「轍」とは|意味・読み方・使い方・類語・対義語・英語表現を解説

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この記事では、「轍」の意味や使い方、類語、対義語、英語表現について考察します。

「轍」という漢字を見たことがあるでしょう。コブクロのファンなら、すぐに「わだち」と読むかもしれませんが、「轍」には他の読み方もあります。

「轍」を使った表現は、ビジネスシーンでも使われます。この記事を通して、「轍」の意味をきちんと理解し、ビジネスにお役立てください。

「轍」の読み方・意味・使い方

「轍」には、大きく2つの意味があり、それぞれ読み方が異なります。

意味①:通り過ぎた車輪の跡

一つ目の意味は、「車が過ぎた後に残る車輪の跡」で、「わだち」と読みます。
「轍」の漢字は、「車」と「突き抜く」というニュアンスの形の組み合わせで、車輪が地面を押し付けた跡を意味します。
轍は自動車のタイヤの跡だけではありません。自転車やリヤカーなどさまざまな車輪の跡なら、すべて「轍」です。
また、「轍(わだち)」を「車輪の跡」でなく「車輪」そのものの意味で使うこともあります。

・雪道に残された大きな轍の上を、子供たちは歩いていきました。
・初めてのドライブで田舎道の轍にはまって、近所の人に助けてもらいました。
・祖父は昔、荷車の轍にひかれたそうです。

そして、「通り過ぎた車輪の跡」から転じて、二つ目の意味が生まれました。

意味②:先人の通った道・先例

「轍」の訓読みが「わだち」ですが、音読みは「てつ」になります。同じ「車輪の跡」の意味で「軌轍(きてつ)」や「車轍(しゃてつ)」など「てつ」と呼ぶ場合もありますが、「てつ」と呼ぶ時は、「先人の通った道」「先例」の意味で多く使われます。

・先人の轍から学ぶべき点は数多くあります。

また、「途轍(とてつ)もない」という表現がありますが、これは「先人の通った道から外れた」「先例のない」から発展して、「途方もない」「並外れた」という意味になったものです。

「轍を踏む」とは

「轍を踏む(てつをふむ)」とは、「先人の通った道」を歩くという意味です。

この場合、「先人の通った道」は、決して良い意味ではありません。前の車が通った車輪の跡にはまり転倒するということから、「同じ失敗を繰り返す」という悪い意味になります。

・不合格者の轍を踏まないよう、あらゆる可能性を考慮して受験対策は万全にしましょう。
・娘には自分の轍を踏ませないように、彼女は娘にあらゆるお稽古事を習わせました。

また、「轍を踏む」の場合、「同じ轍を踏む」や「○○の轍を踏む」のように使われることが多くなります。同様の意味で「前車の轍を踏む」という表現もあります。

・前車の轍を踏まないように、忘年会では飲み過ぎに注意しましょう。

「轍-わだち-」はコブクロの曲

「轍」と聞いてコブクロの曲を思い浮かべる人もいるでしょう。
コブクロは、小渕健太郎さんと黒田俊介さんのユニット名で、大阪堺市の路上ライブで注目を浴び、2001年にメジャーデビュー。
「桜」や「蕾(つぼみ)」、「ここにしか咲かない花」など次々とヒット曲を世に出しています。

「轍-わだち-」は、2001年に6月に発売されたメジャー2枚目のシングル曲で、人生の応援歌としても親しまれています。

♪轍さえもない道をただ進め
抱えきれない夢が
不安に変わりそうな日が来たら♪

「轍さえもない道」は、誰もこれまで通らなかったような茨の道かもしれません。
そんな道を自ら切り開けという力強いメッセージが込められています。

「轍」のビジネス上での使い方

「轍」をビジネス上で使う場合は、主に「先人の通った道」「先例」の意味で使われます。
「てつ」という読み方で使い場合が多いので、コブクロの曲と同じ「わだち」と誤読しないようにしましょう。
ビジネスシーンでは、「○○の轍を踏む」という形が一般的で、「失敗を繰り返す」という意味合いで使われることが多くなります。

例文
・前任者の轍を踏まないよう、事前のマーケティングは厳密におこなってください。
・有能な彼が、同じ轍を踏むとは今でも信じられません。
・この苦い経験を活かし、二度と同じ轍を踏まないようにしましょう。
・部長の轍を踏まないように、取引先の経営状態はしっかりと調査すべきです。

「轍」はビジネスでも使う言葉ですから、「同じ轍を踏む(おなじてつをふむ)」をうっかり「おなじわだちをふむ」と言わないように注意してください。

「轍」の類義語と例文

「轍(わだち)」の漢字としての類語はありませんが、「轍(てつ)」の意味での類語では、「先例」や「前例」、「二の舞」「前車覆轍」などが考えられます。

先例(せんれい)
以前にあったような同類の例。例文
・これまで先例のないトラブルですから、混乱するのは当然です。
前例(ぜんれい)
先例。前にあげた例。例文
・新しい改善案がないのであれば、前例に従うしかありません。
二の舞(にのまい)
人のまねをすること。人のした失敗を繰り返すこと。例文
・昨年の二の舞にならないよう、細心の注意を払ってください。
前車覆轍(ぜんしゃのふくてつ)
前人の失敗は、後の人の戒めになるということ。例文
・イタリア旅行での置き引きを前車覆轍として、次の海外旅行ではしっかりと対策しましょう。

「轍」の対義語と例文

「轍(てつ)」の明確な対義語は見当たりませんが、「先例」という意味の対義語としては、「前例がない」「未曾有」「類のない」「前代未聞」などがあります。

前例がない
これまで同様のことがない。処理した経験がない。例文
・前例のない金融政策で、日本経済を立て直せるのでしょうか。
未曾有(みぞう)
今まで一度もなかったこと。例文
・すべての顧客データが盗まれるという未曽有の事態に、社内は大混乱しています。
類のない(るいのない)
他に比べるものがないこと。例文
・私たちの喜びは、世界に類のない製品を開発することです。
前代未聞(ぜんだいみもん)
今まで一度も聞いたことがないこと。非常に珍しいこと。例文
・入社したばかりの新人が、前代未聞の失敗をしでかしたそうです。

「轍」の英語表現

「轍」の英語表現では、「rut」という単語があります。「車の跡」「溝」の意味ですが、日本語の「先人の通った道」「先例」の意味はありません。
日本語の「同じ轍を踏む」と意味で、「fall into the same rut」 という表現がありますが、一般的ではありません。

「同じ轍を踏む」の英語表現としては、「make the same mistake」を使うのが良いでしょう。

・I really hope that you don’t make the same mistake.
君たちが同じ轍を踏まないように望みます。
・He made the same mistake as I did before.
彼は、私と同じ轍を踏みました。

まとめ この記事のおさらい

  • 「轍」には「通り過ぎた車輪の跡」の「わだち」と「先人の通った道」「先例」の意味の「てつ」の2つの意味があります。
  • 「轍を踏む」とは「同じ失敗を繰り返す」という意味。
  • コブクロの「轍-わだち-」は、2001年に6月に発売されたシングル曲で、人生の応援歌として親しまれています。
  • 「轍(てつ)」類語は、「先例」「前例」、「二の舞」「前車覆轍」などが考えられます。
  • 「轍(てつ)」の対義語としては、「前例がない」「未曾有」「類のない」「前代未聞」など。
  • 「同じ轍を踏む」の英語表現としては、「make the same mistake」が一般的です。