惰性とは?意味や「怠惰」との違い、使い方や例文などを解説

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ここでは、「惰性」という言葉の意味と使い方、類義語や英語表現について解説します。

「惰性」はもともと「慣性の法則」の「慣性」と同じ意味の学術的な訳語でしたが、現代では「怠慢」に近いネガティブな意味で使われています。

この記事では「惰性」の本来の意味や、「慣性」とのちがいについてもくわしく学ぶことができます。

「惰性」を「怠慢」の意味だと理解している方は、ぜひこの記事を最後までお読みになり、「惰性」の知識を深めてください。

「惰性」の読み方と意味


「惰性」は「だせい」と読み、「今まで続けてきた習慣や癖」という意味があります。また、「運動している物体がそのままの状態を維持しようとする性質」のことをいいます。

もともと後者の「慣性」と同様の意味を表す言葉でしたが、だんだんと怠慢のニュアンスが強くなり、現在では前者の「今まで続けてきた習慣や癖を、もうやめようと思いながらもダラダラと続けている」という意味で使われるようになっています。

「惰性」の意味
①今まで続けてきた習慣や癖
②運動している物体がそのままの状態を維持しようとする性質

「惰性」と「慣性」の違い


「慣性の法則」の意味をおさらいすると、「静止しているか、等速直線運動中の物体は外からの運動エネルギーを受けないかぎり、その状態を維持し続ける」というものです。

この法則の意味は、「惰性」が持つ本来の意味と同じです。つまり「惰性」も「慣性」も、本来は同じ意味を表す言葉なのです。

ところが「惰性」はその後「惰」という文字のニュアンスが徐々に強まり、「怠惰」や「ものぐさ」といった人間的な性質を表すようになりました。

一方の「慣性」は、今も学術用語としての客観的な意味をキープしており、人間的な性質を示すようなニュアンスの広がりはありません。

また「慣性」は、前述のように「静止しているか、等速直線運動中の物体は、外からの運動エネルギーを受けないかぎり、その状態を維持し続ける」ことを表しますが、「惰性」には「慣性」と同じ意味のほかに、「今まで続けてきた習慣や癖。勢い。」という意味もあります。

そのため「惰性」は「慣性」とちがって静止状態の物体を含まず、等速運動中の物体がその状態を維持することのみを意味する、という見解もあります。

いずれにしても、現在では「慣性」はおもに物体が持つ力学的な性質を表し「惰性」は人間が「今まで続けてきた習慣や癖。勢い」を消極的に維持することを表す、というように使い分けられています。

「惰性」と「怠惰」の違い


「怠惰」は、「たいだ」と読み「なまけてだらしないこと」を意味します。

一方「惰性」の本来の意味は、「今まで続けてきた習慣や癖」です。現在ではダラダラと続ける怠慢のニュアンスが強くなりましたが、「惰性」は必ずしも「なまけてだらしない様子」を表現する言葉ではない点が両者の違いになります。

「惰性」の使い方と例文


「惰性」という言葉の使い方としては、「惰性的」「惰性で○○をやる」などの言い回しで「これといった目的やモチベーションもないのに、だらだらと何かを続けている」という意味を表すのが基本です。

「惰性的」の例文

僕はサッカーを中学の時から惰性的に続けていたつもりだったが、就職してやめたとたんに、思いきりボールを蹴りたくなった。

「惰性で○○をやる」の例文

仕事で二百枚の伝票にポンポンと惰性で出納印を押し続けていたら、勢いあまって机にまで押印してしまった。

「惰性」の類語、言い換え表現

惰性の類義語としては「慣性」や「習慣」「習わし」「癖」などをあげることができます。

「惰性」の対義語

「慣性」と同じ意味としての「惰性」は物理の基本法則ですので、対義語はありません。
一方、「怠惰」や「ものぐさ」の意味では、対義語として「精進(しょうじん)」「勤勉」「熱心」などをあげることができます。

「惰性」の類語と対義語の例文


ここでは「惰性」の類義語と対義語として、「習慣」と「精進」の例文を紹介します。

「習慣」の例文

悪い習慣はあっという間に定着するのに、良い習慣はちっとも身についてくれないのはどうしてだろう?

「精進」の例文

精進料理を会得するには、文字どおり日々精進を重ねることが大切です。

「惰性」の英語表現

「惰性」の英語表現としては、「autopilot」「habit」「coasting」などをあげることができます。

「autopilot」の例文

「autopilot」は飛行機などの自動操縦の意味ですが、そこから派生して、自動操縦まかせのように何もしないでいる状態を意味するようになりました。

According to our in-house survey, more than half of permanent staffs did their job on autopilot everyday, and one in three people couldn’t explain what they did at work concretely.
(弊社の社内調査によると、正社員の半数以上が毎日惰性的に仕事をしており、さらに3人に1人が自分の仕事の内容を具体的に説明できませんでした。)

「habit」の例文

「habit」は習慣や癖を意味する言葉です。
「out of habit」は「癖で」を意味する成句です。この場合の「out of」は「外側」の意味ではありません。

Almost all Hiroshiman add Okonomi sauce to their food out of pure habit, without even tasting it first.
(ほとんどの広島県人には、食べ物の味見もせずに、お好みソースをかけてしまう習性があります。)

「coasting」の例文

「coast」は 「惰性で進む」「惰性走行する」などを意味する動詞です。

I would rather be coasting in a job like public servant than being caught in a pressure-cooker job like convenience store owner.
(僕はコンビニのオーナーみたいにプレッシャーまみれの仕事よりも、公務員みたいに惰性で続けられる仕事がしたいです。)

まとめ

  • 惰性はもともと慣性と同じ意味の言葉ですが、最近では「つまらないことを漫然と続けている」という意味で用いられています。
  • 「惰性」の類義語には「習慣」が、対義語には「精進」があります。
  • 「惰性」の英語表現には、「autopilot」「habit」「coasting」などがあります。