ビジネスシーンで使われることが多い「差し上げる」という言葉。敬語表現として間違っているという話も聞くので使うか悩んでしまいますよね。今回は「差し上げる」の誤った使い方について詳しく解説していきます。

差し上げるは間違ってはいない

「差し上げる」という敬語は正しい表現方法です。間違っていると言われるのは、ただ使い方を間違っているだけなのです。使い方によっては気分を害する人もいるので、しっかり理解して使う必要があります。

差し上げるとは

「差し上げる」は「あげる」「与える」の謙譲語に該当します。謙譲語は現在、謙譲語Ⅰと謙譲語Ⅱに分かれています。

謙譲語Ⅰは従来の謙譲語と同じ意味合いで、自分の行動をへりくだって向かう先の相手を立てることで敬意を表します。謙譲語Ⅱは丁重語とも呼ばれ、相手に自分の行動を丁重に述べることで敬意を表す表現方法です。

「差し上げる」は分類でいうと謙譲語Ⅰで、使い方を間違わなければ敬語として適切な表現となります。

使い方によっては相手に不快感を与える

謙譲語はもともと自分側の行為について使う敬語です。そこに「あげる」「与える」という意味が加わると、逆に上から目線な印象を与えてしまう可能性があります。

たとえば、頼んでもいないのに「あなたに教えて差し上げます」と言われたらどうでしょう。失礼だなと感じたりイライラしたり、不快感を感じやすいでしょう。

「差し上げる」は、相手に恩恵を与える場合にのみ使うものだと覚えておきましょう。上から目線になってしまうのは、相手が望んでいることでなかったり、利益を感じることではないからです。

相手の希望に尽くすような、奉仕の精神で「差し上げる」を使うようなニュアンスをもっておけばいいでしょう。望んでいないことに使うと不快感を与えてしまうことになります。

差し上げるの言い換え表現

前述の通り、「差し上げる」は相手に利益がある場合に使います。違和感を感じる場合は、たいてい相手のメリットがない状態なので敬語表現自体を変えるようにしましょう。そうすることであなたの印象がグッとよくなります。

「お電話差し上げます」

たとえば、この表現は、ビジネスシーンでは多く利用されていますよね。一見問題なく感じられますが、相手が望んでいることなのか、自分の一方的な都合によるものなのかで印象はだいぶ変わってくるでしょう。

「お電話させていただきます」

こちらの方が自然で丁寧な印象になります。相手のメリットの有無関係なしに使うことができるので使い勝手が良い表現方法です。使い分けが難しい場合は「お電話させていただきます」で表現を統一させても良いでしょう。

「お電話させていただいてもよろしいですか?」と相手への確認の言葉を入れてあげると、さらにお願い、確認のニュアンスが強くなるので印象もよくなります。

相手の行動に差し上げるをつけるのは間違い

注意したいのは、「差し上げる」の根本的な使い方の間違いです。「差し上げる」は謙譲語ですから、相手の行動に対して使うことは誤りとなります。

たとえば「お電話を差し上げてもらってもよろしいでしょうか」という表現。

これでは違和感を与えるばかりか、敬語が使えない人という印象を与えてしまう恐れがあります。

相手の行動に対しては「もらう」の尊敬語である「いただく」を使いましょう。今回の場合であれば、「お電話をいただけますでしょうか」「お電話いただいてもよろしいでしょうか」が正しい表現となります。

どんなに自分で丁寧にしたつもりでも、使い方を間違えてしまえば逆に印象が悪くなってしまいます。謙譲語と尊敬語の使い分けをできるようにしておきましょう。

まとめ 差し上げるの使い方のおさらい

 

謙譲語→自分の行為に対して使う
尊敬語→相手の行為に対して使う
謙譲語Ⅰ→へりくだって向かう先の相手を立てて敬意を表す
謙譲語Ⅱ→自分の行動を相手に丁重に述べて敬意を表す

「差し上げる」

・謙譲語Ⅰの敬語表現
・相手にメリットがある場合に使う

×「お電話を差し上げます」→「お電話をさせていただきます」「お電話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」

×「お電話を差し上げてもらってもよろしいでしょうか」→「お電話をいただけますでしょうか」「お電話いただいてもよろしいでしょうか」