
「得度」を受けて「仏門」に入ることが必要
僧侶になるために資格は必要ありませんが、仏教の世界に入るための儀式である「得度(とくど)」を受けなければなりません。
得度とは、いわゆる「出家」のことで、剃髪し戒めを守ることを誓います。昔は、出家すると家族との縁を切らなければなりませんでしたが、現在は家族との縁を切らずに修行できます。
得度を受けたからと言って、僧侶になれるわけではありません。一人前の僧侶になるためには数々の修行を乗り越えなければなりません。
僧侶は普段でも朝は早いですが、見習の間は、4~3時に起床し、座禅やお経の練習やお寺の掃除、配膳の準備などをおこないます。
さらに、日中は僧侶としての振る舞いや技術を学び、空いた時間で仏教に関する勉強をします。
各宗派によって内容は異なりますが、所定の条件を満たせば、僧侶として認められます。
大学で仏教を学ぶ
僧侶になるもうひとつの方法は、仏教系の大学に進学することです。日本には数多くの仏教系の大学があり、仏教系以外の大学でも仏教を教える学部もあります。
卒業しても2年間ぐらいの修行は必要ですが、仏教に関する知識が豊富に学べるので、修行しながら仏教を学ぶ手間は省けます。
また、僧侶になるために仏教系の大学にはメリットもあります。
宗派によっては、僧侶として認められるためには「認定試験」が必要なところがありますが、系列の大学での専門課程を修了していれば、試験は免除されます。
さらに、大学に通うのが難しい人には通信教育もあります。仕事をしながら自分のペースで仏教を学べるので社会人にはおすすめです。
僧侶の年収
お釈迦さまの教えを学び実践するという素晴らしい仕事の僧侶ですが、収入的にはどうなのでしょうか?
僧侶でも住職でなければ、僧侶の仕事で収入を得るのは難しいでしょう。サラリーマンをしながら僧侶のアルバイトをしている人も多いようです。
日本の最大宗派浄土真宗本願寺派が2017年に実施したお寺の収入の調査結果では、以下のような年収分布になっています。
600~1000万円 17.6%
300~600万円 18.8%
100~300万円 23.1%
100万円未満 21.7%
300万円以下が全体の4割以上という結果が報告されています。つまり、寺の収入だけでは生活は決して楽ではありません。
葬式や法事だけでそれなりの収入を得るには、檀家などが300軒必要と言われていますが、実際には檀家も少なくなり、複数のお寺を持ったり他の職業を兼業している僧侶も多いようです。
但し、駐車場や幼稚園など多角経営をしているお寺では、年収1000万円以上のところもあります。
また、さまざまな工夫を凝らして人を集めているお寺も少なくありません。
どちらにせよ、お寺の経営はそう簡単ではないようです。
また、本山や大きなお寺に僧侶として雇われる場合もあります。給与に関しては場所によって違いがありますが、平均月収で15~20万円ぐらいのようです。
僧侶の勤務時間と休日
では、僧侶(住職)の勤務時間や休日はどうなっているのでしょうか?
一般的なお寺の場合、だいたい朝の6時には起床して身なりを整えてから開門します。
お経を読み、本堂の掃除や庭の掃除をおこない、8時ごろに朝食をいただきます。
午前中は、法事などがない場合、事務作業をおこない、午後は、檀家さんが来られた時はお話をしたり、塔婆を書いたりするのがお仕事です。
17時ごろには夕方のお勤めをし、18時には閉門して業務は終了になります。
しかし、僧侶の仕事はいつもスケジュールどおりにはいきません。葬儀はいつ入るかわかりませんし、法事が重なれば土日も仕事になります。
逆に葬儀や法事がない時は、比較的自由に時間を過ごすことも可能です。
僧侶の将来性
全国には約7万7千のお寺がありますが、その約4分の1に住職が住んでいません。
住職がいくつものお寺を兼務している状態で、檀家離れが進んでいます。
昔は、お寺の住職にさまざまな悩み事や相談事をするのは生活の一部になっていましたが、現在では葬式や法事以外に僧侶と接する機会はほぼありません。
今や、お寺との関係は大きく様変わりしています。葬儀の在り方も家族葬や葬儀をしないという人も増え、お寺の収入にも影響している状態です。
では、僧侶の将来性は期待できないのでしょうか?
従来のお寺とのような関係は薄くなってはいますが、死を避けることはできません。
檀家が少なくなっても、葬儀の需要は必ずあります。最近では、大手スーパーや百貨店などと提携して葬儀や法事を請け負うお寺も増えています。
葬儀や法事がなくなることはありません。時代に合った仕方を工夫すれば、可能性も大きく広がります。
また、楽しみながら仏教にふれてもらうイベントや気軽な座禅会などを開催しているお寺も増えてきました。さらに、若者を対象にしたアニメやロックなどで演出して人気を集めているお寺も登場しています。
つまり、工夫次第で僧侶の活躍の場は大きく広がります。
まとめ 僧侶についてのおさらい
- 「僧侶(そうりょ)」とは、俗世間から離れるために出家して修行している修行者のこと。
- 僧侶はお釈迦さまの教えを学び実践する。
- 「住職」は、お寺に住んで職業としてお寺の維持管理をおこなう僧侶のことです。
- 「僧侶」になるには、特別な資格はいりませんが、「得度」を受けて「仏門」に入ることが必要になります。
- お寺の収入は、300万円以下が全体の4割以上を占めています。
- 僧侶の勤務時間は朝が早く、葬儀や法事が入れば休みもありません。
- お寺の檀家の数は減少し、全体的には僧侶の収入は厳しい状態ですが、時代に合った方法で人を集めているお寺もあり、僧侶の将来性はやり方次第です。
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