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この記事では「決算賞与」について解説いたします。
「賞与」という言葉は多くの人が見聞きしていることでしょうが、「決算賞与」については今一つよく分からないという人もいるかもしれません。
そこで今回は「決算賞与」とボーナスの違いや支給する理由、支給される時期や平均額などもまとめてピックアップしました。
この記事が転職活動などの役に立てば幸甚です。
決算賞与とは
「決算賞与」とは「その企業の事業年度の業績に応じて支給される給与」のことです。
換言すると「社員への利益還元」のようなもので、「臨時賞与」や「年度末手当」、「特別賞与」など、その名称は企業により異なります。
会社は必ず1年に1回決算を行いますが、決算とは年間の収入と支出を計算して会社の経営状態を明らかにすることです。
つまり「決算賞与」は、「決算が終わった後に社員に支払われる賞与」を指します。
「決算賞与」は頑張った結果が形として還元されるので、社員のモチベーションアップにも繋がることでしょう。
その一方で、業績が前年より悪化した場合はその分減額されたり、支給がないことももちろんあります。
業績次第という性質上必ず毎年支給されるものではない為、「支給されればラッキー」くらいに思っていた方が良いかもしれません。
決算賞与とボーナスの違い
「決算賞与」と似たようなものとして、「ボーナス」が挙げられます。
「決算賞与」が会社の業績に応じて決算後に支給されるのに対して、「ボーナス」はよほど経営状態が悪化しない限りは毎年決まった時期に支給されるものです。
「ボーナス」は一般的に夏と冬の年二回「基本給の○ヶ月分」として支給されるケースが多く見られます。
「決算賞与」は「決算後に支払われることがある臨時ボーナス」と考えると、「ボーナス」との違いを理解しやすいかもしれません。
なお「ボーナス」と「賞与」は同義であることが多いです。
「決算賞与のみ」を採用している企業も
実は賞与の支払いルールは基本的に法令の規制がなく、企業が自由に支払い内容や条件を設定できます。
その為「業績に連動する賞与」や「従業員個人の成績に連動する賞与」といったように、企業により様々なタイプの賞与が存在するのです。
したがって一般的な夏と冬の「ボーナス」を支給せず、「決算賞与のみ」を採用している企業もあります。
つまり「ボーナス」は「夏と冬に必ずもらえるもの」ではないということです。
そもそも賞与という概念がなく、賞与分も込みの年俸制を採用して毎月均等の給与を支給している企業も存在します。
このように賞与に対する考え方は企業により異なるので、注意が必要です。
企業が決算賞与を支給する理由
企業が「決算賞与」を支給する理由は、大きく分けて以下の二つが考えられるでしょう。
・節税対策
・従業員のモチベーションアップ
経営者にとって「決算賞与」を採用する最も大きなメリットは節税対策だとされています。
「決算賞与」の費用は税務上の損金に算入できるのでその分利益額が減り、結果として支払うべき法人税も少なくなるのです。
決算で想像以上の利益が出て節税したいが決算日も迫っている、といったケースでは従業員に「決算賞与」を支給することで損金算入し、法人税の支払い額を抑えることができます。
また「決算賞与」は通常の賞与よりも、従業員のモチベーションアップという側面が強いです。
「決算賞与」は業績とダイレクトに連動した賞与である為、夏と冬の通常賞与に加えて決算で余剰となった利益を従業員に還元するものです。
予期せぬ利益が出た場合にその分まで納税するよりは、従業員のモチベーションアップに回した方が良いと判断する経営者もいることでしょう。
従業員からすると頑張りが企業の業績アップに結びつき、業績アップ分が「決算賞与」として従業員に還元されるのであれば大きなモチベーションアップになります。
頑張りが形として報われることに喜びを感じる従業員にとっては、「決算賞与」が支給される企業は大変魅力的に映るでしょう。
また業績アップに貢献すればするほど会社が働きに報いてくれるので、会社への忠誠心も上昇して離職率が低下するといったメリットもあります。
決算賞与はいつ支給される?
「決算賞与」の支給時期は「事業年度終了日の翌日から1ヶ月以内」と法律で決められています。
多くの会社では3月・6月・12月のいずれかに決算月があるので、その翌月末までに支払われることがほとんどです。
ただし「決算賞与」はあくまで業績に連動して支給されるものであることから、会社側から「決算賞与」についての報告がなされない場合、残念ながらその年の支給はありません。
決算賞与の平均額はどのくらい?
「決算賞与」には平均や相場というものが存在しません。
なぜなら、企業のその年の成績は様々で一律に表すことができないからです。
その年の会社の利益分を社員数で割るなどして支給される為、賞与の金額よりは少ないのが一般的ですが、決算賞与の方が多い会社も中にはあります。
勤続年数や年齢で金額が変わる場合もあり、「決算賞与」はまさしく企業によって千差万別です。
また業績が良かったからといって、必ずしも「決算賞与」にその利益が還元されるとは限りません。
会社が設備投資や社員数増加などに余剰の利益を回した場合、その分「決算賞与」が減額されたり支給されない場合もあります。
業績に反して「決算賞与」の金額が少なかったと不平を漏らしたくなることがあるかもしれませんが、「決算賞与」は必ず支給されるものではありません。
どれだけ業績が良くても「決算賞与」が支給されないという会社も少なくないので、「もらえるだけでもありがたい」と考えた方が良いでしょう。
決算賞与はパート・アルバイトももらえる?
「決算賞与」をパートやアルバイトにまで支給するような企業はほとんどありません。
求人雑誌や求人サイトなどを読んでいても、「決算賞与」の支給が明記されている職場は非常に少ないはずです。
業績によっては正社員でも賞与の支給が見送られることもあるので、非正規雇用のパートやアルバイトまで支給対象になるということは少ないといえます。
そもそも賞与の支給は、労働基準法等で定められている事柄ではありません。
つまり賞与を出すか出さないか、いくら出すかは完全に会社次第なのです。
したがってパートやアルバイトが「決算賞与」をもらえるかというと、もらえない確率の方が極めて高いと言わざるを得ません。
もしどうしても「決算賞与」をもらえる企業でパートやアルバイトをしたいなら、面接の際にしっかりと確認した方が良いでしょう。
まとめ この記事のおさらい
・「決算賞与」とは「その企業の事業年度の業績に応じて支給される給与」のこと
・「決算賞与」が会社の業績に応じて決算後に支給されるのに対して、「ボーナス」はよほど経営状態が悪化しない限り一般的には毎年夏と冬に支給される
・賞与の支払いルールは基本的に法令の規制がなく、企業が自由に支払い内容や条件を設定できるので、「決算賞与のみ」を採用している企業もある
・企業が「決算賞与」を支給する理由は、大きく分けて「節税対策」と「従業員のモチベーションアップ」の二つが考えられる
・多くの会社では3月・6月・12月のいずれかに決算月があるので、「決算賞与」はその翌月末までに支払われることがほとんど
・業績連動という性質上、「決算賞与」には平均額がない
・「決算賞与」をパートやアルバイトにまで支給するような企業はほとんどない