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社会人になると「ほうれんそう(報告、連絡、相談)」の重要さを教えられます。中でも、業務の報告をする場面は多いでしょう。
ビジネスでは、忙しいけれど、業務報告だけをしたい場合があります。「取り急ぎご報告まで。」というフレーズを聞いたことがある人も多いでしょう。
しかし、ご報告までは使い方を間違えると大変失礼ないい方になってしまうため注意が必要です。
この記事では、ご報告までについて以下の点を解説します。
・ご報告までの使い方
・ご報告までの丁寧ないい方
・ご報告とご連絡の違い
ご報告までの使い方
ご報告といういい方は、接頭語の「ご」に「報告」という言葉がついたものです。
報告は、部下の立場から上司へ、後輩から先輩へ向けて使うのが一般的です。
上記の理由から、丁寧ないい方の「ご報告」という言葉自体は問題ありませんが、「まで」の部分には注意が必要です。
「~まで。」と、いい切りの形で終わっていると、冷たくぶっきらぼうな印象を与えてしまう可能性があります。また、口調が偉そうに聞こえてしまい、上司が不愉快に思うことがあります。
ご報告までは、目上の人に対しては使わないようにしましょう。
「取り急ぎご報告まで。」の使い方の注意
ご報告までは、冷たく失礼な印象を与えかねないため、言葉の前に「取り急ぎ」という言葉を付け加える人が多いですが、注意が必要です。
「取り急ぎ」とは「とりあえず今の段階での」という意味が含まれます。急用などがあり、先方に対して十分な準備や報告ができていないことを伝えるときにも使うため、至急の用件だけを伝えたいときに使いましょう。
上司によっては、部下から報告を受けるのに、不十分なまま自分に報告をしてくるのか、と不満に思う人もいます。「取り急ぎ」や「~まで。」のいい方を避ける場合には、以下の表現があります。
どうしても至急の用件だけを伝えたい場合は、一旦必要な部分だけ報告をし、後から必ず補足を入れるようにしましょう。
目上の人に「報告はたったこれだけか?」と思われないためにも「まずはご報告申し上げます。詳細は追ってご連絡いたします。」と、後から追加事項があることを最初に述べておくと、上司も安心するでしょう。
ご報告までの丁寧ないい方
前述した通り、ご報告までは「ご報告申し上げます。」といい換えることができます。
また、「ご~いたす」という形の謙譲語を使って「ご報告いたします。」と表現することもできます。
上記の表現を丁寧ないい方の基本形として覚えておくとよいでしょう。
ご報告いたしますは二重敬語ではない
「ご報告いたします。」を、二重敬語ではないかと疑問に思う方も少なくありませんが、「ご報告いたします。」は二重敬語ではありません。
二重敬語は、同じ種類の敬語を一緒に使った場合に起こります。
「ご〜いたす」は謙譲語、「ます」は丁寧語、となるため、二重敬語ではありません。
同じような例が以下の「お願いいたします。」です。
「お〜いたす」は謙譲語、「ます」は丁寧語であるため、二重敬語ではありません。
また、「お伺いいたします。」や「お伺いする」は「伺う」自体が「行く」や「質問する」の謙譲語であるため、二重敬語です。
お伺いする=お+伺う+する
「お〜いたす」「お〜する」が謙譲語で、「伺う」も謙譲語であるため、二重敬語になってしまっています。
ご報告とご連絡の使い分け
ご報告とご連絡の違いを見ていくには、それぞれの意味を理解する必要があります。
三省堂の新明解国語辞典第五版によると、それぞれの意味は以下の通りです。
与えられた任務について、その結果を述べること。
関係がある人々に情報などを知らせること。
誰かに物事を伝えるという意味では報告も連絡も同じようなものですが、伝える内容に違いがあります。
報告は、今自分がどのような状況にあるか、どこまでその仕事が進んでいるかについて知らせるのが目的で、連絡はその時々で発生した事実を関係者に知らせることが目的です。
「取引先の担当窓口の人が変わること」や「取引先のお店が定休日を変更すること」などは報告ではなく連絡です。
また、連絡は関係者に知らせる事であるため、上司から部下へ、部下から上司へ方向性は関係なく行われます。しかし、報告の内容は任された仕事についての進捗は、多くの場合、部下から上司へ行われます。
ご報告までをいいかえた例文
「まずはご報告申し上げます。後ほど電話にて詳細をお伝えしたいと存じます。」
「まずはご報告のみ、メールにて失礼いたします。」
「まずは、結果のみ申し上げます。詳細につきましては、改めてお伺いし、ご報告したいと存じます。」
「〇〇の件につきまして、取り急ぎご報告いたします。詳細は追ってご連絡いたします。」
「新商品の試作品が完成したと〇〇会社よりご連絡がありましたため、まずはご報告申し上げます。」
「私事ではございますが、●月◯日に結婚いたしましたことを、まずはご報告させていただきます。披露宴等につきましては、追ってご連絡いたします。」
ご報告までについてのまとめ
- ご報告までという使い方は、文章を省略した形で、上司や目上の方には失礼にあたります。
- 「取り急ぎご報告まで。」の「取り急ぎ」も失礼だと感じる人がいるため、使うときは注意が必要です。
- 「ご報告申し上げます。」や「ご報告いたします。」と使うのがよいです。
- 報告は自分が依頼されている任務の進捗状況を伝えることであり、連絡はその物事に関係している人々に周知してもらうために伝えることです。