ネグレクトとは?|意味や子供の特徴、事例などについて解説

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この記事では、「ネグレクト」の意味や使い方、育児ネグレクトの問題、類語、英語表現について解説します。

幼児や高齢者に対する虐待が大きな社会問題になっている今、「ネグレクト」という言葉をよく耳にします。なんとなく意味は理解しても、具体的に説明するとなると難しいかもしれません。

「ネグレクト」は、社会人としてしっかりと理解しておきたい言葉です。この記事を通して、「ネグレクト」の正しい意味や使い方、問題点などを学んで、ご自身のスキルアップにつなげてください。

「ネグレクト」の意味とは


「ネグレクト」は、「無視する」「ないがしろにする」の意味で、日本では育児放棄の概念で使われことが多くなっています。また、幼児だけでなく、サポートを必要とする高齢者や傷病者、障害者に対する放置行為なども「ネグレクト」と呼ばれます。

「ネグレクト」の語源

「ネグレクト」の語源は、ラテン語の「欲する・選ぶ」という「lego」に否定の「nec」がついた「neglego」で、「無関心である」という意味です。このラテン語の「neglego」から「放置する・無視する」という意味の英語の「neglect」に派生しました。

「ネグレクト」の使い方

大学教授
「ネグレクト」の使い方には、ビジネスで使う場合と育児において使う場合の2つがあります。

ビジネスシーンにおける「ネグレクト」の使い方

「ネグレクト」という言葉をビジネスで使用するときは、会社などの人間関係において「無視する」「ないがしろにする」の意味になります。一般的に上司のパワハラや社内いじめなどのケースで使うことが多くなります。

例文

  • イケメン新人の彼は、上司から全く仕事の支持がなく、いわばネグレクト状態です。
  • 会社に待遇改善の要望書を提出しても、結局ネグレクトされています。

育児における「ネグレクト」の使い方

一般的に「ネグレクト」は、「育児放棄」の意味で使われます。育児放棄にはさまざまなケースがありますが、例文としては以下のようなものがあげられます。

例文

  • あの家は母親がいつも外出していて、こどもがネグレクトされていないか心配です。
  • その男の子はあまりにも不潔なので、ネグレクトされている可能性があります。

「育児ネグレクト」の問題について

保育士
「育児ネグレクト」は、「育児放棄」や「育児怠慢」とも呼ばれます。児童虐待よりは軽いイメージがありますが、「ネグレクト」は、児童虐待のひとつとして認識されています。ネグレクトの結果、栄養失調による死亡など悲惨な事件も少なくありません。

実際、ネグレクトの件数は年々増加しています。厚生労働省が発表した平成22年度から令和3年度の児童相談所での虐待相談の内容別件数は以下のように推移しています。

編集
身体的虐待 ネグレクト 性的虐待 心理的虐待 総数
平成22年度 21,559 18,352 1,405 15,068 56,384
平成23年度 21,942 18,847 1,460 17,670 59,919
平成24年度 23,579 19,250 1,449 22,423 66,701
平成25年度 24,245 19,627 1,582 28,348 73,802
平成26年度 26,181 22,455 1,520 38,775 38,775
平成27年度 28,621 24,444 1,521 48,700 103,286
平成28年度 31,925 25,842 1,622 63,186 122,575
平成29年度 33,223 26,821 1,537 72,197 133,778
平成30年度 40,238 29,479 1,730 88,391 159,838
令和元年度 49,240 33,345 2,077 109,118 193,780
令和2年度 50,035 31,430 2,245 121,334 205,044
令和3年度
(速報値)
49,238 31,452 2,247 124,722 207,659

※参照:令和3年度 児童相談所での児童虐待相談対応件数(速報値)p.5/厚生労働省

この表からわかるように、平成22年度ではネグレクトに関する相談件数が18,352件だったのに対して、令和3年度では31,452件と1.7倍ほどに増えているのです

育児ネグレクトの事例


厚生労働省の児童虐待の説明では、ネグレクトの具体的な事例として「家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない」などを挙げています。

育児ネグレクトは、「身体的ネグレクト」「医療的ネグレクト」「教育的ネグレクト」「情緒的ネグレクト」などに分類されます。

身体的ネグレクト

子供に対して衣食住のケアを与えないのが「身体的ネグレクト」です。十分な食事を与えなかったり、体や服が汚れたままで放置していたり、子供が健全に育つ環境が保たれない状態です。

医療的ネグレクト

乳児検診や予防接種など乳幼児に必要な医療的なケアをしないことも「ネグレクト」として認識されます。また、虫歯の治療や適切な医療を受けさせない行為も同様です。発熱が何日も続いているのに、病院に連れて行かない親も存在しているのです。

教育的ネグレクト

日本の憲法では、子供が6歳になると教育を受けさせる義務が保護者に課せられます。つまり、6歳を過ぎても子供を小学校に通わせないのは法律違反ですが、経済的なことなどを理由にして子供から教育の機会を奪っている保護者もいます。

