ここでは「玉串料」について解説いたします。

玉串料は、神事の際に神社に奉納する幣帛料(へいはくりょう)というお供えのひとつです。神社へのお供えといってもお賽銭のように身近なものではないので、くわしいことはわからない、という人も多いのではないでしょうか。

日本人にとって神事は日々の暮らしに根づいた習慣のようなもの。今は予定がなくても、玉串料が必要になるケースがいつ訪れるとも限りません。そんなときに困らないように、ぜひこの記事をお読みになり、玉串料の知識を深めましょう。

玉串料とは

「玉串料」は神道の行事で神前にお供えする金銭のひとつで、「御玉串料」とも表記します。

玉串とは、常緑広葉樹の榊(さかき)の枝に白い紙垂(しで)や木綿(ゆう)をつけて、神前に奉奠(ほうてん)するもの。古くから神がやどる「依り代(よりしろ)」として、神事の際に用いられてきました。

玉串や神饌(しんせん・神の食物)などの供物(くもつ)は、本来ならば参拝者が用意します。それができない場合には、神社の方に用意を委任し、その謝礼金として玉串料を奉納するようになりました。

現在では、神前結婚式や霊祭(神式の葬儀)をはじめ、地鎮祭や各種祈願などをとりおこなう際に、神に対するお供えと謝礼の気持ちを込めて、「玉串料」の名目で金一封を奉納することが一般的になっています。

玉串料の由来

日本では、古くから岩や樹木は神がやどる「依り代(よりしろ)」だと信じられてきました。神をまつる神社がまだなかった時代には、大きな岩や大木が神聖なものや場所としてあがめられました。

そのような場所は神聖な領域として常緑樹で囲む風習があったと言われています。また先がとがった木の枝なども神が好む「依り代」とされました。おそらくそれは落雷しやすいことが理由と考えられます。

榊は常緑樹で年中つややかな青葉をたたえて枝ぶりも良く、しかも葉先がとがっているので「依り代」にふさわしい樹木として、古くから神事に供されました。

玉串の由来は、天照大神(あまてらすおおみかみ)の「天の岩戸」伝説にあります。天照大神は古事記や日本書紀などに記された日本神話の主人公といえる太陽の神です。

神話の天照大神は、弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴な行いに嫌気がさして「天の岩戸」に閉じこもってしまいます。すると世界中が闇に包まれ、さまざまな厄災に見舞われました。

困った八百万(やおよろず)の神々は、思案の末に岩戸の前で神楽や舞いに興じて天照大神の気を引こうとします。そのとき榊の枝を玉や鏡や布で飾って捧げ持ち、天照大神のお出ましを仰ぎました。それが玉串の由来とされています。

「玉串」の語源については諸説あります。たとえば江戸時代の国学者、本居宣長は「神前に手向けるための手向串(たむけぐし)」が由来だと主張しています。

ほかにも竹串に玉をつけた「玉串」が由来とする説や、神霊が串にやどるという意味で「霊串(たまぐし)」とする説などがあります。

神道では、玉串には神饌(しんせん・神の食事)と同じ意味があるとされています。日本人は古来より作物の豊作や収穫を神に感謝して、玉串とともに酒や米、野菜や魚などを神饌として奉納しました。

やがてその供物がお金に代わり、玉串料として神前に奉納されるようになったと考えられています。

玉串料と初穂料の違い

たとえば私たちが神社で祈祷を受ける際に、祈祷料を意味する表書きとして「玉串料」のほかに「初穂料」と書くことがあります。両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

初穂料の「初穂」とは、その年に収穫された最初の稲穂のこと。農業で国を築いた日本では、収穫の時期には神に初穂を供えて実りを感謝する習慣が根づいています。他にも野菜や果実、魚介類などの初物も同じように供えました。

やがて「初穂」の意味は変化して、「初物」だけでなく「神への供物」全般をあらわすようになりました。そして神前に感謝の意を込めて奉納する金銭のことを「初穂料」と呼ぶようになりました。

現代では、「初穂料」の奉納は農作物の収穫期とは無関係になり、交通安全や厄除け祈願、七五三など神社で行う祭事の御寄進として供えられています。また社務所で御札や御守を購入したお金も「初穂料」です。

「初穂料」と「玉串料」との最大の違いは、「初穂料」が神への感謝を示すことにあります。したがって霊祭や弔事などの不祝儀に「初穂料」と記すのはふさわしくありません。その点には注意が必要です。

慶事や神事以外では「御玉串料」「御神前」「幣帛料」などとするのがよいでしょう。

玉串料の金額相場はいくら?

玉串料は冠婚葬祭や御祈祷など、神式で行う行事全般で幅広く使うことができます。

金額は地域や神社によってちがいますが、一般的には、お宮参りや七五三では5千~1万円。結婚式では5~10万円。新築工事の地鎮祭や車の安全祈願では2~3万円。霊祭の場合は30~50万円が相場とされています。

玉串料をのし袋に包むときのマナー

玉串料も一般的な謝礼や香典と同様に、のし袋を使います。

のし袋・水引の選び方

玉串料を入れるのし袋は一般用と同じく、慶弔によって紅白の祝儀袋と白黒の不祝儀袋を使い分けます。水引の色や結び方も用途によってちがいますので、まちがえないように注意しましょう。

結婚式では慶事用の祝儀袋を使いましょう。水引は紅白か金銀の結びきりを合わせます。結婚式以外の祝い事では、何度も結び直せる蝶結びの水引を使うことで、何度もお祝いしたい気持ちを表現します。

一方、弔事の玉串料には不祝儀用ののし袋を使いましょう。水引は双白か双銀で結びきりのものを使います。白黒の水引でもかまいませんが、神道では弔事用の水引は双白か双銀が基本です。

また、市販の不祝儀袋の中にはグレーの蓮の絵柄がプリントされたものもあります。蓮は仏式の絵模様ですから、神式やキリスト教の葬儀には使いません。その点をまちがえないように注意してください。

表書き・中書きの書き方

のし袋には表書きと中書きがあります。表書きとは、水引を結ぶ外側の袋をいいます。まず水引を表書きから外して、上段の中央に毛筆で「玉串料」と書きましょう。下半分には贈り主の氏名を書き入れます。

字の大きさは上段の「玉串料」よりやや小さめが基本です。習字が苦手でも、心を込めて一字一字ていねいに書きましょう。毛筆や筆ペンがない場合は、太めのサインペンでも問題ありません。ただし万年筆やボールペンは避けましょう。もちろん鉛筆は論外です。

毛筆の場合、墨の色は不祝儀用は薄く、祝儀用は濃くするのが基本です。慶事に文字を濃くするのは、慶びの気持ちを表現するためです。

表書きの内側には「中書き」という、お金を入れる無地の白い封筒があります。中書きの表には金額を漢数字で縦に書き入れます。漢数字は旧字で「金伍萬圓也」のように書くのが基本です。「圓」は「円」でもかまいません。

お札の入れ方

玉串料のお金の入れ方は、一般的なのし袋のマナーと同じです。結婚式などの慶事では、「この日のために用意していました」という意味で、新札を入れるのが基本。逆に弔事に新札を使うのはタブーとされています。

弔事の玉串料にやむをえず新札を使う場合は、お札に折り目をつけてください。

まとめ

・「玉串料」は、神事の際に神社に奉納する金銭のことです。

・「玉串料」と同様の奉納金に「初穂料」があります。

・「初穂料」は神への感謝を意味する奉納金なので、不祝儀には使いません。

・「玉串料」を包む際は、慶弔に合わせたのし袋を使います。