日常ではほとんど使いませんが、ビジネスの電話対応などではよく耳にする「申し伝える」の表現。あなたはちゃんと使いこなせますか? 古めかしい言葉ですが、正しく理解すれば、とても使い勝手のいい言葉です。この記事では申し伝えるの使い方を解説します。

 

申し伝えるとは 意味と概要

「申し伝える」は、“取りついで申し上げる”の意味になります。
例えば、「担当者に申し伝えておきます」などと使います。
もうひとつの意味に、“語り伝え申し上げる”というのもありますが、この意味で使われる場面はあまりないでしょう。伝統的な物語やいわれなどを後世に伝えることを表現しています。

敬語表現として適切か

「申し伝える」は、“言い伝える”の謙譲語で、敬語して正しい表現です。
ビジネスシーンでも使える言葉なのです。
一歩踏み込んで説明すると、敬語は「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3分類にする考え方と、「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」「丁寧語」「美化語」の5分類で考える方法もあります。
5分類の場合には、「申し伝える」は謙譲語Ⅱの「丁重語」になります。

申し伝えますとお伝えしますの違い

実際の会話などでは、「○○に申し伝えます」と使うことが多いです。
似た表現「お伝えします」があり、使い方を混同、または間違えていることが多く見受けられます。

「申し伝えます」も「お伝えします」も、どちらも謙譲語です。

しかし、5分類で考えると、「お伝えする」は、謙譲語Ⅰの「謙譲語」になります。「○○にお伝えします」とした場合には、伝える相手が自分よりも目上であることを表現してます。

対して、「申し伝える」は謙譲語Ⅱ「丁重語」なので、「○○に申し伝えます」とした時、聞いている相手が自分よりも目上であることを伝えています。

例えば、お客様から電話があり、社長と話したいと言われましたが、席をはずしていたとしましょう。そして、あなたがお客様から社長への伝言を受けました。
伝える相手=社長は自分よりも目上であるので、「社長にお伝えします」と言うかもしれません。でも、目上の社内の人間であっても、話す相手が社外の人であれば、そちらを立てるべきです。「社長にお伝えします」は社内の人間同士の間では正しい表現ですが、社外の人に対して使うには、間違っているのです。

“目上の人=お客様が言ったことを別の目上の人=社長に伝えること”を表現するには、「社長に申し伝えます」が正解です。

申し伝えるの類義語

「申し伝える」の類語には、“言い伝える・伝達する・伝える・知らせる・連絡する”などがあります。
いずれの類語も尊敬語ではないので、上手く使い回しましょう。

申し伝えるの例文

■かしこまりました。担当の佐藤に申し伝えます。大西が承りました。

■社長にすぐにメールをするよう申し伝えますので、少々お待ちください。

(注意)申し伝え願えませんか? というのは間違った使い方です。「申し伝える」は、謙譲語:自分の動作をへりくだって表現するので、相手の動作を表現するには使いません。

申し伝えるの英語表現

「申し伝える」にしっくりくる英単語はありません。

電話対応などで「伝言を伝えておきます」という意味なら、I’ll make sure he/she gets the message. が最も一般的に使われます。I’ll pass the message on (to him/her).もよく使われます。前後の文脈や対応の声のトーンなどで丁寧さを表現すれば十分です。また、「確実に」surelyをつけるのも丁寧なニュアンスが伝わるのではないでしょうか。

申し伝えるのまとめ

「申し伝える」は“取りついで申し上げる”の意味がある敬語で、謙譲語としてビジネスで活用できる言葉です。敬語の5分類では、謙譲語Ⅱの「丁重語」にあたります。

似た表現「お伝えします」も謙譲語で、5分類で謙譲語Ⅰの「謙譲語」です。伝える相手が自分よりも目上であることを表現するのみなので、社外の人に対して使うには注意が必要です。「申し伝えます」であれば、社内外の人で目上の人が言ったことを別な目上の人に伝えるのに使えます。

類語には“言い伝える・伝達する・伝える”などがありますが、これらは謙譲語ではないので使う時には注意しましょう。

申し伝えるにしっくりくる英単語はありません。「伝言を伝えておきます」という意味では、I’ll make sure he/she gets the message. が最も一般的に使われます。