おもむろに|正しい意味やよくある誤用などを解説

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この記事では「おもむろに」の意味や使い方について解説いたします。

色々な場面で見聞きすることがある言葉ではありますが、どのような意味で使う言葉なのかは今一つ理解していないという人もいるかもしれません。

そこで今回は「おもむろに」の漢字表現やよくある誤用、ビジネス上での使い方や類義語、対義語や英語表現なども交えてまとめました。

それでは一つずつ確認していきましょう。

「おもむろに」の意味と使い方

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「おもむろに」は、「落ち着いてものごとを始めること」や「ゆっくりとしずかに行動を起こすこと」という意味です。

ある状態から急ぐことなくゆるやかに、ある動きを始める様子を指します。

「進行や変化がゆったりとしていて、焦らず急がずゆっくりしている様子」という意味で使われる言葉です。

「おもむろに」は初めからのんびりと動作や挙動が遅いことではありません。

止まっている状態から、急発進せず、ゆっくりと動き始めることを意味します。

そのため周囲には「すぐにやらないでもったいぶっている様子」として映ることがあるかもしれません。

また「おもむろに」の使い方としては、例えば次のようなものが挙げられます。

リラックスしたくて、ベッドでおもむろに目を閉じた。

疲れたり一息ついたりしたいときには、横になって目を閉じることが効果的な休憩手段の一つです。

この例では、リラックスしたくてベッドでゆっくりと目を閉じたということを表しています。

先生は一通りの説明をした後、おもむろにその内容を板書した。

学校の先生は授業において、口頭で説明をしたり黒板に要点を書いたりします。

今回の例だと、先生が一通りの説明をした後にゆっくりとその内容を黒板に記入したということです。

「おもむろに」の漢字表現は「徐に」

「おもむろに」は漢字に直すと「徐に」です。

「徐」は「徐々に」や「徐行」などの言葉で使われますが、これが「おもむろに」を理解するうえで重要なポイントとなってきます。

なぜなら「徐々に」は「少しずつ進行したり変化したりするさま」、「徐行」は「(車などが)速力をゆるめて進むこと」という意味があることからも分かるように、「徐」は「ゆったりと」や「ゆっくりと」を意味するからです。

この漢字表現を覚えておけば、「おもむろに」の意味も合わせて覚えやすいかもしれません。

「おもむろに」のよくある誤用とは?

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「おもむろに」は「突然」や「不意に」という意味で用いられることがありますが、これはよくある誤用です。

「おもむろに」は日本語の中でも誤用が多い言葉の一つとされています。

文化庁の調査では何と約40%にも上る人が本来の意味とは異なる「突然」や「不意に」という意味で誤用をしているという結果が出ているほどです。

「おもむろに」に誤用が多い理由として、「おもむろに」という言葉の響きが「思いっきり」や「思い切って」などに似ているということが挙げられます。

これらの言葉には「ためらうことなく」や「振り切って素早く行動する」というニュアンスがあるため、「おもむろに」は「突然」や「不意に」といった誤解をされてしまったのかもしれません。

「おもむろに」のビジネス上での使い方

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「おもむろに」はビジネス上でも使われることがある言葉です。

ビジネス上での使い方としては、以下のようなものが考えられます。

社長は登壇後全員の顔を見回し、おもむろにスピーチを始めた。

マイクの前に立ってすぐに話し始める人もいれば少し間を置いてから話し出す人もいますが、一般的にはゆったりとしている人の方が貫禄や余裕があるとされています。

したがって役職者など上に立つ人は、意図してゆっくりと話をするという人もいるほどです。

今回の例でも、社長は登壇した後に社員全員の顔を見回し、それからゆっくりとスピーチを始めたということでしょう。

何か良いアイディアが浮かんだのか、彼女はおもむろに何かを書き出した。

あれこれと考えを巡らした後に何か思いつくと、それを忘れないように紙やパソコンなどにアウトプットすることがあります。

この例でも、何か良いアイディアが浮かんだから彼女はゆっくりと何かを書き出したのかもしれません。

「おもむろに」の類義語と例文

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「おもむろに」の類義語としては、「やおら」や「悠然と」などがあります。

また上記の類義語を使った例文としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

隣で赤ちゃんが寝ているので、起こさないようにやおら立ち上がった。

「やおら」は「落ち着いてゆっくりと動作を始める様子」という意味です。

この例では、隣で赤ちゃんが寝ているので、起こさないようにゆっくりと立ち上がったということを表現しています。

彼の悠然とした態度を見ていると、焦る気持ちが薄れてきた。

「悠然と」は「物事に動揺せず、落ち着いていること」という意味があります。

アクシデントや突発的な事故などがあると焦ってしまうものですが、そんな中で落ち着いている人がいると焦りも薄くなっていくものです。

今回の例でも、彼の動揺せず落ち着いた様子を見ていると焦る気持ちが薄れてきたということを表しています。

「おもむろに」の対義語と例文

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「おもむろに」の対義語は「にわかに」や「やにわに」「がぜん」などが該当します。

また上記の対義語を使った例文としては、下記のようなものが考えられるでしょう。

彼女はやにわに走り出すと、どこかに行ってしまった。

「やにわに」は「その場ですぐ」や「いきなり」、「突然」といった意味です。

今回の例では、彼女はいきなり走り出すと、どこかに行ってしまったということを表現しています。

天候がにわかに変わり始めた。

「にわかに」には「物事が急に起こるさま」や「突然」といった意味があります。

この例では、天候が突然変わり始めたということです。

なお「にわかに」は「にわか雨」のように名詞の前につく形で使われることがあり、この場合は「急に降りだしてまもなくやんでしまう雨」を意味しています。

「おもむろに」の英語表現

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「おもむろに」の英語表現は、「slowly」や「gradually」が適切でしょう。

どちらも「ゆっくりと」や「ゆったりと急がず」といったニュアンスがあるため、挙動がゆっくりしていて静かに動くような様子を表す時に使うことが可能です。

まとめ この記事のおさらい

・「おもむろに」は「落ち着いてものごとを始めること」や「ゆっくりとしずかに行動を起こすこと」という意味がある

・「おもむろに」は初めからのんびりと動作や挙動が遅いことではなく、止まっている状態から、急発進せず、ゆっくりと動き始めることを意味する

・「おもむろに」は漢字に直すと「徐に」で、「徐々に」や「徐行」などの言葉にも使われていることをイメージすると覚えやすい

・「おもむろに」は「突然」や「不意に」という意味で用いられることがありますが、これはよくある誤用

・「おもむろに」に誤用が多い理由として、「おもむろに」という言葉の響きが「思いっきり」や「思い切って」などに似ているということが挙げられる

・「おもむろに」の類義語としては、「やおら」や「悠然と」などが挙げられる

・「おもむろに」の対義語は、「にわかに」や「やにわに」といったものが考えられる

・「おもむろに」の英語表現としては、「ゆっくりと」や「ゆったりと急がず」といったニュアンスがある「slowly」や「gradually」が適切