比翼連理|読み方・意味・使い方・類義語や対義語・英語表現を解説

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ここでは「比翼連理」という言葉について解説します。

比翼連理は一般にはあまり使われない言葉です。ご存じない方にとっては数学か物理の難しい定理のように思えるかもしれません。でも、ほんとうの意味はまるで違います。

比翼連理の定番の用途としては結婚式のスピーチがあげられます。つまり比翼連理はそういう席にふさわしい意味の言葉です。

近い将来、部下や友人の結婚式でスピーチをする可能性がある方は、ぜひこの記事をお読みになり、晴れの日の大役に備えましょう。

比翼連理の読み方・意味

「比翼連理」は「ひよくれんり」と読みます。意味は、男女の情愛が深く、とても仲睦まじいことをいいます。

比翼連理の言葉の由来

「比翼連理」の意味は、漢字の意味からは想像できませんが、「比翼」は中国の伝説上の鳥のことをいいます。比翼はオス・メスともに目と翼がひとつずつしかありません。そのため二羽がいつも一体になって飛ぶといわれています。

一方、「連理」は樹木の形態を示す言葉です。「比翼」と同様に2本の木が合体して1本に見えるので、「連理木(れんりぼく・れんりぎ)」とも呼ばれます。こちらは伝説上の存在ではなく、人工的に作ることもできますし、自然界でもたびたび見られます。

「連理木」は、2本の幹や枝が密着して木目(理)が連なるものが吉兆とされ、大木になると「縁結び」や「夫婦和合」の象徴としてご神木になっています。

「比翼連理」は「比翼」と「連理」という同じ意味の言葉をふたつ重ねることで、男女の仲のむつまじさを強調する言葉となっています。

「比翼連理」という言葉の出典は、中国の詩人「白居易」の「長恨歌」の「在天願作比翼鳥 在地願為連理枝」だと言われています。日本語に読み下すと「天にあっては願わくば比翼の鳥となり、地にあっては願わくば連理の枝とならん」となります。

現代語訳では、「天を飛ぶ鳥になれるなら、比翼のように雌雄二羽がともに飛ぶ鳥となりたい。地上の木になれるなら、二本が木目まで連なった連理の枝となりたい。(そのように片時も離れることのない夫婦でありたい)」という意味になります。

「肥沃連理」は誤り

「比翼連理」の「比翼」は現代ではほとんど使われない言葉です。そのため「ひよく」の読みから畑の土が肥えていることを意味する「肥沃」と混同されることがあります。

しかし「肥沃連理」という言葉はありません。PCでは、気づかずに誤変換していることもあります。まちがえないように注意しましょう。

比翼連理の使い方と例文

「比翼連理」は夫婦や恋人の仲がむつまじいことを意味する言葉です。ただ仲が良いだけでなく相思相愛の意味合いが強いので、たとえ男女でも、ビジネスパートナーや親子・兄弟姉妹の仲が良いというつもりで使用すると、あらぬ誤解を招く可能性があります。

「比翼連理」は夫婦や婚約中の男女の親密さを表現する以外には使わないように心がけてください。

「比翼連理」の例文

比翼連理の関係を維持する秘訣は、決してケンカをしないことではなく、ケンカしてもすぐに仲直りできることです。

比翼連理の類義語と例文

「比翼連理」と似た意味を持つ類義語としては、「鴛鴦の契り」「偕老同穴」「琴瑟調和」「形影一如」「水魚の交わり」などがあります。

「鴛鴦の契り」は「えんおうのちぎり」と読みます。「鴛鴦」は「おしどり」のこと。「鴛」はオスの「おしどり」を、「鴦」はメスをあらわします。

「おしどり」はカモ科の渡り鳥で、オスとメスが常に行動を共にする習性があります。そのことから仲の良い夫婦のたとえになりました。

「偕老同穴」は「かいろうどうけつ」と読みます。意味は「生きているうちは苦楽も老いも共に味わい、死後は同じ穴(墓の意味)に入る」ことをあらわします。

「琴瑟調和」は「きんしつちょうわ」と読みます。「琴」は楽器の「琴(こと)」、「瑟(おおごと)」は大型の琴を意味します。「琴瑟調和」は、琴と瑟の合奏で音色が良く調和している様子にたとえて、夫婦仲がむつまじいことをあらわす言葉です。

