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この記事では「雌伏」の読み方や意味について解説いたします。
「雌伏」には差別的な意味があるという意見もある為、よく理解しておかないと後々大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。
そこで今回は「雌伏」の使い方や語源、類義語や対義語、英語表現も含めて取り上げました。
思わぬ事態になるようなことがないよう、一つずつ確認していきましょう。
雌伏の読み方・意味・使い方
「雌伏」は「しふく」と読み、「人に服従すること」や「力を養いながら、活躍できる機会をじっと待つ」といった意味です。
元々「雌伏」は雌鳥が雄鳥に従う様子から、誰かの言うことを聞き低い地位を受け入れることを意味していました。
また「現状は実力が伴わない為大人しく服従するしかないが、やがて訪れる好機に備えて力をつけ、活躍する機会を忍耐強く待つ」というニュアンスを含んでいます。
例えば「雌伏の時期が長かったからこそ、年下の気持ちが分かる上司になることができた」という場合、「長い間上司に服従していたから、人の気持ちが分かる良き上司になれた」ということです。
「雌伏の時」や「雌伏の時期」と使われることが多い
「雌伏」は「雌伏の時」や「雌伏の時期」のように使われることが多いです。
先述の例もそうですし、また「長らく雌伏の時が続いていたが、今では安定した企業に成長した」のように使います。
雌伏の語源
「雌伏」の語源は「後漢書」(ごかんしょ)にある「張温伝」(ちょうおんでん)という章だといわれています。
後漢時代に活躍した群守の補佐役「張温」は、行政区画を担当する郡を率いる立場にいました。
しかし昇進欲があり「男性として常に大きな志を持つべきである」という信念があった「張温」は、「安んぞ能く雌伏せん」(どうして低い地位に甘んじることができようか。いや、できない)と、その地位を退いてしまうのです。
このことから「雌伏」は現在のような意味で使われるようになったとされています。
雌伏のビジネス上での使い方
「雌伏」はビジネス上でも使われることがある言葉です。
例えば次のような使い方が考えられます。
例えば他の企業に従ってばかりいた下積みのような期間を通して、今では世界でも渡り合えるような企業になったということです。
会社に入ったばかりの頃は、即戦力というよりまずは目先の仕事を覚えるということが多いでしょう。
この例文は、その時のことを思い返している場面かもしれません。
「雌伏」の差別的な意味合いに注意
「雌伏」は「雌が伏せる」と書くことから、どうしても「性差別」を意識した表現だと考える人が少なからず見られます。
男女平等が当然だとされる昨今では、こうした差別的な意味合いを持つ言葉は避けた方が無難だといえるかもしれません。
もちろん「忍耐強さ」や「力を蓄えながらチャンスを伺う」というポジティブな意味でも使えますが、差別に敏感な人もいるので配慮が必要だということです。
雌伏の類義語と例文
「雌伏」の類義語は、次のようなものが挙げられます。
・頃合いを見計らう
・下積みを経る
「頃合いを見計らう」は「物事を行うタイミングを探る」、「下積みを経る」は「やがて活躍する日の為に力を養う」という意味で「雌伏」の類義語だといえます。
また例文としては、下記のようなものが考えられるでしょう。
「頃合いを見計らう」とは、「ちょうど良いチャンスが来るのを待ち受ける」ということです。
この例文では、上場するのに良い機会が来るのを待ち受けているということでしょう。
飲食業界では、誰かに師事して料理や店舗経営について教えを受けるということが見られます。
この例では、10年そうした期間を経て自分のお店を持つことができたということでしょう。
雌伏の対義語と例文
「雌伏」の対義語としては、「雄飛」が真っ先に当てはまることでしょう。
「雄飛」は「雄鳥が飛ぶように盛んに活躍すること」という意味で、この言葉を使うと次のような例文を作ることができます。
仕事以外の時間では友達と遊んだり、のんびりしたりといった誘惑が多いものです。
この例ではそういったことにも目を向けずに仕事に集中してきたからこそ、大いに成功して結果を出すことができたということが読み取れます。
余程突出した才能を持った天才でもない限り、何の努力もせずに結果を出すことはできません。
この例文は、将来大きく活躍することを願って、今は必要な努力をすることを決意したというような意味でしょう。
なお「雌伏」と「雄飛」を合わせた「雌伏雄飛」という四字熟語がありますが、これは「将来に活躍することを期待して、誰かに従いながら埋もれた境遇を受け入れること」という意味です。
ただし「雄飛」も「雌伏」と同様の理由で差別的な意味があるという意見もあります。
その為「雌伏」だけではなく「雄飛」を使う場合にも注意が必要だといえるでしょう。
雌伏の英語表現
「雌伏」の英語表現としては、下記のようなものがあります。
・swallow my pride(プライドを抑えて我慢する)
・bend my neck(首をもたげる=服従する)
その他には「patient endurance」(辛抱強く耐えること)や「ive in obscurity」(無名のままでいる)等が挙げられるでしょう。
また上記の表現を使うと、以下のような例文を作ることができます。
(今が雌伏の時だ。)
「プライドを抑えて我慢する時だ」を意訳して上記のように表現しました。
なお「swallow」は「飲み込む」や「耐え忍ぶ」といった意味だけでなく、「ツバメ」という意味もあります。
(10年の雌伏を経て、ついにその試験に合格した。)
10年という勉強に費やした時間を「雌伏」の期間だとし、ようやく試験に合格することができたということです。
なお「bend」は「曲げる」や「下を向ける」、「ひそめる」や「引く」といった意味でも使われます。
まとめ この記事のおさらい
- 「雌伏」は「しふく」と読み、「人に服従すること」や「力を養いながら、活躍できる機会をじっと待つ」といった意味がある。
- 「雌伏」は「雌伏の時」や「雌伏の時期」と使われることが多い。
- 「雌伏」の語源は「後漢書」にある「張温伝」という章だといわれている。
- 「雌伏」は「雌が伏せる」、また対義語の「雄飛」は「雄が飛ぶ」と書くことから「性差別」を意識した表現だと考える人が少なからず見られるので、配慮する必要がある。
- 「雌伏」の類義語としては「頃合いを見計らう」や「下積みを経る」といったものが挙げられる。
- 「雌伏の対義語は「雄飛」が真っ先に考えられる。
- 「雌伏」の英語表現は「swallow my pride」や「bend my neck」等がある。