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この記事では「ヒューリスティック」について解説いたします。
どこかしらで聞いたことはあっても、その意味や使い方まではよく分かっていないという人も少なからずいることでしょう。
そこで今回は「ヒューリスティック」の語源や種類、関連用語なども交えてピックアップしました。
それでは一つずつ確認していきましょう。
「ヒューリスティック」の意味とは
「ヒューリスティック」は「必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法」です。
答えの精度が保証されない代わりに、解答に至るまでの時間が短いという特徴があります。
計算機科学と心理学の分野で主に使用される言葉で、どちらの分野での用法も根本的な意味は同じです。
ただし計算機科学ではプログラミングの方法を指しますが、心理学では人間の思考方法を指します。
「ヒューリスティック」の語源
「ヒューリスティック」の語源は「見つけた」を意味するギリシャ語の「Eureka」とされています。
「Eureka」は「エウレカ」や「ユーレカ」などと呼ばれています。
「ヒューリスティック」の種類
「ヒューリスティック」には様々な種類があります。
この項目では、「ヒューリスティック」の種類として4つ取り上げました。
代表性ヒューリスティック
「代表性ヒューリスティック」とは典型的な特徴や固定観念で判断や意思決定することです。
「代表性ヒューリスティック」の代表例として「リンダ問題」が非常によく取り上げられます。
「リンダ問題」とは以下のようなものです。
学生時代は差別や社会正義といった問題に深く関心を持ち、反核デモにも参加した。
どちらの可能性がより高いか?
1.リンダは銀行窓口係である。
2.リンダは銀行窓口係で、フェミニスト運動に参加している。
上記の質問に対し、多くの人は2を選択します。
リンダは反核運動に参加はしていても、フェミニズム活動をしていた事実はないのに、人は勝手に2つを結びつけてしまうということです。
利用可能性ヒューリスティック
「利用可能性ヒューリスティック」とは少し考えて思い出せる過去の情報をもとに判断する方法で、「想起ヒューリスティック」とも呼ばれるものです。
例えば高齢者ドライバーが大きな事故を起こしたとして、半年間で高齢者が起こした事故がこの1件だったとしても、ニュースとして頻繁に目にすると「高齢者ドライバーは危ない」と思い込んでしまうというようなことが挙げられます。
係留と調整ヒューリスティック
「係留(アンカリング)と調整ヒューリスティック」とは、最初に得た情報を手がかりにして推定する方法です。
係留とは船をロープでつなぎとめておくことで、海底に沈めて船を固定する「アンカー(いかり)」に由来します。
係留と調整ヒューリスティックの効果を理解するための例としては、次のようなものがわかりやすいかもしれません。
多くの人は5000万人~7000万人くらいと推定する。
多くの人は1000万人~3000万人くらいと推定する。
(引用元:市川伸一(1997),『考えることの科学 推論の認知心理学への招待』中央公論新社)
これらの例ではどちらも「トルコの人口は何人か?」と聞いています。
しかし「6,000万人」や「2,000万人」という数字に影響され、被験者の答えは大きく変わるというのが特徴です。
このように事前に聞いた情報を基準にして答えを出してしまうのが、「係留と調整ヒューリスティック」で、アンカーによって考えが左右されてしまうのは「アンカリング効果」と呼ばれます。
シミュレーション・ヒューリスティック
シミュレーション・ヒューリスティックは、経験や先入観などから架空のシナリオを思い描いて結果を推定する方法です。
社会心理学者のスーザン・フィスク教授とシェリー・テイラー教授によると、シミュレーション・ヒューリスティックは将来の予想・因果推論・反実仮想などに使われるとされています。
「ヒューリスティック」のビジネス上での使い方
「ヒューリスティック」のビジネス上の使い方としては、以下のようなものが考えられます。
警察官や看護師など、その職業特有の制服を着ていることからその人が何の職業に就いているかを推測することができます。
この例では、制服姿から彼が警察官であることが分かったということです。
「ヒューリスティックと「アルゴリズム」の違い
「アルゴリズム」は問題解決のための算出方法で、論理的に正しい答えを導き出すことを指します。
この二つの言葉の違いは次のようなものです。
