国家公務員一種が総合職に、一般職との違いや試験についての解説

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公務員と言えば安定しているイメージですが、国家公務員総合職(旧一種)となると安定よりも、超難関、エリート官僚のイメージのほうが強いかもしれません。

そんな国家公務員総合職とはどんなものか、試験についてなどをまとめます。

国家公務員総合職(旧一種)とは

国家公務員一種は、平成24年度から国家公務員総合職と名称を変更し、院卒者試験と大卒程度試験に分けられました。

いずれにしても、公務員の中でキャリアと呼ばれ、各省庁の幹部候補生になれると考えていいでしょう。

若手のうちから責任ある立場で、本省、自治体、他省庁、国外の出先機関への出向などを経験しながら昇進していきます。国家公務員総合職(旧一種)は、事務次官まで昇進する可能性があります。

二種や地方公務員との違い

国家公務員二種は、一般職に名称変更しています。一般職には、本庁採用等大卒程度試験・高卒者試験・社会人試験があります。

一般職の本庁採用等大卒程度試験合格者は、中央省庁課長級になるのは稀なケースと言われています。

総合職が「主として政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員の採用試験」、“政策をつくる側の人の採用試験”なのに対し、一般職は「主として事務処理等の定型的な業務に従事する係員の採用試験」、“政策を実施する側の人の採用試験”と言われています。

一般的に、国家公務員総合職に相当する地方公務員は、供給地方公務員(大卒程度)でしょう。

国家公務員総合職と上級地方公務員試験の難易度は大差がないと言われていますが、例年、国家公務員総合職のほうが採用人数は多いため、若干門戸は広がりがあります。

平成28年度の合格率

昨年、平成28年度の院卒者試験(法務区分除く)では、受験者数が2,956、合格者数が639だったので、合格率は21.6%、倍率が4.62倍だったことになります。

大卒程度試験(教養区分除く)では、受験者数が18,927、合格者数が2,683で、合格率14.1%、倍率が7.05倍でした。

平成27年度の国家公務員総合職、採用者ではなく合格者の多かった大学は、東京大学、京都大学、早稲田大学の順になっています。

平成29年度国家公務員総合職(旧一種)の試験

すでにほとんどの申し込みが終わっていますが、ここで平成29年度の国家公務員総合職の試験の詳細についてまとめます。来年以降の参考にしてください。

ちなみに、平成29年度は例年に比べ、時期が早まりました。

国家公務員一種の受験資格

■院卒者試験(法務区分除く)
昭和62年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの
(1)大学院修士課程又は専門職大学院の課程を修了した者及び
平成30年3月までに大学院修士課程又は専門職大学院の課程を修了する見込みの者
(2)人事院が(1)に掲げる者と同等の資格があると認める者
■院卒者試験(法務区分)
昭和62年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの
(1)法科大学院の課程を修了した者であって司法試験に合格したもの
又は司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律(平成14年法律第138号)附則第10条の規定により同法附則第6条第2項に規定する新司法試験に合格した者とみなされた者
(2)司法試験予備試験に合格した者であって司法試験に合格したもの
■大卒程度試験(教養区分除く)
(1)昭和62年4月2日~平成8年4月1日生まれの者
(2)平成8年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの
ア 大学を卒業した者及び平成30年3月までに大学を卒業する見込みの者
イ 人事院がアに掲げる者と同等の資格があると認める者
■大卒程度試験(教養区分)
(1)昭和62年4月2日~平成9年4月1日生まれの者
(2)平成9年4月2日以降生まれの者で次に掲げるもの
ア 大学を卒業した者及び平成30年3月までに大学を卒業する見込みの者
イ 人事院がアに掲げる者と同等の資格があると認める者

参考:国家公務員試験 採用情報NAVI

国家公務員一種の試験種目

■院卒者試験(法務区分除く)
第一次試験:基礎能力試験(多義選択式)・専門試験(多義選択式)
第二次試験:専門試験(記述式)・政策課題討議試験・人物試験
英語試験:外部のテストを利用し、加算方式
■院卒者試験(法務区分)
第一次試験:基礎能力試験(多義選択式)
第二次試験:政策課題討議試験・人物試験
英語試験:外部のテストを利用し、加算方式
■大卒程度試験(教養区分除く)
第一次試験:基礎能力試験(多義選択式)・専門試験(多義選択式)
第二次試験:専門試験(記述式)・政策論文試験・人物試験
英語試験:外部のテストを利用し、加算方式
■大卒程度試験(教養区分)
第一次試験:基礎能力試験(多義選択式)・総合論文試験
第二次試験:企画提案試験(小論文および口述式)・政策課題論議試験・人物試験
英語試験:外部のテストを利用し、加算方式

国家公務員一種の試験日

全て平成29年の日付です。

■院卒者試験(法務区分除く)
第一次試験:4月30日 合格発表:5月12日
第二次試験:5月28日、6月9~16日 合格発表:6月30日
■院卒者試験(法務区分)
第一次試験:10月1日 合格発表:10月10日
第二次試験:10月12日または13日 合格発表:10月20日
■大卒程度試験(教養区分除く)
第一次試験:4月30日 合格発表:5月12日
第二次試験:5月28日、5月30日~6月16日 合格発表:6月30日
■大卒程度試験(教養区分)
第一次試験:10月1日 合格発表:10月18日
第二次試験:11月14~22日の間の連続する2日間 合格発表:12月8日

国家公務員一種の受験料

公務員試験はその性質から、一般企業の就職試験と同じなので、受験料はかかりません。

一般企業では交通費を一部負担してくれる企業もありますが、公務員試験ではそのようなこともないので注意しましょう。

専門試験の区分

総合職の院卒者試験の区分は、「行政」「人間科学」「工学」「数理科学、物理、地球科学」「化学、生物、薬学」「農業科学、水産」「農業農村工学」「森林、自然環境」「法務」に分かれます。

大卒程度試験では、「政治、国際」「法律」「経済」「人間科学」「工学」「数理科学、物理、地球科学」「化学、生物、薬学」「農業科学、水産」「農業農村工学」「森林、自然環境」「教養」に区分されています。

行政が人気で倍率が高い

平成28年度の結果では、総合職の院卒者試験では「行政」の倍率が約4倍と一番の人気でした。

大卒程度試験では、「政治、国際」が一番高い倍率で、1,638人の申込者数で最終合格者数は18名でした。

国家公務員一種に関するおさらい

国家公務員一種に関するおさらいは以下の通りとなります。

  • 従来、国家公務員一種と言われていた試験は、平成24年度に総合職と名称変更し、院卒者試験と大卒程度試験に分けられた。
  • 総合職は「主として政策の企画立案等の高度の知識、技術又は経験を必要とする業務に従事する係員の採用試験」であり、キャリアと呼ばれ、事務次官への昇進もありえる。
  • 平成28年度の院卒者試験(法務区分除く)倍率が4.62倍、大卒程度試験(教養区分除く)では7.05倍。
  • 平成29年度の国家公務員総合職の試験時期は、例年よりも早まった。

参考:国家公務員試験 採用情報NAVI