この記事では、「今日この頃」の意味や使い方、類語、英語表現について考察します。

手紙の例文などでよく見かけるのが「今日この頃」という言葉です。なんとなく意味はわかっていても、いざ自分で使うとなると少し抵抗がある言い回しかもしれません。

「今日この頃」は、挨拶文などではよく使う言葉で、正しい使い方をマスターすれば、社会人としてのスキルアップにもつながります。この記事を通じて、「今日この頃」の意味や使い方を学習してください。

「今日この頃」の意味とは

叔父
「今日この頃」とは、「現在にわりに近い時期」「最近」「昨今」の意味で、「きょうこのごろ」と読みます。

「今日」は、「今過ごしている、この日」「本日」「今の時代」「現代」などの意味があります。古文では「けふ」と発音し、古今和歌集には以下のような和歌が収録されています。

・つひにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを

この場合「昨日今日」の読みは、「きのうけふ」になります。

「この頃」は、「少し前の時から現在にかけての期間のこと」で、徒然草の中には、ひらがなで以下のような一文があります。

・亡き人の来る夜とて魂(たま)祭るわざは、このごろ都にはなきを

また、「この頃」は、「此の頃」とも表記されます。

「今日この頃」という表現は、いつごろから使われていたのかは明確ではありませんが、古い書物などには、「今日此頃」という漢字表現が多く見られます。

漢字表現は「今日此頃」

手紙などの文例では、「今日この頃」と書かれているものがほとんどですが、元来は漢字で「今日此頃」と表現されていました。

1703年に上演された近松門左衛門の浄瑠璃「曾根崎心中」には、「今日此頃は平生の魂が入替り、錢金を湯水の樣に、夜々通ふのみならず・・・」という語りが残されています。

「今日この頃」という表現がいつから使われ始めたのかはわかりませんが、最近の例文を見る限り、「今日此頃」よりも「今日この頃」の方が多く見られます。

「今日この頃」の使い方

秀逸
「今日この頃」は、挨拶文などによく使われる言葉ですが、一般的な文章でも使うことは少なくありません。但し、使い方を間違えると意味不明になるので注意してください。

「今日この頃」は、あくまでも「最近」を意味する言葉なので、過去や未来のことには使いません。以下のような例文は誤りです。

・彼女と別れた今日この頃、少しずつ仕事にもやる気が出てきました。
・あと数年で帰国できる今日この頃は、異国での生活にも慣れてきました。

「今日この頃」は、主に最近継続しているような事柄に関して使います。例えば、「卒業気分も薄らいできた今日この頃」と書かれた場合は、就職して社会人としての自覚が芽生えてきた頃と想像できます。このように、少しぐらい前から継続していることに関して表現するのが、「今日この頃」です。「今日この頃」を使った例文には以下のようなものがあります。

・リモートワークで、人とのコミュニケーションが希薄になっている今日この頃です。
・肌に当たる風が冷たく感じる今日この頃、手袋をしている女性の姿を多く見かけます。
・就職難の兆しが見える今日この頃、大学生たちにも不安の色が漂っています。

敬語の挨拶文での使い方

「今日この頃」という言葉が、多く使われるのは手紙やメールなどでの挨拶文です。特に時候の挨拶の流れとして使われることが多くなります。ややかしこまった言い方でもあるので、親しい人に対してはあまり使いません。

そういう意味では、目上の方やお客様などへの敬語の挨拶文で使われる表現と言えます。

時候の挨拶とは、挨拶状などで季節や天候に関しの心情や季節感を表す言葉を用いた文章です。以下の文例をごらんください。

・秋も深まってまいりましたが、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じ上げます。

この「秋も深まってまいりましたが」の部分が時候の挨拶で、挨拶文では時候の挨拶のあとに「安否を尋ねる言葉」や「繁栄を喜ぶ言葉」が続くのが一般的です。「今日この頃」は、この時候の挨拶の部分で使います。

では、ここで「今日この頃」を使った挨拶文の例をいくつか紹介します。

「今日この頃」を使った挨拶文

・花の便りが聞かれる今日この頃、皆様にはいよいよご清栄のこととお喜び申し上げます。
・余寒ことのほか厳しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
・年の瀬も押し迫り、気ぜわしい今日この頃、ご多忙にお過ごしのことと拝察いたします。
・木々の緑が目にまぶしい今日この頃、お元気でお過ごしのこととお喜び申し上げます。

「今日この頃」の類義語と例文

KJ法
「今日この頃」の類語では、「近ごろ」「昨今」「最近」「今どき」「当節」「当世」「此節」などがあります。

近ごろ(ちかごろ)
最近。現在および現在にいたるまでの短い期間。

例文
・近ごろは、さまざまな犯罪が増え、日本の安全神話も崩れつつあります。

昨今(さっこん)
ちかごろ。現在に近い過去から現在までを含めて漠然という。

・昨今はインターネットでの買い物が増え、配送業者の人材不足が問題になっています。

最近(さいきん)
現在より少し前のある時。または、少し前から現在までの間。

例文
・健康志向が高まる中、最近はウォーキングをおこなうカップルを数多く見かけます。

今どき(いまどき)
今の時世。現代。今頃。

例文
・今どきの旅行者ニーズを的確に分析しないと、旅行業界では生き残れません。

当節(とうせつ)
このごろ。ちかごろ。いまの時節。

例文
・当節は教師への尊敬の念も薄れ、聖職者という存在からほど遠いものになっています。

当世(とうせい)
今の世の中。いまどき。現代。

例文
・往年の豪傑(ごうけつ)ぶりは、黒い背広(せびろ)に縞のズボンという、当世流行のなりはしていても、どこかにありありと残っている。芥川竜之介「一夕話」

此節(このせつ)
このごろ。最近。当節。

例文
・ほんたうに此節(コノセツ)の書生さんは、おとなしい皃(かほ)をして居て、ちっとも油断がなりゃアしないヨ。坪内逍遙「当世書生気質」

「今日この頃」の英語表現


「今日この頃」の英語表現は、「最近」という意味で「lately」「recently」「nowadays」「these days」などがあります。

・Lately, she`s been studying Japanese.
 最近、彼女は日本語を勉強しています。

・There’s been a lot of rain recently
 最近は、雨が多いですね。

・Everything is going up nowadays.
 最近は、なんでも値上がりしています。

・I haven’t seen a movie these days.
 最近、映画を見ていません。

また、以下のような文章の組み立てにすると、日本語の「今日この頃」に近いニュアンスにあります。

・He used to get mad at many things, but these days, he’s changed.
 彼はいろいろなことに怒っていましたが、今日この頃は変わりました。

まとめ この記事のおさらい

・「今日この頃(きょうこのごろ)」とは、「現在にわりに近い時期」「最近」「昨今」の意味。
・「今日この頃」の漢字表現は、「今日此頃」。
・「今日この頃」の類語は、「近ごろ」「昨今」「最近」「今どき」「当節」「当世」「此節」などです。
・「今日この頃」の英語表現には、「lately」「recently」「nowadays」「these days」などがあります。