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この記事では、「おもむろに」の意味や使い方、類語、対義語、英語表現について考察します。
「おもむろに」という言葉はよく耳にしますが、正しい意味を理解しているでしょうか?
実は、約半数の人が間違った意味で使われているのが、この「おもむろに」です。
「おもむろに」は、一般的に使われる言葉から、この記事を通して、「おもむろに」の正しい意味や使い方をきちんと理解し、社会人としてスキルアップにつなげてください。
「おもむろに」の意味と使い方
「おもむろに」とは、「落ち着いてゆっくりと行動するさま。ゆるやかに」の意味です。
・彼はおもむろに口を開きました。
・蒸気機関車は、おもむろに動き出しました。
このような例文の場合、ことさら重々しく威厳をつけているような「もったいつける」という意味で解釈されることがありますが、「おもむろに」にはそのような意味はありません。
また、「おもむろに」は、人や物の動きだけでなく、物事がゆっくりと起こっていくさまにも使われます。
では、「おもむろに」という言葉の語源は何でしょうか?
「おもむろに」の語源
「おもむろに」の語源は、明確ではありませんが、古代から使われている「おもぶるに」が由来しているとも言われています。
「おもぶるに」は、「物静かなさま。ゆったりしたさま」の意味で、日本書紀には以下のように使われています。
この「おもぶる」の音が変化して、「おもむろに」になったと解釈されています。
「おもむろに」の漢字表記は「徐に」
「おもむろに」は、漢字では「徐に」と表記します。
「徐」は、「行人偏(ぎょうにんべん)」と「余」が組み合わさった漢字です。「行人偏」には、「少しずつ歩く」という意味があります。
「余」は、「先の鋭い除草具」の象形で、「自由に伸びる。のびやか」、そこから「徐」は、「のびやかに行く。ゆっくり行く」という意味になりました。
「おもむろに」のよくある誤用
「おもむろに」と聞いて、「不意に」と解釈していませんか?
文化庁が平成26年に実施した「国語に関する世論調査」では、「おもむろに」の意味を「ゆっくりと」と答えた人が44.5%、「不意に」と答えた人が40.8%と報告されています。
年代別」では、73歳以上の73%の人が「ゆっくりと」に対して、20代の70.1%が「不意に」と答えています。
この調査では「不意に」という表現ですが、「急に」も同じ意味になります。
50代で「ゆっくりと」が49.4%、「不意に」が37.4%と同数に近くなり、若くなるにつれて「不意に」と思っている人が増加する傾向にあります。
その理由には、「徐に」の言葉の意味の解釈の違いが考えられます。
「徐に」は、本来は「ゆっくり行く」という意味ですが、「動き出す」「立ち上がる」「口を開く」などの動詞に多く使われ、このような動作から「ゆっくりと」というイメージが想像しづらいかもしれません。
「不意に動く」や「急に立ち上がる」という意味の方が、自然な解釈になっていったようです。
しかし、「おもむろに」の正しい意味は、「落ち着いてゆっくりと行動するさま。ゆるやかに」ですから、誤用には注意しましょう。
また、「おもむろに」と同じような意味で誤用されているのが、「やおら」です。
「やおら」は、「静かに身を動かすさま」の意味ですが、「急に」「いきなり」という意味で使われることが多くなっています。
平成18年に実施された文化庁の「国語に関する世論調査」では、「急に」「いきなり」と解釈している人が43.7%で、「ゆっくりと」の40.5%を超えています。
「おもむろに」のビジネス上での使い方
「おもむろに」は、ビジネス上でも使われることがあるので、正しい意味を理解することが大切です。
・取材陣の質問に対して、社長はおもむろに口を開きました。
・部長は、カバンの中からおもむろに書類を取り出しました。
・工場長が着席すると、会議はおもむろに始まりました。
また、以下のように「おもむろに」を誤用しないように注意しましょう。
・クライアントからのクレームを聞き、彼はおもむろに部屋を飛び出していきました。
・多忙な部長は、テーブルに着くなりおもむろに口を開きました。
このような誤用に対して違和感がない人は、「不意に」や「急に」と解釈しているかもしれませんね。
「おもむろに」の類義語と例文
「おもむろに」の類語には、「やおら」「悠然と」「ゆったりと」「緩やかに」「徐々に」などがあります。
ゆっくりと動作を始めるさま。
例文
・心身ともに疲弊していた彼は、やおら身を起こしました。
ゆったりと落ち着いているさま。
例文
・彼女はあたかもプリンセスのように悠然と街中を歩いていました。
ゆるやかでゆとりのあるさま。
例文
・年老いた弁護士はゆったりとした足取りで法廷に入っていきました。
動きや勢いがゆっくりとしているさま。
例文
・彼女の大きな瞳から、ゆるやかに涙が流れました。
ゆっくり進んだり変化するさま。
例文
・彼には未経験の職場でしたが、仕事にも徐々に慣れていきました。
「おもむろに」の対義語と例文
「おもむろに」の対義語としては、「速やかに」「やにわに」「不意に」「いきなり」「急に」「突然」などがあげられます。
間をおかずに。すぐに。
例文
・トラブルが生じた場合は、速やかに報告してください。
たちどころに。突然。いきなり。
例文
・無口な彼は、やにわに彼女の手を取り熱い思いを語り始めました。
だしぬけに。突然に。
例文
・外出しようとしたら、不意に兄が姿を現しました。
前ぶれもなく突然物事が起こるさま。
例文
ぼんやりと教室の外を眺めていたら、いきなり先生に質問されました。
おもいがけなく起こるさま。
例文
・物陰から急に子供が飛び出してきました。
前ぶれなしに物事が起こるさま。
例文
・彼が突然辞表を出したのには、特別な理由があるはずです。
「おもむろに」の英語表現
「おもむろに」の英語表現では、ゆっくりとした動作に使われる「slowly」や「gradually」が一般的です。
彼は、おもむろにポケットから携帯を取り出しました。
・She moved gradually toward her love rival.
彼女はおもむろに恋敵に近づいていきました。
まとめ この記事のおさらい
・「おもむろに」は、「落ち着いてゆっくりと行動するさま。ゆるやかに」の意味。
・「おもむろに」の語源は日本書紀にもある「おもぶるに」。
・「おもむろに」を「不意に」と思っている人が半数近くいます。
・「おもむろに」と同じ意味の「やおら」も半分以上の人が誤用しています。
・「おもむろに」の類語には、「やおら」「悠然と」「ゆったりと」「緩やかに」「徐々に」などがあります。
・「おもむろに」の対義語としては、「速やかに」「やにわに」「不意に」「いきなり」「急に」「突然」など。
・「おもむろに」の英語表現は、「slowly」や「gradually」が一般的です。