ビジネスにおける「そちら」の使い方とあちら・こちら・どちらとの違い

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「そちら」は、こそあど言葉「あっち・こっち・そっち・どっち」の改まり語で、敬語と区別されます。ビジネスシーンでは、「そちら」を敬語にして丁寧に表現したい時が意外に多くあります。ここでは、ビジネスで使用頻度が高い「そちら」の意味や使うシーン、敬語表現や類語をまとめます。
迷いがちな「そちら」の使い回しを覚えて、ビジネスパーソンとしてのマナーを向上しましょう。

そちらの意味と使う場面

こそあど言葉で「あっち・こっち・そっち・どっち」を改まった表現にすると、「あちら・こちら・そちら・どちら」となります。

「そちら」の意味

■話し手よりも聞き手のほうが近いものや場所、方向を示す
■聞き手自身、また聞き手の側の立場を指す(二人称の人代名詞)
■聞き手のすぐ近くにいる人を指す(三人称の人代名詞)
■地位や立場が話し手と同程度の人という意味(三人称の人代名詞)

「そちら」を使う場面

どんな場面で使われるかは、「そちら」が2つの違った代名詞に分類されることを理解するとわかりやすくなります。

■方向を指示する時に使う場面
その場にあるものや記憶・文脈の中のものを指すのに用いられる「指示代名詞」として、話し手から、あるいは聞き手からの距離感によって使い分けます。

「そちら」の使い方例:
「出口はどこにありますか?」「(出口を指し示しながら)そちらにございます。」
「御社は警察署の向かいにありますよね?」「はい。そちらで間違いありません。」

■人を指す場面
人称代名詞として、聞き手、または話の中の人を指すのに使われます。一人称、二人称、三人称、不定称かによって、こそあど言葉を使い分けます。

「そちら」の使い方例:
「そちらの都合に合わせます。」
「○○さんを知っていますか?」「そちらの方は知りません。」

そちら、あちら、こちら、どちらの違い

「そちら」は、中称(聞き手のほうに近いもの・場所・方向を示す)の指示代名詞であり、
人称代名詞としては、相手のことを指して二人称で使う場合と、三人称で相手の近くにいる人、または話し手と立場や地位が同じくらいの人を指して使います。

「あちら」は、遠称(離れたもの・場所・方向を指す)の指示代名詞です。
また、三人称、つまり自分と相手のどちらの側にも属さない第三者、また自分から離れたところにいる人を指します。

「こちら」は、近称(近いもの・場所・方向)の指示代名詞です。
人称代名詞としては、一人称では、話し手自身、また話し手の側を示し、「当方」と同義になります。三人称の「こちら」は、「この方」と同じ意味で、自分の側の人物や自分の近くにいる人を指す時につきます。ただし、「こちら」は自分の身内以外に使うのが、一般的です。

「どちら」は、不定称の指示代名詞で、「どちらにおいでですか?」など、さし示すもの・場所・方向が不明な時、「どちらにしますか?」と不特定な中から、ひとつに特定する時に使います。
人を指す場合は、「誰」の丁寧語になります。不特定の人を指して用いられます。

そちらの敬語表現と代わりに使える言葉

ほとんどの場合には、「そちら」でも充分に丁寧な言葉遣いですが、敬語ではありません。「そちら」は代名詞なので、そのものを敬語にすることはできませんが、前後の文脈から「様」をつけ足したり、他の敬語に置き換えたりします。

例えば、「ご一緒のそちら(の方)もお座りください」と伝えたい場合で、目上の人や地位の高い人に敬意を示したい時には、「そちら様」と尊敬語にしましょう。または、「お連れ様」と言い換える方法もあります。

そちら(の会社)で社員を募集しているのを見ました」と電話で話している場合、「そちら」は「御社」と置き換えるといいでしょう。指示代名詞としての「そちら」は、具体的にさししめすものと置き換えると、より丁寧になります。

まとめ

こそあど言葉の改まり語「そちら」には、指示代名詞、人称代名詞としての意味があります。やや近い距離感のもの・場所。方向を指し示したり、二人称で聞き手自身または聞き手側の立場の人、三人称で話し手と同程度の地位や立場の人を指したりします。他のこそあど言葉「あちら、こちら、どちら」とは、指し示す距離感や人称に違いがあります。「そちら」を敬語表現にするには、「そちら様」、または前後の意味を考慮し代わる言葉に入れ替えるのがいいでしょう。