「形影一如」は「けいえいいちにょ」と読みます。意味は形(実態)と影を切り離すことができないように、男女が固く結びついている、仲むつまじい夫婦をたとえていう言葉です。

「水魚の交わり」は、「魚は水があるからこそ生きられる」ことにたとえて、「水と魚のように離れられない親密な間柄」をあらわします。ただし魚にとって水は欠かせませんが、水にとって魚は必要な存在とはいえません。

実際、「水魚の交わり」の由来となった中国語の「如魚得水」は「水を得た魚のように、生き生きと活躍できる環境や境遇を得ること」を意味する言葉であり、日本語の「水魚の交わり」のように水と魚の密接な関係をあらわす意味はありません。

「偕老同穴」の例文

夫婦は偕老同穴であるべきだ、というのは若い頃の祖母の口癖でしたが、今は祖父の口癖になっています。

「鴛鴦の契り」の例文

夫婦仲がむつまじいことを、「鴛鴦の契り」と言いますが、実際のおしどりは毎冬ごとに相手を変えて飛来するそうです。その意味では、私が去年、別れた夫がまさしく「鴛鴦の契り」でした。

他にも「比翼連理」の類義語として、「相思相愛」が挙げられます。「相思相愛」については、下記記事をご参照ください。

比翼連理の対義語と例文

「比翼連理」と逆の意味を持つ対義語としては「犬猿の仲」「呉越」「不倶戴天」「水と油」などをあげることができます。

「犬猿の仲」は、犬と猿のように折り合いが悪い、という意味の言葉です。よく知られた言葉ですが、由来にはいくつもの説があり、はっきりしたことはわかっていません。

有力な説としては、十二支の順番を巡って犬と猿が争ったという伝承を起源とする説や、人が狩猟の時に連れていた猟犬が野生の猿を見かけると激しく吠えたことが由来とする説などがあります。

「呉越(ごえつ)」は春秋時代の古代中国で激しく争っていた「呉」と「越」の2国の関係になぞらえて、仲が悪いことをあらわす言葉です。

現代の日本語で「呉越」が単独で使われることはほとんどありません。基本的には「呉越同舟」という四字熟語で、仲の悪い者同士が不本意ながら同じ場所や境遇にいることをあらわします。

「不倶戴天(ふぐたいてん)」は「同じ天の下で一緒にはいられない、同じ天の下で相手を生かしておくわけにはいかない」という意味で、相手に対する恨みや憎しみの深さを表す言葉です。

「水と油」は両者が決して溶け合わないように性格が合わず、仲良くできないことを意味します。

「不倶戴天」の例文

私の姉夫婦は結婚して二年ぐらいは比翼連理の夫婦だったのに、不運なトラブルと行き違いが重なって、別れた今では不倶戴天の敵同士のようです。

「比翼連理」の英語表現

「比翼連理」に相当する英語表現としては、「lovebirds」「inseparable」などをあげることができます。また「比翼連理」を「結婚の誓い」と解釈すると、英語では「marital vows」と表現することもできます。

「lovebird」は「ボタンインコ」という鳥の英語名になります。

ボタンインコをつがいで飼育すると仲がとても良いので、英語で「lovebird」と呼ばれています。さらに複数形の「lovebirds」にすると、仲むつまじいカップルの意味になります。日本語の「おしどり」と同じです。

「Inseparable」は「分離できないこと」「切っても切れない関係のこと」を意味する言葉です。

比翼連理を「親密な関係」の意味で「intimate relationship」ということもできますが、「intimate」は性的関係のニュアンスが強いので注意が必要です。

まとめ

・比翼連理は男女の情愛が深く、仲が親密なことを意味する言葉です。

・比翼連理の比翼とは、二羽一対で行動する中国の伝説の鳥の名前です。

・比翼連理の連理とは、2本の木が合体して1本に見える状態の木のことをいいます。

・比翼連理の類義語には、「偕老同穴」や「鴛鴦の契り」などがあります。

・比翼連理の対義語には、「不倶戴天」や「呉越」「水と油」などがあります。

・比翼連理に相当する英語表現には「lovebirds」「inseparable」などがあります。