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この記事では、「省略」意味や使い方、「割愛」との違い、類語・同義語、英語表現について解説します。
「省略」は日常的によく耳にする言葉です。ビジネスシーンでも「詳細は省略させていただきます」など頻繁に使われています。「割愛」と混同されがちで、正しい意味を理解せずに表現しているケースも少なくありません。
省略はビジネスにおいても必要不可欠な熟語です。この記事を通して、省略の正しい意味と使い方を理解して、ご自身のスキルアップにつなげてください。
省略とは
省略は、日常的にも使用する言葉ですが、あまりにも使い慣れているため、正しい意味を追求することはあまりありません。同じような意味合いの「割愛」と混同して使っている人もいるかもしれません。
省略の意味
省略は、「簡単にするために一部を取り除くこと」の意味で、「しょうりゃく」と読みます。「省」は、「不要なものとして取り除く」「いらないものとして排除する」の意味が、「略」には、「大事なところだけ残して、他の除き去る」「簡単にする」の意味があります。
この2つの意味が合わさったのが、「省略」です。省略は現代では「しょうりゃく」と読むのが一般的ですが、古くは漢音で「せいりゃく」と読まれていました。漢音とは、隋唐時代に遣唐使や留学僧などにより日本に伝えられた漢字音のひとつ。
『随筆・孔雀楼筆記(1768)二』
省略の使い方や例文
省略は、「簡単にするために一部を取り除くこと」ですから、冗長な文章や重複箇所を取り除くことで、端的な文章の作成や効率的なプレゼンテーションなどをおこなう時に使用します。
- 機能説明の部分が冗長なので、不要な箇所は省略して端的に説明してください。
- 具体的な事例については、今日は時間がないので省略します。
- 加害者である社長は、肝心な部分は省略して自己弁護に終始していました。
- あまりにもいろいろなことが起きて、何を省略して話したら良いのか見当がつきません。
省略の関連用語として、「省略語」や「省略記号」があります。
省略語とは、言葉の一部を省いて短くしたもので、「近畿ツーリスト」を「近ツリ」、「スマートフォン」を「スマホ」と簡潔にする呼び方です。世の中にはさまざまな省略語であふれています。SNSなどでは若者を中心に「以下省略」を「(ry」と表現しているようです。
ちなみに、「(ry」は、「以下省略」→「以下略」→「ryaku」→「(ry」に変わっていったそうです。
省略記号とは、文字や図などで省略をおこなう記号のことです。省略記号は日常的に使われています。例えば、「株式会社」を「(株)」、「センチメートル」を「cm」、円を「¥」など、幅広いジャンルで使用されています。
「省略」と「割愛」の違い
省略と同じような意味で使われているのが「割愛(かつあい)」です。どちらも一部を取り除く意味ですが、割愛には、省略にはない意味合いがあります。この意味合いを知らずに省略を使うと恥をかくことになるので注意が必要です。
割愛は、「惜しいと思いながらも省略したり捨てたりすること」の意味です。つまり、時間的や文字数の問題で、本意ではなく残念に思いながら省略するのが「割愛」なのです。本当は全てを表現したいのに、仕方なく取り除くのです。
結婚式などの祝電紹介の際に、司会者が「まだまだ多くの祝電が到着しておりますが、時間の都合上割愛させていただきます」というのをよく耳にします。もし、これを「省略させていただきます」と言ったらどうでしょうか?
言葉の意味を知っている人なら、「失礼だ」と感じるでしょう。「全部の祝電をご紹介したいのに仕方なく省略する」のですから、当然「割愛」を使わなければなりません。しかし、意外にもこの割愛の意味を誤解している人が多いようです。
平成23年度に文化庁がおこなった「国語に関する世論調査」では、割愛の意味を「不必要なものを切り捨てる」と答えた人が65.1%、「惜しいと思うものを手放す」は17.6%となっています。全体の65%の人が割愛の正しい意味を理解していないのです。
正式な場所で恥をかかないためにも、省略と割愛の違いは、しっかりと頭に入れておきましょう。
「割愛」とは?意味や語源、「省略」との違いなどを解説
省略の類語・同義語
省略の同義語としては、「略す」が一般的に使用されています。また、古い小説などでは「省約」と言う表現も見られます。また、類語として「切り捨てる」「取り除く」「かいつまむ」「省筆」などがあります。
「略する」の五段化。全体のうち一部分をはぶく。一部をはぶいて簡単にする。
例文
はぶいて簡単にすること。はぶいて短くすること。
例文
切り取ってその部分を捨てる。無益なもの、不要なものとして捨て去る。
例文
取ってなくす。とりのける。
例文
要点を大ざっぱにとらえる。概括する。
例文
文章の中の語句を省略すること。語句を省略すること。
例文
『カズイスチカ』森鴎外(著)
省略の英語表現
省略の英語表現には、「omission」「abbreviation」「ellipsis」があります。日本語の「省略」にもっとも意味が近いのが「omission」で、「省略する」という動詞の「omit」は、一般的によく使われています。
「abbreviation」は「略語」「短縮」という意味合いで、「ellipsis」は「省略記号」の意味が強くなります。動詞では、「omit」の他に「abbreviate」がありますが、「短くする」というニュアンスが強くなるので使い方には注意が必要です。
調査の結果、彼女の名前が省略されていたのは故意ではありません。
Oct.は、October(10月)の省略です。
彼は彼女の機嫌を損ねそうなことは一切省略しました。
省略記号は、ここでは必要なく何の価値もありません。
まとめ この記事のおさらい
- 省略は、「簡単にするために一部を取り除くこと」の意味。
- 割愛は、「惜しいと思いながらも省略したり捨てたりすること」の意味で、省略には惜しいという意味合いは含まれません。
- 省略の同義語は、「略す」「省約」、類語としては、「切り捨てる」「取り除く」「かいつまむ」「省筆」など。
- 省略の英語表現には、「omission」「abbreviation」「ellipsis」などがあります。