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この記事では、「際して」の意味や使い方、類語、英語表現について考察します。
「○○に際して」という表現は耳にしたことがあるはずです。なんとなく意味はわかっても、「○○に関して」との違いも曖昧で、正確な意味を理解している人は、そう多くはないでしょう。
「際しては」は、ビジネスシーンだけでなく日常生活においても使われる言葉です。この記事を通して「際して」の正しい意味と使い方を理解し社会人としての知識の幅を広げてください。
「際して」の読み方・意味・使い方
「際して」は、「さいして」と読み、「ある行為や事態にあたって」「○○の折に」という意味です。具体的には、「ご入国に際してご注意いただきたいポイントが3つあります」というように、「入国」という行為に「付随して」というニュアンスが含まれています。
漢字の「際」は、「サイ」の他に「キワ」とも読みます。「キワ」と読む場合は、「二つの場所が接するところ」や「境目」、「物事がそうなろうとするその時」などの意味になり、他の言葉について「ギワ」と発音します。「山際(ヤマギワ)」や「生え際(ハエギワ)」、「死に際(シニギワ)」などがその例です。
「サイ」と読む場合は、主に「時」や「場合」、「機会」の意味になります。「実際(ジッサイ)」「有事の際(ユウジノサイ)」などのように使われます。また、「際(サイ)」には、「ある出来事や事態に出あう」という意味をもつ「際する」という動詞があります。
「際して」の文法
「際して」は、文法的には動詞の「際する」の連用形に、接続助詞の「て」がついた「連語」です。連語とは、二つ以上の単語が連結して、一つの単語と似たような働きをもつ言葉のことです。
つまり、「際する」の連用形と「て」という接続助詞が組み合わさって、「際して」という1つの意味をなしているのです。しかし、国語が得意な人は、「連用形」の意味を覚えているかもしれませんが、多くの人は忘れていますよね。
そんな方のために、「連用形」についてちょっと解説します。連用形とは、6つある「活用形」の1つです。「活用形」は、動詞の変化のことで、例えば、「話す」には、「話さない」「話します」「話す」「話すとき」「話せば」「話せ」などがあります。
「カ・キ・ク・ク・ケ・ケ」など「五段活用」を暗記した記憶はありませんか?
活用形の変化を表したのが、この「五段活用」で、活用形には、「未然形」「連用形」「終止形」「連体形」「仮定形」「命令形」の6つがあります。
連用形は、「ます」「た」などに続くもので、「、」で切られるような形。つまり、動詞の「際する」を「ます」に続く形にすると「際します」になり、これを「、」で切ると「際し」という連用形になります。
この連用形の「際し」に、接続助詞の「て」がついたのが、「際して」です。これが、「際して」の文法上の説明になります。
「際して」と「関して」の違い
「際して」に似た言葉で、「関して」があります。この2つの違いはなんでしょうか?
「関して」は、「○○について」「○○にかかわって」の意味で、何かに関連することについて述べる際に使う言葉です。例えば、「先日の企画案に関して、ひとつ提案があります」と言えば、企画案の内容についての意見になります。
これを、「先日の企画案に際して、ひとつ提案があります」とは言い換えられません。「際して」は、「時」や「場合」の意味ですから、内容については使えません。
また、「企画案に関して」と表現できても「企画案に際して」と言うのは、言葉足らずになります。「企画案を提出するに際して」など行動や事態を意味する言葉が必要です。
「際して」と「あたって」の違い
もうひとつ、「際して」に似た言葉が「あたって」です。「あたって」は、「○○する時に」という意味で、「際して」とも辞書で解説されています。つまり、ほぼ「際して」と同じ意味合いになります。
しかし、厳密に解釈すると「あたって」は、やや形式的な表現で、「ものごとの節目となるような重要な時期にさしかかって」という意味合いがあります。例えば、「年頭にあたって、社長から報告があります」と表現しますが、「年頭に際して」とは、あまり言いませんね。
基本的には、「際して」も「あたって」も同じような意味で使われますが、人生の節目のようなことに関しては、「あたって」を使うのが良いでしょう。
「際して」のビジネス上での使い方
「際して」は、ビジネス上でもよく使う言葉で、以下のような例文があります。
・商品の発注に際しては、地域によって手数料が異なりますので注意してください。
・お客様の接客に際してマニュアル以上の心を込めたおもてなしが大切です。
また、「際して」以外に、「〜の際」「〜の際に」「〜に際する」などの言い回しもあります。
・東京に来られる際には、ぜひ弊社にお立ち寄りください。
・契約に際する注意事項を熟読し、問題がなければ郵送願います。
丁寧な言い方は「際しまして」
「際して」は、連絡事項や注意書きなどで使うことが多い表現ですが、敬語表現ではありません。目上の人やお客様などに、「際して」を使うのは失礼になるので注意してください。
「際して」の敬語表現は「際しまして」です。普段敬語を使うような相手には、「際して」ではなく「際しまして」を使いましょう。
・商品の不具合に際しまして、多大なるご迷惑をおかけして心よりお詫び申し上げます。
「際して」の類義語と例文
「際して」の類語は、「関して」や「あたって」以外に、「おいて」「にあって」「ついて」「折に」などがあります。
「○○において」という形で、「場所」「時間」「事柄」などを示す言い方。
例文
・過去において起きたことが、現在には起こらない理由がどこにあるでしょう。
「時」「場所」「状況」を表わす言葉。おいて
例文
・労働力不足の状況にあって、外国人労働者を積極的に採用する企業が増加しています。
〜に関連して。〜を対象にして。
例文
・先月の定例会議について、追加報告がいくつかあります。
〜ときに。〜機会に
例文
・上京される折には、ぜひご連絡ください。
「際して」の英語表現
「際して」の英語表現では、「when」や「in」を使うのが一般的ですが、「on the occasion of」や「at the time of」を使った表現もあります。
決議を執行するに際して、府知事の認可が必要でした。
・In using the present appliance, please keep the following safety regulations.
この機器の使用に際しては、以下の安全規定に従ってください。
・Please contact me on the occasion of your next trip to japan.
次回の日本旅行に際しては、ご連絡ください。
・Please be aware of the precautions at the time of departing.
出発に際しては、注意事項をお守りください。
まとめ この記事のおさらい
・「際して(さいして)」は、「ある行為や事態にあたって」「○○の折に」という意味。
・「際して」は、「際する」の連用形に、接続助詞の「て」がついた「連語」です。
・「関して」は内容などについての表現で、「際して」は時や場所についての表現。
・「関して」と「あたって」は、ほぼ同じ意味ですが、厳密には違いがあります。
・「際して」の類語は、「おいて」「にあって」「ついて」「折に」など。
・「際して」の英語表現は、「when」「in」「on the occasion of」や「at the time of」などがあります。