「教養」とは?意味や使い方、「素養」との違いなどを簡単に解説

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この記事では「教養」について解説しています。教養は一般に「人が持つべき常識と広範な知識」という意味で使われますが、それとは別に「幅広い知識を得ることで文化的な創造力と理解力、および調和のとれた人格と品位を養うこと」という意味もある言葉です。

教養について語る上で「人格と品位を養うこと」という目的は外せません。そこでこの記事では教養の意味と語源、使い方といった辞書的な知識とともに、教養の身につけ方と教養のある人の特徴、および教養と素養の違いなどについても掘り下げていきます。

教養の読み方と意味

アンソロジーとは
「教養」という熟語は「きょうよう」と読みます。教養の意味は大きく分けて3つあります。ひとつは「教え育てること」つまり教育すること。古くは「教養」に「する」をつけて、「教養する」という動詞的表現も使われていました。

2つめの意味は、さまざまな文化や芸術に関する幅広い知識や造詣のこと。3つめの意味は幅広い知識と造詣が、ものごとの理解力や創造力など人の精神文化的な能力を調和的に育み、ひいては人の品位や人格の発達に貢献している状態のことです。

教養は明治時代以降、近代的な教育環境を構築する過程で重視された概念のひとつです。そのため現代でも日本の多くの大学では教養課程と専門課程を区分しており、入学後1~2年次を一般教養課程として人文科学や社会科学、自然科学など幅広い科目を学生に履修させています

教養の語源

「教養」の語源は不明ですが歴史は古く、日本書紀や中世の古書などに使用例が見られます。ただし古語の「教養」は「死者を弔う=先祖の仏事」という意味をあらわしますので、現代語の「教養」とは全く違う言葉だと考えたほうが良いでしょう

現代語の「教養」は明治時代に英語の「education=教え育てること」の中国語訳として伝わったものとされています。それが大正時代以降になって「人の品位や人格の発達に求められる知識」という意味で用いられるようになったものと考えられます。

教養の使い方


教養の文法的な使い方としては「知性と教養」「教養として身につける」などのように名詞として用いるか、格助詞の「が」「の」「に」「を」で用言に続けて「教養がある」「教養のあらわれ」「教養に富む」「教養を高める」などと表現するのが一般的です

口語体では「教養ある人」「教養あふれる」のように格助詞を省略することもありますが、「教養ない」とは言いません。また明治時代から昭和初期にかけては「教育する」という意味で「教養する」「教養される」という表現も使われましたが、現代では全く使われない用法となっています。

教養の身につけ方


「教養」というと学生時代に履修する教科のように思われがちですが、先述したように教養とは単に知識や学問を習得することではありません。社会生活に根ざしたさまざまな文化や芸術に全般に精通することで、人としての品格を養うことに教養の意義と目的があります

少子高齢化が進む現代社会では、生涯にわたって教養の獲得と品格の完成をめざして研鑽を続ける「生涯学習」の心構えが重要です。では品格ある教養を身につけるには具体的に何を学び、何を考え、何に取り組めば良いのでしょうか。

ひとくちに「教養を身につける」と言っても、その方法は人によって異なります。大切なことは自分が理想とする生き方を考察すること。そして、いま取り組むべき課題を認識することです。自分が身につけたいと思うことがあれば、まずそこから始めましょう。

外国人と接する機会が多い人は外国語を学習すると良いでしょう。外国人と接する機会が多ければ多いほど学習効率も高くなります。また外国語を身につけるには言葉の意味や言い回しだけでなく、その国の歴史や文化なども合わせて学ぶことが重要です

幅広い教養を手軽に身につけたい人には読書がおすすめ。近所に図書館がある人はさっそく足を運んでみましょう。図書館によってはさまざまな講座やイベント、セミナーなどを開催しています。興味があれば参加してみるとよいでしょう。

専門分野の高度な知識を身につけたい方は、NHK教育テレビジョンの教養番組や、大学などの教育機関が開設しているインターネットのオンライン講座を受講する方法も。また全国の公的機関をはじめ新聞社などのマスコミ各社も多くのウェビナー(Webセミナー)を主催しています。

ほかにも美術館や博物館、コンサートなどに足を運んだり旅行に行ったりして、さまざまな文化や芸術、風土に直接触れてみるのもおすすめです。

教養のある人の特徴


先の項目では触れませんでしたが、教養を身につける上で最も効果的な方法のひとつは、教養のある人と親しくなること。そこでここでは教養のある人を見極めるポイントとなる特徴をふたつ解説します。

幅広い分野の知識がある

教養は「広く浅い知識」と思われがちですが、教養のある人は幅広い領域にわたる深い知識を持っています。どの分野でも浅い知識しかない人は意見や考察に深みがなく柔軟な対応力もありません。教養のある人の洗練された人格は広範で深い知識に由来しています。

相手や状況に合わせた会話ができる

人とのコミュニケーション力が高いことも確かな教養を身につけた人の大きな特徴です。いくら知識が豊富でも「君よりも私の方が知識がある」と言わんばかりにドヤ顔で蘊蓄をひけらかしすことでマウンティングをしてくるような知ったかぶりは教養人とは言えません。

教養のある人は本やネットのコンテンツだけでなく、人と人との直接的なコミュニケーションからも多くの知識を得ています対人関係における意思疎通が円滑で、聞き上手でもあり話し上手でもあるというコミュニケーション能力の高さもまた教養の証と言えるでしょう。

教養と素養の違い


教養とよく似た意味の言葉に「素養(そよう)」があります。「素養」は「ふだんから修養を重ねることで身につけた豊富な知識や高い技能」をあらわす言葉です。「教養」も「素養」に含まれると考えることもできますが、素養には教養とは違う点が3つあります。

ひとつは「素養」には技能も含まれること。「音楽の教養」は音楽に関する知識を言いますが、「音楽の素養」というと「ピアノなどの楽器が上手に弾ける」という意味も含まれます。ふたつめの違いは、「教養」には人としての品格の意味も含まれることです。

素養は常日頃から研鑽を積むことで身につけた知識や技能をあらわす言葉です。素養に品格のニュアンスはありません。3つめは、素養に「教える」という意味はないこと。「教養」には「教養する」という用法がありますが、「素養する」という表現はできません。

まとめ

  • 教養とは教え育てること、さまざまな文化や芸術に関する幅広い知識や造詣のこと、幅広い知識と造詣が人の品位や人格の発達に貢献している状態のこと、などを意味する言葉です。
  • 教養は古くから使われている言葉ですが、現代語の教養は明治時代に伝わった「education」の中国語訳が由来です。
  • 教養という言葉の使い方は名詞として格助詞をつける用法が一般的です。
  • 教養のある人には幅広い分野の知識があり、相手や状況に合わせた会話ができるといった特徴があります。
  • 教養と素養の違いとしては、素養には技能の意味も含まれること、素養には「品格」や「教育する」という意味が含まれないことがあげられます。