仕事をしていれば、誰しも思いがけないミスや不始末を起こしてしまうことがあります。そのようなとき、会社から始末書の提出を求められて、どう書けばいいのか戸惑った経験はないでしょうか。始末書は頻繁に書く書類ではないため、いざその立場になると書き方に悩む人が少なくありません。
とはいえ、たまにしか書く機会がない書類だからこそ、社会人として基本的な書き方は押さえておきたいところです。この記事では、始末書の意味や役割、書く際に気をつけたいポイント、実際の例文、封筒への記載方法まで、始末書にまつわる知識をまとめて解説します。いざというときに慌てず対応できるよう、参考にしてください。
始末書とは
始末書とは、仕事の中でミスや不始末、不祥事などを起こしてしまった際、会社に対して反省や謝罪の意を示すために、その経緯や原因を記載して提出する文書です。単なる報告書とは異なり、事実の説明にとどまらず、自分の過失を認め、今後の改善を誓う姿勢を示すことが求められます。
会社に金銭的な損失や迷惑を与えてしまった場合や、就業規則・服務規程に違反した場合には、始末書の提出を求められることがあります。始末書は懲戒や戒告といった社内処分にあわせて求められるケースが多く、処分の重さを判断する際の材料にされることもあるようです。
きちんと反省とお詫びの気持ちを示すことができれば、処分の軽減につながる可能性もあります。だからこそ、内容や書き方には一定の配慮が必要です。似たような文書に「顛末書」がありますが、顛末書は事実経過の報告に重点が置かれるのに対し、始末書は謝罪と再発防止の意思表示に重きが置かれる点で違いがあります。この違いを理解しておくと、始末書に何を書くべきかが見えてきます。
始末書を書く際のポイント
始末書は形式が重視される文書のため、書き始める前に確認すべきことがいくつかあります。書式の有無から提出のタイミングまで、押さえておきたいポイントを順に見ていきましょう。
決められた書式があるか事前に確認する
会社で始末書を書くときは、まず上司や担当部署に「決められた書式があるかどうか」を確認しましょう。会社によっては、あらかじめ始末書のテンプレートが用意されている場合があります。書式が決まっているなら、必ずそれを使用してください。
特に決められた書式がない場合でも、手書きでいいのか、パソコンで作成してもいいのか、必要な記載項目は何かなど、確認すべき点はいくつもあります。自己判断で作成を進めてしまうと、後から書き直しを求められることもあるため、最初に確認しておくのが得策です。
横書きか縦書きか、体裁も確認しておく
事前確認で決まった書式がないとわかった場合、記載項目や体裁は自分で考える必要があります。とはいえ、始末書にどんな項目を書くべきか、横書きと縦書きのどちらが適切かは、できるだけ事前に確認しておいたほうが安心です。書式が明確に決まっていなくても、最低限記載すべきポイントは上司に聞いておくべきでしょう。
自分で作成する場合、手書きにするかWordなどのパソコンで作成するかという選択も出てきます。手書きで作成する場合は縦書きが一般的です。一方、パソコンで作成する場合は、通常のビジネス文書と同様に横書きで記載することが多いようです。
内容は簡潔にわかりやすくまとめる
始末書に書く内容は、できるだけ簡潔でわかりやすい文章にまとめましょう。履歴書のように文字数を埋めることを意識してしまう人もいますが、始末書で重視すべきは読み手への配慮です。要点を押さえ、読みやすい文章を心がけましょう。
長々とした説明よりも、簡潔に整理された文章のほうが、読み手はすぐに内容を理解できます。ただし、誤字脱字があると全体の印象を損ねてしまいます。提出前には必ず何度か読み返してチェックしておきましょう。
トラブルやミスの内容は正直に伝える
始末書では、トラブルやミスといった不始末の内容を、正直かつ正確に記載することが大切です。始末書はそもそも不始末をお詫びするための文書ですから、事実を潔く記載し、反省とお詫びの気持ちを伝えることが本来の目的といえます。
言い訳や言い逃れを書いてしまうと、誠実さを疑われ、逆効果になりかねません。素直に事実をありのまま記載したほうが、読み手には好印象を与えられるでしょう。
提出のタイミングを見極める
始末書は速やかに作成し、できるだけ早いタイミングで提出するようにしましょう。提出が遅れると、まだ作成していないと思われたり、上司から催促を受けたりする可能性があります。
上司に提出する際、他の社員の視線が気になる場合は、会議室などの別室に上司を呼んで提出するという方法もあります。上司はその場で内容を確認することが多いため、周囲の目を気にせず、上司の指摘や意見に集中できる環境を選ぶと良いでしょう。
始末書の例文
実際に始末書を書く際の参考として、例文を紹介します。書式が特に指定されていない場合の一般的な体裁です。
平成〇〇年〇〇月〇〇日
〇〇部
部長 ××△△殿
◯◯部△△課 〇〇 〇〇 印
始末書
私はこのたび、社内の機密情報に関わる参考資料を紛失してしまいました。業務に対する私の軽率な取り組み方が今回の事態を招き、弁解の余地はございません。
現時点での被害の報告はありませんが、場合によっては会社に重大な損害を与えかねず、会社ならびに関係各位に対し、多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。
今後は与えられた職務とその責務を全うし、再び同じ事態を招かないことを誓いますので、このたびは寛大な措置を賜りますようお願い申し上げます。
以上
この例文では、まず経緯を簡潔に述べ、被害の見通しとお詫びの言葉を続け、最後に再発防止への誓いで締めています。この流れを踏まえておくと、状況が変わっても書きやすくなるはずです。
始末書の封筒の書き方
始末書を提出する際は、封筒に入れて渡すのが一般的なマナーです。封筒は白地または無地のものを選び、始末書を折らずに入れられるサイズを使いましょう。色付きの封筒や絵柄が入った封筒は避けるべきです。
封筒の書き方については、まず中央に縦書きで「始末書」と大きく記載します。使用するペンは黒ペンか筆ペンとし、カラーペンなどは使用しないようにしましょう。提出先の宛名を封筒に記載する必要はありませんが、始末書を書いた人自身の所属と氏名は、封筒の裏面に記載しておきましょう。
始末書のおさらい
社会人であれば、思いがけないミスや不始末によって、始末書の提出が必要になる場面が訪れるかもしれません。いざというときに慌てないためにも、始末書の書き方は事前に把握しておきたいものです。ここまで解説してきたポイントを、あらためて整理しておきます。
・簡潔にわかりやすく記載
・不始末やミスの内容は正直に書く
・なるべく早く提出
・封筒は白地か無地、始末書を折らないで入るサイズを使用
始末書は、ミスそのものを取り消すための文書ではありません。しかし、事実を正直に伝え、反省の気持ちを丁寧に示すことで、会社や関係者との信頼関係を保つ助けになります。書式や体裁に迷ったときは、必ず上司や担当部署に確認したうえで、落ち着いて作成に取り組みましょう。