情緒的ネグレクト

育児ネグレクトの中で、もっともわかりづらいのが「情緒的ネグレクト」です。子供は親に甘えてあれこれわがままを言うものです。甘やかしすぎは良くありませんが、子供の要求や行動に無関心で愛情を注がないのもネグレクトのひとつです。

育児ネグレクトが起こる原因


育児ネグレクトがおこる原因は、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。自分でもよくないと思いながらネグレクトを繰り返してしまう親も少なくありません。主な要因としては以下のようなものが考えます。

貧困・孤立

シングルマザーの増加とともに、子供の貧困が大きな社会問題になっています。生活のために長時間働いて、その結果子供を放置してしまうケースや医療費が気になって病院に連れていけないなど、経済的な理由でネグレクトにつながるケースもあります。

また、人とのつながりがなく、子育て支援や行政のサービスに対する情報が得られずに孤立している場合も、ネグレクトを引き起こしやすくなります。

育児ノイローゼ・産後うつ

育児ノイローゼや産後うつもネグレクトの要因になります。とくに初めての子育てはストレスがたまり、育児ノイローゼになりやすい傾向が見られます。その結果、子供の世話を放棄してしまいます。

子供に愛情が湧かない、子供が可愛くない、など親としての自然な愛情が感じられない状況に陥ってしまうのです。

知識不足

子供の頃にネグレクトを受けていた子供は、親になっても子供に対して同じような行動をする傾向にあることが報告されています。これは、子育てに対する知識不足が原因と考えられます。自分ではネグレクトとは意識せずに、結果、子どもを放置してしまうのです。

育児ネグレクトされた子供の特徴

育児ネグレクトされた子供の特徴を身体的な面と性格的な面から考察してみましょう。

身体的な特徴

ネグレクトされた子供は、髪の毛がボサボサで洋服もいつも同じものを着ている場合が多く、同じ年代の子どもより体が小さい傾向が見られます。極端な例では、見た目が不潔で臭うこともあります。

性格的な特徴

ネグレクトされた子供は、感情表現に乏しく無口で引っ込み思案な性格の子どもが多く見られます。また、ひとつのことに対して異常に固執する「執着障害」も大きな特徴です。また、親の愛情に飢えていることから、だれに対しても甘える傾向があります。

またネグレクトされた子供は、「イマジナリーフレンド」と呼ばれる架空の友人をつくりやすいという特徴もあります。下記の記事では、詳しく「イマジナリーフレンド」について解説しています。
イマジナリーフレンドとは|大人でも作れる?原因や特徴なども解説

育児ネグレクトを発見したらどうする?

ネグレクトは児童虐待のひとつですから、犯罪行為です。万が一育児ネグレクトを発見したら、すみやかに児童相談所に報告しましょう。24時間365日対応の「189(いちはやく)」のフリーダイヤルがあるので、すぐに電話してください。

ネグレクトであるかどうかは児童相談所が判断するので、遠慮せずにあやしいと思ったらはずは電話することが大切です。

「ネグレクト」の類義語と例文


「ネグレクト」の類語は、「放置」「ないがしろ」「無視」「怠慢」などがあります。

放置(ほうち)
そのままにして放っておくこと。

例文

  • あんなに大量のゴミを放置しているなんて、近所迷惑です。
  • ないがしろ
    あってもないように軽く扱うこと。

    例文

  • 上司をないがしろにしていると、後で痛い目に合いますよ。
  • 無視(むし)
    存在価値を認めないこと。

    例文

  • なによりも辛かったのは、親友だと思っていたあいつにも無視されたことです。
  • 怠慢(たいまん)
    なまけておろそかにすること。

    例文

  • 今回の危機的状況は、怠慢な危機管理体制が原因であると断言できます。
  • 「ネグレクト」の英語表現


    「ネグレクト」の英語表現は「neglect」ですが、一般的な育児放棄としての意味はありません。「無視する」「軽視する」「怠る」などの意味で、育児放棄は「child neglect」になります。

    例文

    • Recently, there are many news reports on child neglect.
    • 最近、育児放棄に関するニュースをよく耳にします。

    • The government should be more proactive in addressing the issue of child neglect.
    • 国はもっと積極的に育児放棄の問題に取り組むべきです。

    まとめ この記事のおさらい

    • 「ネグレクト」は、「無視する」「ないがしろにする」の意味で、日本では「育児放棄」の概念で使われことが多い。
    • 育児ネグレクトには、「身体的ネグレクト」「医療的ネグレクト」「教育的ネグレクト」「情緒的ネグレクト」がある。
    • 育児ネグレクトの原因には「貧困・孤立」「育児ノイローゼ・産後うつ」「知識不足」などが考えられる。
    • 育児ネグレクトされている子供には、不潔な見た目や体が小さいなどの身体的な特徴や感情表現に乏しいなどの性格的な特徴が見られる。
    • 「ネグレクト」の類語は、「放置」「ないがしろ」「無視」「怠慢」など。
    • 育児放棄の意味での「ネグレクト」の英語表現は、「child neglect」。