「嗜好」とは?意味や使い方、趣味・趣向との違いなどを解説

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ここでは「嗜好」という言葉について解説いたします。

「嗜好」は「嗜好品」や「趣味嗜好」などの熟語でおなじみの言葉です。単独ではあまり使われませんが、意味そのものは暮らしに深く関わる言葉です。

この項には「嗜好」という字の興味深い情報を満載していますので、ぜひ最後までお読みになってください。

嗜好の読み方・意味・使い方


嗜好は「しこう」と読みます。意味は「好んでたしなむこと」「物事を趣味として親しむこと」「飲食物に関する好みのこと」などを表します。

「嗜好」は名詞のほか「嗜好する」というサ行変格活用の動詞として使うことができます。ただし会話では発音が同じ「思考する」や「試行する」「指向する」などと混同されやすいこともあり、一般にはあまり使われていません。

「嗜好」は単独で使うよりも「趣味嗜好」「嗜好品」「嗜好性」など熟語の構成要素として使われるのが一般的です。

嗜好の語源

「嗜好」の「嗜」は、「嗜む」と書いて「たしなむ」と読みます。意味は「芸ごとに打ち込み、習得する」「好んで飲食する」などを表します。

また「嗜好」の「好」という字は、「すき」「このみ・このむ」などと読み、みなさんもよくご存じのように、「何かや誰かに心を引かれる」「何かを積極的に選ぶ」という意味になります。

「嗜好」は「嗜む(たしなむ)」を「好む(このむ)」という字で強調し、「芸や飲食に親しみ、心から好むこと」という意味をあらわす熟語になります。

「嗜好品」とは

「嗜好」を含む言葉で最も一般的なのが「嗜好品」です。「嗜好品」は酒やコーヒー、お茶などのように栄養摂取よりも味や香りを楽しむ目的で食される飲食物をはじめ、たばこなどを示します。基本的に経口摂取しないものは嗜好品には含まれません。

かつて嗜好品は生活に必需ではない贅沢品とみなされ、物品税の課税対象とされました。現在でも酒類とたばこは典型的な嗜好品として酒税とたばこ税が課せられています。

かつてはコーヒーも嗜好品として物品税の課税対象になっていましたが、現在は輸入品のインスタントコーヒーに限って関税が課せられています。

「嗜好性」とは

「嗜好性」は、人間や動物が好んで自発的に食べるかどうかをあらわす言葉です。おもに学術論文やマーケティング資料などで使われる専門用語です。

用例をあげると「ニホンジカなど草食性害獣の嗜好正性植物と不嗜好性植物の一覧を以下に示す」というように専門的な分析資料でよく使われています。

嗜好・趣味・趣向のそれぞれの違い


「嗜好」という語を含む熟語では「趣味嗜好」がよく知られていますが、「趣味趣向」という言葉もあります。この「趣味」と「趣向」には、それぞれどのような意味の違いがあるのでしょうか。

まず「趣味」は、仕事としてではなく、個人的に楽しむために愛好する事がらを意味します。利益はなくても時間と労力、資金などをぜいたくに費やして余暇を楽しむことをいいます。「手段が目的になることを『趣味』という」という名言もあります。

次に「趣向(しゅこう)」は、芸や創作を行う際に、斬新なおもしろさを加えるための工夫や趣(おもむき)の意味でよく使われます。また何かをする場合に意見や考えをあらわす意味もあります。

「趣味趣向」の「趣向」は基本的に「意向」の意味になります。もしも履歴書の記入欄に「趣味趣向」という項目があれば、「趣味にしていること」だけでなく「具体的に何をしているか」「どんなことをしたいか」も詳しく書くと良いでしょう。

次に「趣味嗜好」は「趣味の好みやたしなみ。個人的に好きなこと」を表します。履歴書に「趣味嗜好」という欄はありませんが、あれば「趣味にしていること」だけでなく「趣味というほどでなくても、見たりしたりするのが好きなこと」も書きましょう。

なお「嗜好品」と混同して「趣向品」と表現する例も散見されますが、正しくは「嗜好品」です。「趣向品」という言葉はありませんので、ご注意ください。

嗜好のビジネス上での使い方


「嗜好」はビジネスではきわめて重要な意味を持つ言葉です。インターネットの技術革新によって情報通信やコンピュータの処理速度が飛躍的に進化し、「ビッグデータ」と呼ばれる多種多様の情報が活用されるようになりました。

それと同時に重要性を増しているのが、データの分析能力です。消費者の嗜好の変化と多様化を有効に活用するには、ビッグデータの膨大な情報を分析し、利益の拡大やビジネスの効率化につながるキーポイントを発見する必要があります。

現代の事業戦略では「ターゲットとなる消費者層の嗜好」が最も重要なデータになります。インターネット時代のビジネスの成否は、消費者の嗜好をどれほど早く正確に把握できるかどうかにかかっているといっても過言ではありません。

嗜好の例文


「嗜好」を使った例文は以下の通りです。

  • 彼の嗜好は読書で、図書館で新しい本を見つける喜びに満ちています。
  • 彼女は独特な嗜好を持っていることで有名だ。
  • 商品開発ではターゲットの嗜好を的確に捉えることが大切だ。

嗜好の類義語と例文


「嗜好」と同じ意味の類義語としては、既出の「好み」「趣味」のほか、「好尚(こうしょう)」という言葉も加えることができます。「好尚」は「好みの傾向」や「嗜好」のほか「流行」の意味もあります。その点が「嗜好」との大きなちがいになります。

「好み」の例文

「人の好みは十人十色」といいますが、女性の口紅の好みは一人でも十色では足りません。

「好尚」の例文

現代のように、はやりすたりの激しいご時世では、「時代の好尚にマッチしている」と思った時には、とっくに流行遅れになっています。

嗜好の英語表現


日本語の「嗜好」のニュアンスを正確に伝えられる英語はありません。近い意味では「favorite」「liking」「preference」「taste」などをあげることができます。

favoriteは「一番のお気に入り」「大好きなもの」などの意味があります。インターネットブラウザのブックマークを「お気に入り」と言いますが、英語では「my favorites」といいます。また「the favourite」で「優勝候補」の意味にもなります。

preferenceは「好み」「ひいき」「優先」などを意味する言葉です。

likingは「好む」を意味する動詞「like」の現在分詞で、好みや趣味を意味します。

tasteも好みや趣味を意味する言葉です。カタカナ英語の「テイスト」は味や雰囲気の意味で用いられますが、原語の「taste」は「趣味」や「好み」「経験」などの意味があります。

「favorate」と「taste」の例文

You recognize what’s your favorite and your perceptive tastes indeed. But your pretty biased view and overconfident will inhibit you to make a objective judgment.
(あなたは、自分の好みの傾向と味覚のするどさをよく理解しています。 しかし、あなたの少なからぬ偏見と自信過剰が客観的な判断を妨げてもいます。)

まとめ

  • 「嗜好」は「好んで嗜むこと」「飲食物に関する好みのこと」などを表す言葉です。
  • 「嗜好」は日常生活ではあまり使われませんが、ビジネスではマーケティング戦略に関わる重要なデータとなります。
  • 「嗜好」の意味の英単語はありませんが、近い意味では「favorite」「liking」「preference」「taste」などがあります。