是非もなしとは|言葉の意味・使い方、類語・英語表現を例文付きで解説

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この記事では「是非もなし」の意味や使い方について解説いたします。

昨今ではあまり使わなくなってきている一方、知っている人も多くとても有名な言葉です。特に歴史好きな人にとっては関心が高い言葉かもしれません。

それでは「是非もなし」の意味や使い方について、一つずつ確認してみましょう。

是非もなしとはなにか

「是非もなし」は「ぜひもなし」と読み、「良いも悪いもない」や「仕方がない」という意味です。

「是非」は「善し悪し」や「心から願う様・強調する様」という意味で使われており、後者は例えば「是非お願いします。」のように後ろの文を強調する使い方をします。

更に分解すると「是」は「良いこと」、「非」は「悪いこと」を意味しており、その為「是非もなし」は上記のような意味になるのです。

是非もなしの使い方

「是非もなし」は「これはどうしようもない」というように諦めの意味で使われることが比較的多いです。
しかし「善し悪しを言うよりまずは目の前のことに対処しよう」と肯定的に使われることもあります。

どちらの意味でも使われ得る為、文脈に応じてどちらの心情なのかを汲み取ることが必要になるかもしれません。

また「是非もなし」は次のように使います。

・「新社会人とあれば是非もない。」(新社会人であるなら仕方ない。)

社会人としての常識やマナーが分からない等の事情も、新社会人であれば仕方がないと解釈できます。

・「お父さんが試験の合格を条件にしたのは是非もないことだ。」(お父さんが試験の合格を条件にしたのは仕方ないことだ。)

欲しいものをおねだりした際等に交換条件として試験の合格を提案されるのも仕方がないという意味です。

また「是非もなし」はビジネスの場でも使うことができますが、使い方によっては大変失礼にあたるので注意しなければなりません。

例えば次のような使い方を考えてみましょう。

・「その締め切りは御社で決まっていることなので是非もないです。」

締め切りが取引先内で決まっていることなので、(本当は不服だが)「仕方ない」というニュアンスに受け取られかねません。

このような場合は別の表現を用いる等した方が無難でしょう。

是非もなしの語源

「是非もなし」の語源は平安時代の「是非なし」といわれています。

「是非なし」は「是非もなし」の意味以外に「当然」や「ひたすら」という意味もありました。
しかし時代を経て「「良いも悪いもない」や「仕方がない」という意味で使われるようになったとされています。

また「是非もなし」は戦国時代の武将である織田信長の発した言葉としても有名です。
本能寺の変で織田信長は「是非もなし」あるいは「是非に及ばず」と言ったといわれています。

明智軍の謀反を受けた織田信長の状況を考えると、「良い悪いの判断に及ばない(戦うしか選択肢がない)」という心情だったと察することができるでしょう。

是非もなしの例文

「是非もなし」の例文としては、次のようなものが挙げられます。

・そのような面接官ともあれば是非もない。

面接で落ちてしまったのも、そのような(例えば圧迫面接をするような)面接官であれば仕方がないという意味です。

・締め切りを動かすことができない為、是非もなく徹夜で対応することになった。

例えばシステムトラブル等で作業が進まないということがあります。

そんな中でも今回は期限の延ばすことができず、「仕方なく徹夜で対応する」ことが必要だということが読み取れる文です。

・是非もなく対応せざるを得なかった。

突発的な仕事等で他に対応できる人がおらず、自分がしなければならなかった場合等に使用します。

是非もなしの類語

「是非もなし」の類語としては、次のようなものが考えられます。

・否応もない
「いやおうもない」と読み、「否も応もない」ということもあります。

「否」は「否定」や「同意しない」という意味があり、「応」は「肯定」や「同意する」という意味です。

「否応もない」と合わさることで「承知も不承知もない」や「好ましいことだろうと好ましくないことだろうと」、「有無をいわさない」という意味になります。

・やむを得ない
「止むを得ない」や「已むを得ない」と書く場合もあります。

「止む」(已む)は「今まで続いてきたことがそこで終わりになる」という意味です。

「得ない」は「できない」という意味があり、「やむを得ない」だと「そうするより他に方法がない」や「仕方ない」と解釈されています。

・選択肢もない
「選択肢」は「せんたくし」と読み、「質問に対して用意されている複数の回答」という意味があります。

「選択肢もない」は「選択肢」が「ない」ので「他に方法がない」や「仕方ない」、「選択の余地がない」という意味です。

類語の例文

先述の類語の例文として、以下のようなものがあります。

・子どもに手がかかるのは否応もないことだ。

子どものうちは自分でできないことも多く、ついつい手がかかってしまうものです。

しかしそれは当然のことで、手がかかったりそれに対して親が世話を焼くのは「承知も不承知もない」(当然のことだ)という意味だと読み取れます。

文脈によってはネガティブな意味でも解釈できますが、基本的には「子どもとはそういうものだ」とポジティブに捉えても問題ないでしょう。

・予算の関係でそのプロジェクトの終了はやむを得ない。

予算がどうしても捻出できず、これまで続けていたプロジェクトの終了も仕方がないという意味です。

予算とそのプロジェクトを継続することによるメリットを天秤にかけ、継続には至らなかったのかもしれません。

・一方的に契約の停止を決められては選択肢もない。

契約は双方の同意によってされるものですが、今回は取引先から契約停止を言い渡されたことが分かります。

先方が契約しないと言っている以上、受け入れるしかないという状況です。

是非もなしの英語表現

「是非もなし」を英語で表現すると、次のようなものが挙げられます。

・cannot help 〜 (〜せずにはいられない)

・There is no help for 〜 (〜はどうしようもない)

また上記を使った例文としては以下のようなものが考えられます。

・I cannot help studying hard before the exam.
(試験前には必至に勉強せずにいられない。)

英文法としてよく使われる表現です。「〜せずにはいられない」を平たく表現すると「どうしても〜してしまう」等が良いでしょう。

・There is no help for being busy during peak season.
(繁忙期に忙しいのはどうしようもない。)

これもよく見られる表現の一つです。英作文等でも使いやすいので、覚えておいても良いかもしれません。

まとめ この記事のおさらい

  • 「是非もなし」は「ぜひもなし」と読み、「良いも悪いもない」や「仕方がない」という意味がある。
  • 「是非」は単体だと「善し悪し」や「心から願う様・強調する様」という意味で使われる。
  • 「是非もなし」や「是非に及ばず」は織田信長が明智軍から攻め込まされた時の言葉として有名。
  • 「是非もなし」は「どうしようもない」という諦めの意味で使われる以外に、「良い悪いを言うより目の前のことに対処しよう」という肯定の意味で使われることもある。
  • 「是非もなし」の類語として「否応もない」や「やむを得ない」等が挙げられる。