脚本家|仕事内容・「小説家」との違い・なり方・年収・などを解説

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この記事では、「脚本家」の仕事内容やなり方、勤務場所、年収、勤務体系、将来性などについて考察します。

「映画やテレビドラマの脚本家になりたい」そんな夢を抱いている人も多いはずです。

人々に感動を与えられる作品をつくることは、とても素敵なことですが、具体的に脚本家になるにはどうすればよいのでしょうか?

この記事を通して、「脚本家」に関する正しい知識を学び、職業選びの参考にしてください。

脚本家とは

在宅ワーク
「脚本家(きゃくほんか)」とは、映画やテレビドラマなどの映像作品や演劇などの脚本(台本)を書く人のことで、「シナリオライター」とも呼ばれています。
特に、ゲームのストーリーや展開を台本にする人の場合は、脚本家ではなくシナリオライターというのが一般的です。

映画や演劇などの脚本には、大きく2つのタイプがあります。
ひとつは小説やコミックなどの作品に基づいてつくる脚本です。映画の上映分数やドラマの回数や時間に合わせて脚本を書きます。原作ものの脚本は、脚本家によってかなりイメージが異なります。「原作と違い過ぎる」などの批判を受けることも少なくありません。

もうひとつは、脚本家のオリジナルストーリーです。ゼロの状態から軸となるストーリーを考え、登場人物を設定していきます。人物を動かし、具体的なセリフにして脚本を作り上げていきます。

このような脚本があって初めて、私たちは映画やテレビドラマ、舞台演劇などを観ることができるのです。

ここでは、主に映画やテレビドラマの脚本家について紹介していきます。

脚本家の仕事内容

プロの脚本家の場合、映画会社やテレビ局などから仕事を発注されます。作品の企画段階から参加する場合もあれば、ある程度企画が決まった段階から入る場合など、仕事のかかわり方はさまざまです。

企画が決まれば、映画やドラマの時間に合わせて大まかな構成案を作成し、プロデューサーや演出家と打ち合わせします。

脚本をつくるためには、舞台となる場所や職業などに関する資料集めや情報収集も必要です。また、実際の場所を訪れたり、取材などをしてイメージを膨らませることも大切です。

構成に合わせて台本を作成しますが、映画やテレビドラマの場合、あらかじめ放映日や放送日が決まっています。この日に間に合うように作品すべてが完成していなければなりません。つまり、ここから逆算して撮影日も決められますので、役者さんがセリフを覚えリハーサルできる期間を考慮して脚本をアップするのです。

当然、脚本を一回書けばOKというものではありません。プロデューサーや演出家のチェックを受けて、書き直す場合もあります。

映画などの長尺ものは、時間をかけて作品を作り上げることが多いですが、テレビドラマなどの連続ものの場合は、制作時間も短く、脚本も撮影日ギリギリになることも少なくないようです。

「脚本家」と「小説家」との違い

「脚本家」と「小説家」を混同する人もいるかもしれませんが、「小説」と「脚本」は全く別のものです。
「小説」は、書かれた文章がそのまま活字になり、書籍という商品になって販売されます。
つまり、小説家が描いた文章は、そのまま商品になります。

一方、脚本家が書いた文章は「台本」という印刷物にはなっても、商品として販売されることはほとんどありません。脚本家が作るのは、いわば、「楽譜」のようなものです。
楽譜に合わせて、さまざまな楽器が演奏されるように、台本に従って情景が変わり、さまざま役者が演技を繰り広げます。
つまり、台本によって作り上げられた映画や演劇という商品となって初めて、人々の目に触れられるのです。

小説家の作品は文体や表現手法など芸術性の高いもので、そういう意味では、小説家=芸術家とも言えるでしょう。

脚本家の場合は、脚本そのものに芸術性はありません。頭の中で考えることは小説家とおなじですが、つねに映像や舞台を意識して、シーンやセリフを書いていきます。
いうなれば、職人技のようなものです。

また、小説と脚本では根本的に書き方が異なります。

例えば、有名な川端康成の「伊豆の踊子」を例に見ていましょう。

・道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、雨足が杉の密林を白く染めながら、すさまじい早さで麓から私を追ってきた。

すばらしい名文ですが、これをそのまま脚本にすることはできません。
映画やドラマの脚本にする場合は、例えば以下のような表現になります。

〇つづら折りの道を歩く学生
かすかに天城峠が見える。

〇杉の密林を雨足が白く染める

〇激しく地面を打ち付ける雨
 雨足から逃げるように走る学生。

このように時間軸に合わせて、映像化できるように脚本を作り上げるのが「脚本家」の仕事です。

脚本家になるには

只管
国家資格を取得して経験を積めば、医者や弁護士にはなれますが、脚本家には特別な資格はありません。ですから、だれでもなることは可能ですが、実際にプロとして活躍できるのはそう簡単ではありません。
脚本家になるには、いくつかのパターンがあります。ここでは、その代表的な例を紹介します。

まずは脚本家の養成講座やスクールに通う人が多い

映画やアニメの脚本家を目指すのなら、映像制作やアニメーション制作が学べる専門学校がおススメです。映像制作の流れなども理解できるので、現場に基づいた脚本づくりが学べます。
時間的に学校に通うことが無理な人には、シナリオ養成講座が良いでしょう。夜間講座や土日講座があるので、働きながら脚本づくりの基礎を修得することができます。また、通信講座なども開催しているので、全国どこからでも参加可能です。