・アルゴリズム:時間をかけて論理的に正しい答えを出す
「ヒューリスティック」と「認知バイアス」の違い
行動経済学には「認知バイアス」と呼ばれる概念があります。
「認知バイアス」は多くの人が同じように陥ってしまう判断ミスのパターンのことで、100種類以上あるとされているものです。
「ヒューリスティック」と「認知バイアス」の違いは、以下のように説明できます。
「難しい問題を簡単な問題に置き換えて考える」という思考のプロセス
「ヒューリスティック」によって起こる判断ミスの中で、特に多くの人が同様に陥ってしまうよくある判断ミス
「ヒューリスティック」を使った関連用語
「ヒューリスティック」には様々な関連用語があります。
この項目では、「ヒューリスティック」の関連用語として3つ取り上げました。
「ヒューリスティック分析」
「ヒューリスティック分析」はWebサイトやアプリをユーザーにとって使いやすいよう改善するためにおこなう分析手法です。
ユーザビリティテストなどユーザーによる評価と異なり、UI/UXの「専門家」が評価するという特徴があります。
「ヒューリスティック評価」
「ヒューリスティック評価」は経験則(ヒューリスティックス)に基づいてユーザビリティを評価し、 UI上の問題を発見する手法です。
ユーザビリティの専門家が問題点を抽出しそれに対する改善案を提案するもので、ニールセン博士らが1990年に発表しました。
「ヒューリスティック法」「ヒューリスティックスキャン」
「ヒューリスティック法」はウイルスセキュリティソフトの判断方法の一つで、怪しい動きをするマルウェアらしいものをすべて排除する方法です。
セキュリティソフトでは攻撃を受けたことがある物や攻撃をしてくるものに対して防ぐ機能が一般的ですが、未然に防ぐために、攻撃をする前に怪しい動きをしているものを排除するのに「ヒューリスティック法」が活用されています。
また「ヒューリスティックスキャン」はウイルス対策ソフトウェアで採用されている、ウイルスの行動パターンを推論して検知する方法です。
システム領域やDLLの書き換えなど、通常のプログラムが実行しないようなウイルス特有の挙動を検知することでウイルスを発見することができます。
「ヒューリスティック」の類義語と例文
「ヒューリスティック」の類義語は、「発見的手法」や「経験則」などが挙げられるでしょう。
またそれらの類義語を使うと、以下のような例文を作ることができます。
「発見的手法」は「ヒューリスティック」の訳語です。
「発見的手法」の特徴として、短時間である程度のレベルで答えを導くことができることが挙げられます。
「経験則」は「経験から得られる知識や法則のこと」です。
この例では、経験から得られる知識や法則から正しい答えを出すことができたということを表現しています。
「ヒューリスティック」の対義語と例文
「ヒューリスティック」の対義語は「アルゴリズム」が適切です。
「アルゴリズム」の例文は、下記のようなものがあります。
「アルゴリズム」は「ある特定の問題を解く手順を、単純な計算や操作の組み合わせとして明確に定義したもの」です。
論理的に解を出すことができますが、その分時間がかかるという特徴があります。
「ヒューリスティック」の英語表現
「ヒューリスティック」の英語表現は、その英語表現である「heuristics」が適当でしょう。
意味は「ヒューリスティック」とそこまで変わりません。
まとめ この記事のおさらい
- 「ヒューリスティック」は「必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法」
- 「ヒューリスティック」の語源は「見つけた」を意味するギリシャ語の「Eureka」
- 「ヒューリスティック」の種類としては「代表性ヒューリスティック」や「利用可能性ヒューリスティック」などが挙げられる
- 「ヒューリスティック」はこれまでの経験から短時間でほぼ正しいと思われる答えを出すのに対し、「アルゴリズム」は時間をかけて論理的に正しい答えを出すという違いがある
- 認知バイアス」とは「ヒューリスティック」によって起こる判断ミスの中で、特に多くの人が同様に陥ってしまうよくある判断ミスのこと
- 「ヒューリスティック」を使った関連用語は「ヒューリスティック分析」や「ヒューリスティック評価」といったものが考えられる
- 「ヒューリスティック」の類義語は、「発見的手法」や「経験則」などが挙げられる
- 「ヒューリスティック」の対義語は「アルゴリズム」が適切
- 「ヒューリスティック」の英語表現は、その英語表現である「heuristics」が適当