「垂涎」とは|意味・読み方・使い方・類語・英語表現を解説

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この記事では「垂涎」の読み方や意味について解説いたします。

漢字自体は見たことがあっても、その読み方や意味についてはよく分からないという人もいるかもしれません。

そこで今回は「垂涎」の使い方や類義語、英語表現についても取り上げました。

それでは一つずつ確認していきましょう。

垂涎の読み方・意味・使い方

「垂涎」は「すいぜん」(慣用読みでは「すいえん」)と読み、「食べたくてよだれを垂らすこと」や「あるものを手に入れたいと熱望すること」という意味があります。

「垂」は「垂らす」、「涎」は「よだれ」を意味しており、前者は文字通り「美味しそうなものを見て思わずよだれを垂らしてしまう」ことです。

また後者は「よだれを垂らしてしまう程手に入れたいと熱望すること」なので、例えば「日用品や生活必需品を切らしているので欲しい」という場合には使いません。

「垂涎」は希少性が高いものやなかなか手に入らないものに対して使うのが適当だといえるでしょう。

実際の使い方としては、次のようなものが挙げられます。

・お腹が減っている時に美味しそうな匂いを嗅ぐと、垂涎を抑えられなくなる。

空腹時にどこかしらから良い匂いが漂ってきたので、思わず涎が止まらなくなることが思い浮かぶシーンです。

・かねてから欲しかった記念切手を街で見かけ、垂涎の思いで見つめていた。

なかなか手に入らない記念切手をたまたま見かけ、どうしても欲しくてたまらないので見入ってしまった場面です。

「垂涎の的」とは

「的」は「まと」と読み、「弓矢・弾丸を命中させる標的」や「狙い」といった意味で使われる言葉です。

つまり「垂涎の的」とは、「みんながうらやんで何としても欲しいと思うもののこと」を意味しています。

「垂涎の的」は、例えば下記のような使い方が考えられるでしょう。

・甲子園で優勝した高校のエースピッチャーは、プロ野球界の垂涎の的になった。

プロ野球界では即戦力、あるいは将来性がある選手を常に求めています。

この例では甲子園で優勝できるくらい実力があるピッチャーなので、何としても欲しがるような選手だということです。

・彼が持っているコレクションはいずれも貴重品で、ファンにとっては垂涎の的になるものばかりだった。

金貨や美術品等、コレクターにとっては貴重な品を手に入れ、所有することに対してとても価値を感じています。

この例文では、ファンが羨む程のコレクションを彼が所有しているということでしょう。

「垂涎物(垂涎もの)」とは

「垂涎」は「垂涎物」(垂涎もの)という使い方をされることがよくあります。

「垂涎物」とは「そのものが欲しいと思わせる魅力に満ちているさま」という意味です。

例えば「マニアにとっては垂涎物の逸品がオークションに出品された」のように使います。

このように、「垂涎」は「あるものを手に入れたいと熱望すること」の意味で使われることが多いのは覚えておいても良いかもしれません。

垂涎のビジネス上での使い方

「垂涎」はビジネス上でも使うことがある言葉です。

ビジネス上で使う時には、例えば次のような使い方が挙げられます。

・彼女はどの部署からも垂涎の的になる程仕事ができる人だとして評判だ。

仕事ができる人はどの部署からも欲しがられるような人材です。

この例では、あらゆる部署から引っ張りだこになる程その実力が社内で有名になっているということが読み取れます。

・その商品はすでに生産中止になっている為、ファンの間では垂涎の的になっている。

生産中止になっているということは、新たに発売されることがないので現存のものを手に入れるしかありません。

その分市場に出回る機会も少なくなる為、ファンにとっては非常に貴重な存在になるということです。

・マニアにとって垂涎物の限定アイテムが発売されることが発表され、ニュースとしても大きく取り上げられた。

社会現象になる程人気なアイテムは、時に大きなニュースとして報道されることがあります。

この例では、限定アイテムが発売されることによるマニアの様子をニュースとして取り上げたということでしょう。

垂涎の類義語と例文

「垂涎」の類義語としては、下記のようなものが考えられます。

  • 喉から手が出る
  • 生唾を飲み込む
  • 舌なめずりをする

上記のように、口に関係するものが多いのは興味深いところです。

口に関するもの以外では「渇望する」や「熱望する」、「切望する」のように「望」という字がつくものも多く見られます。

また例文としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

・人手不足が続いていることもあり、次代を担ってくれる人材を喉から手が出る程欲しいと思っている。

「喉から手が出る」とは「欲しくてたまらない」ことの例えとして使われる言葉です。

人手不足の状況下で、今後を任せられるような人材がどうしても必要だということが読み取れます。

・あまりにも綺麗な骨董品をたまたま見かけ、思わず生唾を飲み込んだ。

「生唾を飲み込む」とは「目の前にあるものが欲しくてたまらなくなる」という意味です。

この例では、とても綺麗な骨董品だったので欲しくてたまらなくなったということでしょう。

・大好物を目の前に出され、思わず舌なめずりをした。

「舌なめずりをする」とは「おいしい食物を前にしたり想像したときや食事の前後に、舌で唇をなめること」や「何かしようと獲物を待ち構えているようす」を意味しています。

ここでは前者の意味で使われていると推測することができるでしょう。

垂涎の英語表現

「垂涎」の英語表現としては、以下のようなものがあります。

  • object of envy(垂涎の的、羨望の標的)
  • covetousness(垂涎、欲張り、貪欲)

これらの英語表現を使った例文としては、下記のようなものが考えられるでしょう。

・She is the object of envy.
(彼女は羨望の標的になっている。)

「object」は「物」や「対象」といった意味があり、「envy」は「羨望」や「妬み」という意味です。

その為「object of envy」で「垂涎の的」や「羨望の標的」といった意味で使われています。

この例文では、美貌や才能といった人が羨むようなものを何かしら持っている為羨望の標的になっているということを読み取ることができるでしょう。

・The novel illustrates the covetousness of human.
(その小説は人間の貪欲を明らかにしている。)

「illustrate」は「説明する」や「図解する」、「証明する」や「絵図を挿入する」といった意味があります。

この例では、小説が人間の貪欲についてテーマとして取り上げた上で説明しているということでしょう。

まとめ この記事のおさらい

  • 「垂涎」は「すいぜん」(慣用読みでは「すいえん」)と読み、「食べたくてよだれを垂らすこと」や「あるものを手に入れたいと熱望すること」という意味がある。
  • 「垂涎」は「よだれを垂らしてしまう程手に入れたいと熱望すること」を意味する為、日用品や生活必需品のようにすぐに手に入るものに対しては使わない。
  • 「みんながうらやんで何としても欲しいと思うもののこと」という意味で「垂涎の的」という表現をすることがある。
  • 「垂涎物」には「そのものが欲しいと思わせる魅力に満ちているさま」という意味がある。
  • 「垂涎」の類義語としては「喉から手が出る」や「生唾を飲み込む」、「舌なめずりをする」といったものが挙げられる。