専門学校やシナリオ養成講座のメリットは、プロの脚本家が講師として参加していることです。業界関係者も多く、場合によっては声がかかることも夢ではありません。
そんなことも期待して専門学校や養成講座に通う人も多いようです。

脚本賞やコンクールに応募する

脚本家としてデビューする近道は、脚本賞やコンクールで受賞することです。実際のプロの方々の審査を受けて評価されることほど、確かなものはありません。

日本放送作家協会が主催する「創作ドラマ大賞」やフジテレビの「ドラマ甲子園」、さらに日本映画の脚本家の登竜門とも称される「城戸賞」などが代表的ですが、この他にもアニメやテレビドラマなど数々のコンクールが開催されています。

狭き門ですが、脚本家を目指すなら応募するのも一案ですね。

映像関係や舞台関係の仕事に就き、脚本家へ転身する

専門学校で学んだり、コンクールに応募しなくても脚本家になることは可能です。
映像関係の仕事や舞台関係の仕事をしながら、脚本に接するうちに脚本家としてデビューするケースも少なくありません。
映画の助監督(AD)から監督や脚本家になるパターンは業界ではよくあります。

学校や養成講座で脚本の基礎を学ぶことも大切ですが、なによりも現場に入り生きた現場の中で脚本の技術を磨くのも脚本家への着実な道と言えるでしょう。

他業界の仕事から脚本家へ転身する

本来は脚本家を目指していなかった人が脚本家に転身する場合も少なくありません。
例えば、役者ではあまり芽が出なかった人が脚本家に転職して数々のヒットドラマを生み出したり、小説家が脚本を頼まれたのがきっかけで、脚本家に転身するケースなどがあります。
また、「信長協奏曲」や「とと姉ちゃん」など数多くのドラマの脚本を書いている西田征史さんは、元ポリプロのお笑い芸人でした。
最近では、「劇団ひとり」や「バカリズム」、「品川庄司」の品川祐さんなど、脚本家としても活躍しているお笑い芸人が多く見られるようになりました。

脚本家が主に勤める場所

冥利に尽きる
脚本家のほとんどは、フリーランスです。映像制作会社で演出および脚本家として働いている人やアニメ会社で脚本を担当している人もいますが、脚本家全体から見れば少ないといえるでしょう。

多くの脚本家は、映画やドラマの制作会社との作品契約になります。脚本が完成してOKが出れば、それで終了です。ですから、仕事を発注してくれる制作会社との関係も重要になります。

脚本家の年収

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制作会社などの社員でない限り、脚本家の収入は不安定です。

脚本家のギャラは映画の場合は1本単位で、内容や脚本家の知名度によって300万円~500万円が相場になっているようです。人気の脚本家の場合は、2次使用も含めて1000万円ぐらいになるケースも見られます。

テレビドラマの場合は、1分1万円のように放送時間で単価が決められています。平均的には、1時間ドラマで60万円から100万円が相場です。
多くのドラマは1クール(13回)で完結するので、トータルで約800万円~1000万円ぐらいになるようです。

ラジオドラマでは1本約10万円、舞台は約15万円~30万円ぐらいとテレビドラマと比較すると安くなります。

このように、脚本家の年収は、何を何本書いたかによって大きく異なり、人気脚本家になれば、単価も高くなるので1000千万円以上の年収を稼ぎ出すことも可能です。

しかし、脚本家は実力の世界です。才能に恵まれていれば1千万以上の年収を手にすることも可能ですが、多くの脚本家は、サラリーマンの平均年収よりも低い年収で生活しています。中には、脚本家よりも副業の方がメインになって引退する人も多いようです。

脚本家の勤務体系と休日

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脚本家の多くはフリーランスですから、勤務体系や休日はありません。あくまでも請け負った作品のスケジュールに合わせて仕事を進めていきます。納期に合わせるために徹夜で執筆することも少なくありません。

コンスタントに仕事がある脚本家の中には、自宅とは別に仕事場を持ち、時間を決めて執筆活動する人もいます。仕事のオンオフを明確にするのもフリーランスには必要なことですね。

脚本家の将来性

ことごとく
脚本は、映画やテレビ、ラジオ、演劇など限られた世界での需要で、どうしても人気の脚本家に仕事が集中しがちでした。
しかし、インターネット番組の普及やテレビの多チャンネル化、ゲームソフトの多様化などにより、脚本の需要は高まっています。
そういう意味では、脚本家の将来性は期待できると言えます。

但し、作品の単価は安くなるので、ある程度の収入を得るためには本数をこなす必要があるでしょう。

まとめ この記事のおさらい

・「脚本家(きゃくほんか)」とは、映画やテレビドラマなどの映像作品や演劇などの脚本(台本)を書く人のこと。
・映画やテレビなどの制作会社から依頼され、納期まで脚本を完成させるのが仕事。
・小説家は、書いた文章は書籍という商品になるが、脚本家の脚本は商品にはならない。
・脚本家になるためには、専門学校や養成所講座などで学ぶか、脚本賞やコンテストに応募する、制作の現場で働くなどの方法があります。
・役者や小説家、お笑い芸人など他業界から脚本家に転身するケースもあります。
・脚本家は制作会社などに勤務する人もいますが、ほとんどがフリーランス。
・脚本家の年収は実力次第。年収1千万円以上の脚本家はごくわずかで、サラリーマンの平均年収以下のひとが多いようです。
・脚本家には勤務体系も休日もありません。オンオフのメリハリをつけることが大切。
・インターネット番組やテレビの多チャンネル化などにより脚本の需要は高まり、脚本家の将来性は期待できます。