十人十色|読み方・意味・使い方・類義語や対義語・英語表現などを解説

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ここでは「十人十色」という言葉について解説いたします。

「十人十色」は日本人なら誰もが知っている四字熟語のひとつです。漢字も意味も簡単なので、あらためて辞書やネットで調べたりしたことはない、という人も多いのではないでしょうか。

そこで、ここでは「十人十色」について、意味や類義語・対義語、英語表現も含めて多角的に考察してゆきます。ぜひ最後までお読みください。

十人十色の読み方・意味・使い方

「十人十色」は「じゅうにんといろ」と読みます。意味としては「人にはそれぞれ違う好みや性格があって、一律ではない」ということをあらわします。

「十人十色」は人の多様性について軽い意味で表現するときによく使われる言葉です。それが良いか悪いかという理由ではなく「要するに人それぞれです」というシンプルな説明でよく使われます。

「十人十色」の例文

ラーメン屋をやりたくて、メニューは自慢の『塩ラーメン』ひとつで開店したが、人の好みは十人十色。客足が伸びず三ヶ月で廃業してしまった。
若者の読書離れが進んでいると言われますが、メディアが多様化している現代では、読書の方法も十人十色です。本が売れないから読書離れが進んでいるとは言えません。

十人十色の語源

「十人十色」の語源はあきらかではありません。

古い用例では、江戸後期の戯作者、曲山人(きょくさんじん)が書いた人情本「清談若緑」に「夜の契りを挑むなる。十人十色の生酔客。千差万別それぞれに。調子をあはす憂苦労」と書かれており、この時代にはすでに一般的な言葉になっていたことがうかがえます。

文字の由来をひもとくと、「十人十色」の「色」という漢字は、「々」と「巴」を合わせて「男女の情愛」をあらわした象形文字が語源になります。

それがやがて愛憎が表に出るという意味で「顔色」もあらわすようになり、さらに顔色は赤や青になる、ということから「赤」や「青」などの「色彩」の意味にもなったと言われています。

現在では、「色」はおもに「色彩」あらわす漢字です。「十人十色」も現代語で解釈すれば、「人が十人いれば(好む)色も十通りある」という意味になりますが、この場合の「色」は色彩ではなく、「愛情や好み、性格や考え方」をあらわすことに注意しましょう。

十人十色のビジネス上での使い方

「十人十色」は意味としては当たりさわりのない言葉です。ビジネスで使用する際のマナーや制約はありません。ただし、使い方によっては「あきらめムード」に近いニュアンスや、消極的な弁解のように受け取られてしまう可能性もあります。

たとえばプロジェクトや商談がうまくいかなかった場合に、「人の好みは十人十色ですから、こういうこともあるでしょう」などと言ってしまうと、原因分析もせず、さっさとあきらめて納得しているように受け取られてしまうかもしれません。

ビジネスシーンでは、自分の意思や判断を具体的にはっきり説明するように心がけましょう。「十人十色」のように意味があいまいで具体性に乏しい言葉を使うのは、オフタイムの雑談に限ったほうが賢明です。

十人十色の類義語と例文

「十人十色」と似たような意味を持つ類義語としては、「蓼食う虫も好き好き」「三者三様」「千差万別」などがあります。

「三者三様」と「千差万別」はともに「人や物にはさまざまな相違がある」ということを数字で示す言葉です。

ちなみに「十人十色」と「三者三様」はともに「十人」=「十色」、「三者」=「三様」という対照関係にありますが、「千差万別」は「千差」が「さまざまな違い」をあらわし「万別」は「さまざまなこと」を意味する言葉で「千差」=「万別」ではありません。

「千差万別」は「十人十色」や「三者三様」と違って「千の差が万の区別になる」という意味ではないので、注意してください。

次に「蓼食う虫も好き好き」の「蓼(たで)」は、一年草の植物のこと。葉に独特の香りと強い辛味があります。そこで「まずい蓼の葉も好んで食する虫がいるように、人の好みもさまざまだ」という意味で「蓼食う虫も好き好き」と言われるようになりました。

「蓼食う虫も好き好き」の例文

教授は子供の頃から悪臭ただようものがお好きだったそうで、その趣味が高じて今では臭気物質の世界的な権威です。「蓼食う虫も好き好き」と言いますが、そういう「虫」のおかげで科学が進歩しているのも事実です。

十人十色の対義語と例文

十人十色とは逆の意味を持つ対義語としては「異口同音」「衆目一致」「尋常一様」「同工異曲」などをあげることができます。

「異口同音」は「違う人が同じことを口にする」という意味から、「大勢の意見が一致する」ことをあらわす成句です。「衆目一致」はある物事について大勢の人の見方が一致することを意味します。「衆目の一致するところ」という言い方でも使われます。

「尋常一様」は平凡で他と違う要素がないことを意味します。ただし大勢が一致するというよりも、「特定の誰かや何かの性質が凡庸で特徴がない」「他のものと差異がない」という意味で用いられます。

「同工異曲」は音楽や詩歌などで「作者の技量が同じでも趣はまちまちだ」という意味ですが、それが転じて「見た目は違うが内容は似たり寄ったりだ」という意味をあらわすようになった言葉です。

異口同音の例文

二人の結婚には友人も家族も異口同音に反対したが、今は子供も生まれて幸せに暮らしているそうだ。

十人十色の英語表現

「十人十色」と同じ意味を持つ英語の表現やことわざは数多くあります。

よく知られているのは「人の数だけ意思がある」という意味の「so many men, so many minds」「人好き好き」を意味する「different strokes for different folks」「人それぞれ」という意味の「to each his own」などがあります。

ほかには「diverse men, diverse minds」「many men, many minds」「no two men are alike」「as many heads, as many wits」「every man has his humor」などもあります。

また「十人十色」を比喩的な意味で表現したイディオムとしては、「雪は同じところに落ちない」という意味の「no snowflakes fall in the same spot」。

「(一階に住む)ある人にとっては天井でも、(二階に住む)別の人には床になる」という意味の 「one man’s ceiling’s another man’s floor」もあります。

「十人十色」を英語で言いたいが言葉が出ない、というときは、シンプルに「Everyone is different.」と言っても通じます。

まとめ

・十人十色は「人にはそれぞれ違う好みや性格があって、一律ではない」という意味の言葉です。

・十人十色の「色」は、色彩ではなく、人の性質や好みをあらわします。

・十人十色の類義語には、「蓼食う虫も好き好き」「三者三様」「千差万別」などがあります。

・十人十色の対義語には「異口同音」「衆目一致」「尋常一様」「同工異曲」などがあります。