踏襲|意味・類義語・対義語・英語表現と例文を解説

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この記事では、踏襲の意味や正しい使い方をご紹介します。

「踏襲」の文字は見たことがあるけど、実際に使った経験のある人は少ないかもしれません。

踏襲はビジネスでも使う言葉です。この記事を通して、踏襲をどのような場面で使うのか知ることができます。

踏襲とは?

踏襲とは、「前人のやり方をそのまま引き継ぐ」の意味で、「とうしゅう」と読みます。「ふしゅう」「ふんしゅう」は誤りです。また、踏襲を「しゅうとう」と逆に読んでいる人もいるようです。くれぐれも恥をかかないように「とうしゅう」と正しく読みましょう。踏襲を読み間違えないためには、その語源を知ることも大切です。

踏襲の語源

踏襲の「踏」は、「地面をふみつける」「とんとん足踏みをする」などの意味がありますが、派生して「その上に積み上げることのできるもの」という「土台」「基礎」「根拠」の意味もあります。つまり、「踏」はふみつけた後にできた結果の意味合いがあります。

一方、「襲」のイメージは「襲撃」のように「おそう。おそいかかる」ですが、それ以外に「あとを引き継ぐ」という意味があります。歌舞伎などの伝統芸能を子孫に引き継ぐことを「世襲」というのは、この「引き継ぐ」の意味で使われています。

踏襲のビジネス上での使い方

「踏襲」は、ビジネスでもよく使われる言葉です。仕事のやり方やプロジェクトなど上司や前任者の方法を引き継ぐことはよくあります。

・今回のプロジェクトは前任者の企画を踏襲して進めていきます。
・部長が作成したマニュアルを踏襲しつつ、改善点を検討します。
・社長が交代しても経営方針は従来のものを踏襲することになりました。

踏襲を使った例文

踏襲は「前人のやり方をそのまま引き継ぐ」という意味ですが、「引き継ぐ」ことが良い場合とやや問題がある場合があります。例えば、以下のような例文は従来のやり方に価値を認めている場合です。

・伝統的なデザインは踏襲すべきであると考えます。
・亡くなった教授の思想を踏襲して研究を進めていきます。

しかし、踏襲は悪い意味でも使われます。

・従来の発想を踏襲するだけでは、新規プロジェクトの成功は期待できません。

踏襲することがマイナスになると考えられることもあります。

また、踏襲を使った「前例踏襲」という四字熟語があります。これは学問や仕事で前例を踏襲する意味です。

・前任者の考え方には素晴らしいものがあるので、今回は前例踏襲でいくことします。

前例踏襲にもマイナスの表現があります。特に、前例を踏襲することで、改善や改良を一切認めないという意味の「前例踏襲主義」には、硬直した習慣を批判する意味合いが強くあります。

・こんな前例踏襲主義では、会社の将来に期待はできません。

踏襲の類語は?

踏襲の類語は、「受け継ぐ・継承・維持・準拠・倣う」などがあります。

受け継ぐ(うけつぐ)
前の人の仕事などを引き継ぐこと。さらに、性質や志などを引き継ぐ意味もあります。

例文
転勤された課長の仕事を受け継ぐことになりました。

継承(けいしょう)
踏襲が前の人の仕事などを引き継ぐことに対して、継承は、先代や先任者の身分・権利・義務・財産などを受け継ぐこと。また、プログラミングの用語では、属性を引き継ぐ意味で使われています。

例文
幼い王子が、王位を継承しました。

維持(維持)
物事の状態をそのまま保ち続けること。同じ状態を保つこと。引き継ぐという意味合いはありませんが、変えることなく継続させるという意味では、踏襲の類語として考えられます。

例文
変わらずに対等な関係を維持することが重要です。

準拠(じゅんきょ)
ある事を拠りどころとして、それに従うこと。すでにある企画や基準などに従う意味で使われます。

例文
従来の規格に準拠した製品を開発する。

倣う(ならう)
すでにあるやり方や例を真似てそのとおりにすること。見本にすること。また、何度も繰り返して習慣になっている意味もあります。

例文
今回は前例に倣うことが得策と思われます。

また、「前例踏襲」の類語としては、「伝統墨守」「形式主義」「マニュアル主義」などがあります。

踏襲の対義語は?
踏襲の対義語には、「改革・改善・打破・脱却・順応」などがあります。

改革(かいかく)
従来の制度などを改めてより良いものに変えること。同じような意味で「革新」があります。例文
営業不振を打破するには、全員の意識改革が不可欠です。
改善(かいぜん)
悪いところを良い方に改めること。同じような意味で「改良」があります。改良は「品種改良」など具体性がありますが、改善は待遇や条件など抽象的なものに使います。例文
わが社の業務内容には改善すべき問題があります。
打破(だは)
打破には、完全に相手を痛めつける「打ち破る」意味と流れを新しくするために「障害などを取り除く」意味があります。踏襲の対義語としては後者の意味になります。例文
悪い慣習は打破すべきです。
脱却(だっきゃく)
古い考え方などを脱ぎ捨てること。捨て去ること。悪い状態から抜け出すこと。
・自然エネルギーこそが、石油依存から脱却できる唯一無二の方法です。
順応(じゅんのう)
一見、順応は踏襲の類語のように思われるかもしれませんが、順応の意味には「環境の変化などに合わせて性質や行動など変わること」があります。つまり、時代や環境などの変化に対応しない「踏襲」の対義語になります。例文
めまぐるしく変化する時代に順応できるかどうかが、企業の将来を左右するでしょう。

 

踏襲の英語表現

踏襲を英訳する場合によく使われるのは、「follow」と「stick to」です。「follow」は、「ついていく」「続く」「従う」などがあります。「stick to」は「くっつく」「張り付く」の他に「固執する」という意味もあります。

You just follow your predecessor’s way.
前任者のやり方を踏襲すればいいんだ。
We should stick to our original plan.
私たちは、最初の計画を踏襲すべきだ。

また、「adhere to」という表現には「~に従う」意味があり、以下の文章では踏襲する意味になります。

・We must adhere to a traditional way .
伝統的なやり方を踏襲すべきだ。

 

さらに、日本語の「引き継ぐ」というニュアンスでは「hand over」があります。

・l will hand over the my job to a new employee.
新入社員に私の仕事を踏襲してもらいます。

まとめ この記事のおさらい

  • 「踏襲」は「前人のやり方をそのまま引き継ぐ」の意味です。「ふしゅう」や「ふんしゅう」と間違って読む人も多いようですが、正しくは「とうしゅう」です。
  • 「前任者の企画を踏襲する」などビジネスでもよく使う表現。
  • 踏襲は使い方で良い意味と悪い意味に分かれます。「前例踏襲主義」のように硬直した習慣を批判する意味合いの表現も。
  • 踏襲の類語は「受け継ぐ・継承・維持・準拠・倣う」などで、反対語には「改革・改善・打破・脱却・順応」などがあります。
  • 英語表現では、従うという意味の「follow」「stick to」「adhere to」が、また引き継ぐという意味では「hand over」が使われます。