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この記事では「閾値」の読み方や意味について解説いたします。
物理学や生物学、心理学や工学等幅広い分野でよく使われる言葉ですが、その読み方や意味についてははっきりとは分からないという人もいるかもしれません。
そこで今回は言葉の使い方や例文も含めて取り上げました。
この記事の中で一つでも参考になる内容があれば幸いです。
閾値の読み方・意味・使い方
「閾値」は「しきいち」あるいは「いきち」の2つの読み方があり、「動作や意味等が変化・変動する境目となる値」や「ある作用が加わった時に、生物の反応や興奮が起きる最小(最大)刺激値」という意味があります。
例えば7時に目覚まし時計をセットすると7時に目覚ましがなりますが、この場合は7時が「閾値」だというわけです。
また後者の意味では、身に感じるストレスが「閾値」を超えると体に異常が出る等のように使われます。
大まかには「変化が起こる境目となる値」と考えて間違いではないでしょう。
読み方は「しきいち」と「いきち」の2種類
先程は「閾値」の読み方として「しきいち」と「いきち」の2種類あるということを確認しましたが、2種類の読み方があるのは使う分野によって読み方が変わる為です。
電子やIT関係、原子核反応等の物理学や工学の分野では「しきいち」と読み、「しきい値」と表記することもあります。
例えば信号機の色がどのくらいの時間で変わかの境目の数値や物質が化学的に変化する数値を表すのは「しきい値」です。
このように物理的・電気的な意味合いで物事が変化する時の境目になる数値を「しきい値」と表現しています。
また生理的な反応や心理的興奮など、生物学や心理学で生体反応を起こさせる最小(最大)刺激量の値はの読み方は「いきち」です。
例えば部屋の温度を徐々に上げていき「暑い」と感じる値であったり、少しずつ力を加えてつねっていき「痛い」と感じる値を指します。
つまり使われる分野やその細かい意味によって読み方が「しきい値」か「いきち」か変わってくるということです。
閾値の語源
「閾値」の語源は「「門の閾値」だといわれています。
「閾」という漢字は元々日本の門や襖、障子にある「敷居」の意味合いを含んでいました。
敷居は部屋や玄関と外を分ける戸や障子・襖を立てて置く為の溝付横木のことで、中と外の境界線のことです。
この敷居の役割が転じ、物事の境目としての意味を持つようになったとされています。
また敷居は奈良時代には「閾(しきみ)」と呼ばれていた為、その「閾」が現在の「閾値」となったという説もあります。
閾値の分野別での使い方と例文
「閾値」はその意味の汎用性の高さから、先述の分野以外でも幅広く使われています。
例えばビジネスの場でも使われることがありますし、プライベートでトレーニングジムに通っている人はトレーニングの過程が聞いたことがあるかもしれません。
それでは実際にどのように使われているのか、使い方と例文をそれぞれ確認してみましょう。
ビジネス
まずビジネスでは、読み方は「しきい値」も「いきち」も使われます。
ビジネス上では、仕事の結果が出るか出ないかの境界線というような意味で使われることが多いです。
例えば次のような使い方をします。
・このターゲット層で閾値を超える売上があれば正式に販売を開始する。
・自分で閾値を決めてしまうと、それ以上の仕事量をこなすのは難しくなるだろう。
IT
IT分野での閾値は「しきいち」と読み、コンピューターの電気信号の値やプログラミングの制御などの数値に用いられます。
また例文としては次のようなものが挙げられるでしょう。
・そのスマートフォンがバッテリー切れのアラームを上げる閾値は20%以下だ。
・閾値以下であれば景色を、閾値以上であれば人物をディスプレイに映しだすようにプログラムを組んだ。
生物学や心理学
生物学や心理学では「いきち」と読み、次のように使われています。
この場合の「閾値」は、裸眼で見えるか見えないかの境目になる数値のことを指しています。
例えば視力が0.1だといわれた場合、この数値がその人にとっての視力の「閾値」だということです。
この場合「笑いの沸点が低い」という表現をすることもありますが、些細なことでもすぐに笑ってしまうことを意味しています。
トレーニング
トレーニングでは「いきち」の読みが使われ、またランニングトレーニングの一つに「閾値走」というものがあります。
「閾値走」とは脂肪分からグリコーゲンに変化する乳酸性作業閾値手前の強度を維持して走るトレーニングのことです。
グリコーゲンをエネルギーにすると体内に乳酸が溜まりやすくなる為、乳酸性作業閾値に至らないギリギリの強度で走ることで血中の乳酸を処理する能力が向上し、乳酸が溜まりにくい走り方が身につくといわれています。
例文としては次のようなものが考えられるでしょう。
・閾値走は有効なランニングトレーニングの一つだとされている。
・乳酸性作業閾値を把握しておかないと、閾値走の意味がなくなってしまう。
閾値の類義語と例文
「閾値」の類義語としては、次のようなものが挙げられます。
・識閾(しきいき)
「識閾」とは無意識だったものを急に意識し始めたり、意識して見ていたものが急に気にならなくなったりする等、意識と無意識の境界線のことです。
心理学では「サブリミナル」と呼ばれています。
・限界値(げんかいち)
「限界値」は「閾値」とほとんど同じ意味で使われています。
一般的には「限界値」、学術的には「閾値」を使うことが多いです。
また上記の類義語を使うと以下のような例文を作ることができます。
「識閾」は意識と無意識の境界線なので、ここでは意識できなくなるくらい音が小さくなったということです。
セールに行った時に、どれくらいまで安くできるかを事前に推測していることが読み取れます。
閾値の英語表現
「閾値」の英語表現としては、「threshold」が挙げられます。
また「lactate」(乳酸)という英単語があるので、先述の乳酸性作業閾値を英語にすると「lactate threshold(LT)」になるというわけです。
例文は以下のようなものが考えられるでしょう。
(第1の閾値は第2の閾値よりも大きい。)
まとめ この記事のおさらい
- 「閾値」は「しきいち」または「いきち」と読み、「動作や意味等が変化・変動する境目となる値」や「ある作用が加わった時に、生物の反応や興奮が起きる最小(最大)刺激値」という意味がある。
- 「閾値」は物理学や工学の分野では「しきいち」、生物学や心理学の分野では「いきち」と読む。
- 「閾値」の語源は、「門の閾値」や奈良時代の「閾(しきみ)」だといわれている。
- 「閾値」という言葉はビジネスやIT、学術分野やトレーニング等幅広い分野で使われている。
- 「閾値」の類義語としては、「識閾」(しきいき)や「限界点」といったものが挙げられる。