「猪突猛進」とは|意味・読み方・使い方・類語・英語表現を解説

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ここでは猪突猛進という言葉について解説いたします。

令和元年(2019年)の記念すべき干支は亥(イノシシ)でした。「猪突猛進」のイノシシです。

令和という新時代の幕開けにふさわしいアグレッシブな「猪突猛進」という言葉の意味と用例を勉強しましょう。

猪突猛進の意味・読み方・使い方

「猪突猛進」は「ちょとつもうしん」と読み、「目標に向かって猪のように脇目もふらず全力で突進すること」を意味します。

「猪突猛進」には勇猛果敢なイメージもありますが、一般的には他人の迷惑も顧みず、がむしゃらに突き進む頑固一徹な人というニュアンスがあります。「猪突猛進」は一概に悪い意味の言葉だとは言えませんが、良くない印象もあると考えた方が良いでしょう。

「猪突猛進」の例文

彼は慎重派だが、いったんこうと決めると猪突猛進で迷わず突っ走るようなところもある。
彼は頭を使う前に体が反応する猪突猛進タイプの人だが、若いうちはあれぐらい無鉄砲な方がむしろ良い。

猪突猛進の語源

猪突猛進の「猪突」は、猪のように後先も顧みず突っ走ることをあらわします。

「猪突」の語源は、古代中国の「新」という王朝の皇帝、王莽(おうもう)が組織した「豬突豨勇(ちょとつきゆう)」という軍隊の名称にあるといわれています。

「猪突猛進」は「豬突豨勇」の「猪突」に、「激しい勢いで突き進む」ことを意味する「猛進」を接合した言葉です。

「豬突豨勇」も「猪突猛進」も「後先も顧みず目的に向かって突き進む勇気、または勇気がある人」という意味の言葉として、現代にいたるまで伝承されています。

ただし「猪突猛進」が基本的に向こう見ずで、他人の迷惑も顧みない人や行為を意味するのに対し、「豬突豨勇」には突撃する人の勇ましさを賞賛するニュアンスがあることに注意する必要があります。

猪突猛進のビジネス上での使い方

「猪突猛進」は昭和の流行語となった「企業戦士」や「モーレツ社員」のように、会社のために家庭も健康も顧みず、ひたすら働くサラリーマンのイメージに重なる言葉です。

現代のように働きすぎがタブーとされる時代では、「企業戦士」や「モーレツ社員」の「24時間戦えます」的な働き方や、「猪突猛進」的なスタンドプレーに対する風当たりは当然強くなりますが、むかしはそれが当たり前でした。

「猪突猛進」に限らず、言葉の意味やニュアンスは時代によって大きく変わることに注意しなければなりません、

猪突猛進のビジネス上の使い方の例文

自動車会社のホンダを操業した本田宗一郎は典型的な猪突猛進タイプで、部下の仕事が気に入らないと怒ってスパナでぶん殴ることもあったという。

猪突猛進の類義語と例文

猪突猛進と同じような意味を持つ類義語としては、「直往邁進(ちょくおうまいしん)」「勇往邁進(ゆうおうまいしん)」「暴虎馮河(ぼうこひょうが)」「猪武者(いのししむしゃ)」などをあげることができます。

「直往邁進」と「勇往邁進」は頭の「直」と「勇」のちがいだけで、基本的な意味は同じです。「直往」は「脇目もふらずにまっすぐ進むこと」。「勇往」は「勇ましく迷わずに進むこと」を意味します。「邁進」は「まっしぐらに進むこと」という意味があります。

「直往邁進」と「勇往邁進」は、ともに「邁進」する勇気と行動力を好意的にとらえた言葉です。「猪突猛進」のように、はた迷惑な行為のニュアンスはありませんので、結婚式のスピーチで上司が新郎の仕事熱心な人柄を賞賛するときによく使われます。

