「考慮」とは|意味や配慮との違い、ビジネスでの使い方を解説

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この記事では、「考慮」の意味や使い方、類語、英語表現などについて考察します。

会社の上司に企画などの提案をした時に「考慮します」と言われたら、どう思いますか?
OKなのかダメなのか迷うはずです。

「考慮」は使い方が難しい日本語のひとつです。この記事を通して、「考慮」の意味と使い方を理解し、ご自身のスキルアップにつなげてください。

「考慮」とは|意味・読み方・使い方


「考慮」は、「思いめぐらせること」「心くばり」の意味で「こうりょ」と読みます。一般的には、「いろいろなことを含めてよく考える」という意味で使われます。

例えば、「考慮します」と言われた場合、「いろいろなことを含めてよく考える」の意味になるので、考慮した結果がどうなのかはわかりません。本心は「NO」でもその場をつくろって言う「逃げ言葉」として使われることもあります。

一般的によく使われるのが、「相手の事情を考慮する」という表現です。例えば、友達と旅行を計画する場合のことを創造してください。

休みの都合やお金、行きたい場所など、いろいろな要素を考えて計画を立てるでしょう。

つまり、これが「考慮」です。

ビジネスでは、会社や社員、取引先、お客様などさまざまな事情があります。このような要素を考えることが、「考慮」なのです。

また、「考慮」は人に関することだけではありません。製品開発などでは技術力や材料、コストなどさまざまな要素が影響します。このような要素を考えるのも「考慮」です。

「考慮」の語源

「考慮」の「考」は、腰が曲がって杖をつく老人と彫刻刀の形から生まれた漢字で、「ものごとを慎重にとらえる」老人の知恵から、「かんがえる」という意味になったようです。

「慮」は、「心」と「虍/田」の文字が組み合わさった表音文字と言われるもので、「考えをめぐらす」「おもんぱかる」の意味です。

つまり、老人の知恵からあれこれ思いをめぐらせるのが、「考慮」と言えます。

「考慮」と「配慮」の違い

「考慮」と似たような表現で「配慮」があります。「配慮(はいりょ)」は、「他人や他のことのために気をつかう」ことです。

つまり、「考慮」は物事をいろいろな要素から考えることに対して、「配慮」は相手の状況などを考える意味になります。

例えば、イベントの日程を決める場合に、参加者の人数やアクセス、予算などを考えて決めるのが、「考慮」です。また、高齢者の参加者のためにバリアフリーの会場を考えるのが、「配慮」です。つまり、相手を思いやった上で、それに相応しい心配りをすることです。

配慮の例文
・お客様の立場を配慮していれば、このようなクレームにはなりません。

また、「配慮」は目上の人からお世話になった時に、「ご配慮」として以下のように感謝の気持ちを伝える表現としてもよく使われます。

ご配慮の例文
・この度はご多忙の中、ご配慮いただき誠にありがとうございます。

「考慮」と「勘案」の違い

「考慮」に似た意味の言葉で、「勘案(かんあん)」があります。

「勘案」は、「種々の事情や物事を考え合わせること」の意味で、複数のことを考える時に用いられます。

「勘案」という表現は、一般的な会話ではまず使うことはありません。文章などにおいても、主に公文書や新聞などで使う言葉で、一般的なビジネスではほとんど使いません。

つまり、「お役所言葉」と言える表現です。

「勘案」は、「勘案する」「勘案の上」「総合的に勘案する」などの形で使われます。

例文
・災害対策には、安全性と緊急性を勘案して取り組むことが必要です。
・諸外国の動向を勘案しながら、今後の対策を検討いたします。
・総合的に勘案すると、今回の計画は断念するしかありません。

「考慮」のビジネス上での使い方


「考慮」は、ビジネス上でもよく使われる言葉で、主に「考慮する」「考慮に入れる」「考慮の余地がない」などの表現で用いられます。

例文
・今回のリーダー選出にあたっては、本人の希望も考慮します
・英語力も考慮に入れた配置を希望します。
・彼の企画はインパクトがありますが、実現性に乏しいので考慮の余地はありません

また「考慮」は、「考えます」を少しオフィシャルな表現にしたい場合に使われることが少なくありません。

例えば、「男女のバランスを考えてチームを編成します」の場合、「男女のバランスを考慮して編成します」と表現した方が、オフィシャルな言い回しになります。

また、相手が「考慮」してくれたことに対して、感謝の気持ちを込めて「ご考慮」という表現をすることもあります。

例文
・先日は、ご考慮いただきありがとうございます。

「考慮」は、あれこれ考えるという意味なので、使い方には注意が必要です。

例えば、相手に断らなければならない状況で、「考慮します」と言うと、「イエス」「ノー」どちらにも解釈できます。場合によっては、失礼な言い方になりますので、曖昧な表現で使うのは避けた方が良いでしょう。

考慮の敬語表現


「考慮」の敬語表現は「ご考慮」が適当でしょう。「ご考慮」は「考慮」に接頭語の「ご」がついたもので、尊敬の意味を持っています。

例えば上司や先輩など目上の人に対してなら「取引先の納期もご考慮の上でスケジュールを組んでいただけると幸いです」のように、「ご」をつけることで丁寧な表現にすることが可能です。

社内だけではなく社外の人に対してもよく使う言葉なので、より良い印象を持たれるためには「考慮」ではなく「ご考慮」を用いた方が良いでしょう。なお敬語表現なので、部下や後輩などに使う必要はありません。

「考慮」の類義語と例文


「考慮」の類義語には、「熟考」「思慮」「思案」「検討」「考察」「慮る」「斟酌」などがあります。

熟考(じゅっこう)
じっくりとよく考えること。念を入れて考えること。例文
・新規事業に関しては熟考の末、今回は見送らせていただきます。
思慮(しりょ)
注意深く考えること。例文
・公の席では、思慮に欠ける発言に注意しましょう。
思案(しあん)
あれこれと考えめぐらすこと。例文
・部長は今回のトラブルに対する解決策を思案しています。
検討(けんとう)
いろいろな面から調べて、良いか悪いかを考えること。例文
・この件に関しては一度持ち帰り検討させていただきます。
考察(こうさつ)
ものごとを明らかにするために、よく調べて考えをめぐらせること。例文
・アンケート調査を分析して、新商品の魅力を考察してください。
慮る(おもんぱかる)
よくよく考える。熟慮する。例文
・お客様のことを慮ることができなければ、営業マンとしては失格です。
斟酌(しんしゃく)
相手の事情や心情をくみ取ること。例文
・高齢であることを斟酌して、今回は無理な要求はしません。

「考慮」の英語表現


「考慮」の英語は「consideration」です。動詞では、「consider」「take into consideration」「take into account」などがあります。

・They are now considering your suggestions.
(彼らは今、君の提案を考慮中です。)・You have to take into consideration their plans as well.
(彼らの予定も考慮すべきです。)

・We have to take into account the opinions from users.
(私たちはユーザーからの意見を考慮しなければなりません。)

まとめ この記事のおさらい

  • 「考慮(こうりょ)」は、「思いめぐらせること」「心くばり」の意味。一般的には、「いろいろなことを含めてよく考える」という意味で使われます。
  • 「配慮(はいりょ)」は、「他人や他のことのために気をつかう」意味。
  • 「勘案」は、「あれこれ考え合わせること」の意味で、主に公的な文書や新聞などで使われる表現です。
  • 「考慮」の類義語は、「熟考」「思慮」「思案」「検討」「考察」「慮る」「斟酌」など。
  • 「考慮する」の英語表現は、「consider」「take into consideration」「take into account」などがあります。