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この記事では、「件」の意味や使い方、類語、英語表現について考察します。
「例の件、どうなっている?」などビジネス上で「件」はよく使われますが、「件(けん)」以外に読み方があるのをご存じですか?
異なる読み方が出た場合に困らないように、この記事を通して「件」の読み方の違いと意味や使い方などを理解してください。
「件」とは|意味・読み方・使い方
「件」の音読みは「けん」で、「件」の漢字を見たらほとんどの人は「けん」と読むでしょう。また、「件」の訓読みには「くだり」「くだん」があり、それぞれ意味が異なります。「件」には、この3つの読み方と意味が存在するのです。
読み方は「けん・くだり・くだん」の3種類を使う
ではここで、「件」の3つの読み方と意味を紹介します。
読み方① 「けん」
事柄。特に、問題となる特定の事柄のことについて言及する場合に使用します。一般的に「件」という漢字を見れば、「○○の件」のように特定の事柄をイメージするはずです。但し、「○○の件」を使う場合は、双方が「〇〇」についての共通した情報を持っていることが前提です。例えば、「先日のクレームの件はどうなりましたか?」と言われた場合、クレーム内容を知らなければ返答できません。
逆に、内容が知っていれば、「例の件どうなった?」だけでも理解できます。
また、「件(けん)」は、「一件、二件」のように数を後ろにつけて事柄や事件などを数える場合にも用いられます。時代劇などや刑事ドラマなどで「一件落着(いっけんらくちゃく)」というセリフはよく耳にしますね。
読み方② 「くだり」
「くだり」と読む場合は、小説などの長い記述の一部分のことを意味します。
「くだり」の同じ読みでは、「条」も使われます。「ひとつひとつの書き分けられた文」の意味で、一般的には「条項」「箇条」のように表現します。
また、「件(くだり)」には、「前に述べたこと」「例の」という意味もありますが、多くは「くだん」と読みます。
読み方③ 「くだん」
「くだん」は「くだり」が変化したもので、「前に述べたこと」「例の」という意味で使うのが一般的です。「件の資料」と書かれている場合は、「くだんの資料」と読みます。
では、「件の件」と書かれていたらどう思いますか?「変換ミス」と判断するかもしれませんが、「くだんのけん」と読み、「例の件」の意味になります。誤解を生じないように「くだんの件」と書く人も多いようです。
同じ漢字で意味も読み方も違う、日本ならではの表現ですね。また、日本には「件(くだん)」という妖怪がいるのを知っていますか?
妖怪の「件(くだん)」とは
頭が牛で体が人の妖怪が「件(くだん)」です。19世紀前半から主に西日本各地で目撃されたと伝えられています。その名前の由来には、中国の「白沢(はくたく)」という人面を持った獅子や「件」という漢字を分解すると「人」と「牛」になるから、などさまざまな説があります。
「件(くだん)」が最初に目撃されたのは、天保7年の丹後の国・倉橋山で、現存する瓦版にはその姿が描かれ「この件の絵を貼っておけば、家内繁昌し疫病から逃れ、一切の災いを逃れて大豊年となる」と「件(くだん)」は、めでたい妖怪として紹介されていました。
ところが、幕末になると瓦版に「出雲の田舎で件が生まれ、『今年から大豊作になるが初秋頃より悪疫が流行る』と予言し、3日で死んだ」と書かれ、「件(くだん)」が出現すると大きな天災に見舞われると言われるようになったのです。
第二次世界大戦中には、戦争や空襲の予言をしたなどと囁かれ、阪神淡路大震災や東日本大震災の時にも「件(くだん)」が出現したとの噂が流れました。
ちなみに、小松左京氏のホラー小説に「くだんのはは」という名作があります。戦争中の兵庫県芦屋市が舞台で、空襲で家を失った主人公がお世話になった屋敷で不思議な体験をします。奥の部屋で姿を見せない家主の娘。ある日、母親が部屋から戻ると「広島が大変なことになる」「もうすぐ戦争が終わる」と言ったのです。予言通り、広島に原爆が投下され、戦争が終わると、主人公は奥の部屋に行き、その娘の姿を見たのです。その頭には角が・・・。
「件(くだん)」を扱った小説は数多くあり、映画では、2005年の「妖怪大戦争」にも登場しています。それだけ日本には馴染みの深い妖怪と言えます。
「件」のビジネス上の使い方
ビジネスで「件」を使う場合は、主に「けん」か「くだん」の意味で使います。
・その後、新企画の件はどうなりましたか?
・先日のクレームの件は解決いたしましたので、ご安心ください。
・例の商品に関する不具合は、2件報告されています。
・海外からのお客様には、件の料亭が喜ばれるでしょう。
・件の会議内容に関しては、他言無用でお願いします。
・あのひときわ艶やかな女性が、件の人物の奥さまです。
「件」の類義語と例文
「件(けん)」「件(くだり)」「件(くだん)」によって、それぞれ類語が異なります。
「件(けん)」の類語は、「事」「事柄」「事項」「儀」などがあります。
自然または人事の現象。事柄。用件。例文
・あの事は、くれぐれも内密にしてください。
ものごとや内容の様子。例文
・例の事柄に関しては、取締会で検討しています。
ある事の一部分となっている事柄。例文
・新しく追加された例の事項には、いくつかの不備があります。
儀式、礼式。その件に関すること。事柄。例文
・「その儀なら、議論する必要はない!」と、父に一喝されました。
「件(くだり)」の類語では、「文言」「語句」「フレーズ」などがあります。
文章中の語句や言葉。例文
・広告のキャッチコピーには、購買層を刺激する文言が重要です。
文章を組み立てている、ひとまとまりの言葉。例文
・感情が高まると、彼はいつも同じ語句を繰り返し使っています。
まとまった意味を表わすひとつづきの言葉。句。例文
・英会話を上達させる近道は、日常よく使うフレーズをそのまま覚えることです。
「件(くだん)」の類語は、「例の」「あの」があります。
話して双方が知っている事柄や人のこと。例文
・例の企画は上層部も乗り気なので、早急に企画書を作成しましょう。
話しても聞き手も双方が知っていることをさす言葉。例文
・あのことに関する情報は、まだ憶測の域をでないので軽はずみな言動は控えてください。
「件」の英語表現
「件」の英語表現も「けん」「くだり」「くだん」で英訳が異なります。
「件(けん)」の英訳は、「matter」、「件(くだり)」は「一節・一句」の意味の「a passage」を使います。
また、「例の」意味の「件(くだん)」は、「the」をつけて表現する場合が多くなります。
(今回の件に関しましては、心より深くお詫び申し上げます。)
・He read a passage from the Bible.
(彼は聖書の一節を読み上げました。)
・The matter in question was settled.
(くだんの件は決着しました。)
まとめ この記事のおさらい
- 「件」には、この3つの読み方と意味があります。
- 「件」を「けん」と読む場合は「事柄」、「くだり」は「小説などの長い記述の一部分のこと」、「くだん」は「前に述べたこと」「例の」の意味になります。
- 「件(くだん)」という名の妖怪は、昔から大きな天災を予言するということで有名です。
- 「件(けん)」の類語は「事」「事柄」「事項」「儀」、「件(くだり)」の類語は「文言」「語句」「フレーズ」、「件(くだん)」の類語は、「例の」「あの」です。
- 「件」の英語表現は、意味ごとに「matter」「passage」「the」などがあります。