また知名度はやや劣りますが、「暴虎馮河(ぼうこひょうが)」という言葉も、猪突猛進の類語にあげることができます。

「暴虎馮河」の出典は以下に示す「論語」の一節にあります。

暴虎馮河 死而無悔者 吾不与也

日本語に訳すと、「虎を相手に素手で殴りかかってみたり、広大な黄河を歩いて渡ろうとしたり、死んでも悔いなしと豪語するような者と行動を共にする気はない」という意味になります。

「暴虎馮河」は「向こう見ずで命知らずの人、またはそのような人の行動」「自分の力量を顧みず、感情にまかせて命知らずの無謀な行動をすること」という意味の言葉です。無謀な行為のニュアンスは猪突猛進以上に強く、ビジネスでの使用には注意が必要です。

そのほか「猪突猛進」の類義語としては「猪武者(いのししむしゃ)」という言葉もあります。意味としては「敵に向かって向こうみずに突撃する武士」「立場や状況を顧みず、がむしゃらに行動する人」のことをあらわします。

最近の言葉ではインターネットの掲示板でよく使われる「脳筋(のうきん)」という言葉も「猪突猛進」の同義語に含めてよいでしょう。

「脳筋」は「脳みそまで筋肉」を意味する言葉で、体力も行動力もあるが思考力に乏しい人のことを、「頭の中まで筋肉が詰まっていて、思考できる脳がない」と皮肉る意味で用いられます。侮蔑のニュアンスが強いので、ビジネスの場では使えません。

直往邁進の例文

部下の鈴木君は仕事の面では直往邁進のやり手ですが、恋愛のほうは連敗つづきで打つ手なしのようです。

暴虎馮河の例文

すでに弊社の海外展開はライバル他社に大きく遅れをとっています。今後は暴虎馮河といわれようと躊躇せずに攻めるしかありません。

猪突猛進の対義語と例文

「猪突猛進」と逆の意味を持つ対義語としては、「熟慮断行(じゅくりょだんこう)」「深慮遠謀(しんりょえんぼう)」「千思万考(せんしばんこう)」「沈思黙考(ちんしもっこう)」などをあげることができます。

「熟慮断行」は最初に熟慮を重ねた上で、やると決めたら、ためらうことなく実行することです。「深慮遠謀」は深くじっくり考えて、遠い先のことまで見通すことです。その後「行動する」というまでの意味はありません。

「深慮遠謀」の文字を入れ替えた「深謀遠慮」という言葉もあります。この場合の「遠慮」は「遠い先のことまで見通すこと」で、「控え目にふるまう」意味の「遠慮」ではありません。意味は「深慮遠謀」と全く同じです。

「千思万考」は「あれこれ思い、何度も何度も考えること」。「沈思黙考」は「黙って深く考えをめぐらせること」を意味します。

「深慮遠謀」の例文

リスク管理を第一に考えた社長の深慮遠謀により、輸出入取引の為替差損をヘッジファンドの運用益でカバーすることができた。

猪突猛進の英語表現

「猪突猛進」の英語表現としては、「make a headlong rush」「rush recklessly」などをあげることができます。

「rush recklessly」は「向こう見ずに突っ走ること」、「make a headlong rush」は「あわてふためいて突進すること」という意味があります。どちらも無謀でやけっぱちなニュアンスが強く、肯定的な意味はありません。

「猪突猛進」を肯定的な意味の英語にする場合は、「charge bravely」という表現があります。「charge bravely」は「勇敢に攻め込む」という意味になりす。

「charge」は 「代金の支払いを請求する」「クレジットカードで買う」「充電する」などの意味がありますが、この場合のように「突撃する」という意味もあります。

まとめ

  • 猪突猛進は目標に向かって脇目も振らず突き進むことを表す言葉です。
  • 猪突猛進の類義語には、「直往邁進」「勇往邁進」「暴虎馮河」「猪武者」などがあります。
  • 「猪突猛進」の英語表現には、「make a headlong rush」「rush recklessly」などがあります。