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本記事では「成功裏」の意味や使い方、「成功」との違い、類義語や英語表現について、例文を混じえて解説します。
ニュースやビジネスシーンなどで耳にする機会のある「成功裏」という言葉。「成功」と同じ意味のように思えますが、両者のニュアンスには違いがあります。その違いを理解して使いこなせるようになれば、表現の幅が広がり、日常生活や仕事にきっと活きてくることでしょう。
成功裏の意味と使い方
成功裏は、「ものごとがうまく行っている状態のうち」という意味の言葉です。「裏」が付いていると「成功の反対で失敗という意味なのではないか」と勘違いしてしまいそうです。
しかし、この場合の「裏」には「内側」という意味があります。すなわち、「成功と言える範囲の内側にある状態」というふうに言い換えることができるのです。
成功裏の使い方
成功裏はものごとに取り組んでいる最中でも終わったあとでも使えます。取り組んでいる最中なら「成功裏に進む」、終わったあとなら「成功裏に終わる」という言い方をすることが多いです。
個人単位というよりも、組織単位でものごとに取り組むときに使うのが一般的で、報告や所感を述べる際によく使われています。
「成功裏のうちに終わる」という使い方をする人がいますが、これは誤りです。言い方を変えると「うまく行っている状態のうちのうちに終わる」と言っていることになり、表現が重複してしまうからです。
「成功裡」とも書く
「成功裡」という書き方もできますが、「裡」は常用外となっているため、「裏」を使うほうが一般的です。どちらの漢字も意味は一緒で、成り立ちも「衣」と「里」からできているという点で同じです。
里はこの場合、筋のことを表しており、「衣服の縫い目の筋が見える側」ということで「裏」あるいは「裡」と書くのです。「裡」はへんとつくりになっているのに対し、「裏」は衣を上下に二分し、そこに里をはさんだ形になっています。
成功裏と成功の違い
成功裏と成功はどちらもうまく行っているという意味を持っており、同じ意味の言葉なのではないかと感じてしまうことでしょう。
しかし、ニュアンスには明確な違いがあります。それは「思いどおりになっているかどうか」ということです。
まず、成功には「ものごとを思いどおりに成し遂げること」という意味があります。ものごとの始まりから終わりまで、トラブルなく目的や目標を達成するというニュアンスがあるのです。
一方、成功裏は「トラブルなどによってものごとが思ったとおりには行っていないが、成功と言える範囲内にある」というニュアンスを含んでいます。
また、当初は不安要素のあったものごとが思いのほかうまく行ったときにも、成功裏を使うことができます。
成功裏が使えない場面
成功裏はものごとの途中でも終わりでも使える使い勝手のいい言葉ですが、使えない場面もあります。
たとえば、ものごとが終始うまく行った場合は「成功」となるので使えません。また、ものごとを最中にトラブルが起きているときも「成功裏に進んでいる」とは言えませんし、もちろん結果が失敗に終われば、「成功裏に終わった」と言うのは不可能です。このほかにも、以下のような場面が考えられます。
成功裏かどうか意見が分かれる場合
取り組んでいる仕事や活動が成功裏に進んでいるかどうか、または終わったかどうかというのがいつでも簡単に判断できるとは限りません。
たとえば、目標設定が明確にされていない場合などに、成功裏、すなわち成功と言える範囲内かどうか人によって感じ方が異なってくる可能性があります。
仮に月の売上目標が「100万円程度」と設定されており、結果が95万円だったとします。「今回は成功裏に終わった」と感じる人もいれば、「もっと売上を伸ばせたかもしれない」と感じる人もいます。組織の半分以上が後者だという雰囲気がある場合は、成功裏を使わないほうが無難だと言えるでしょう。
課題が残った場合
結果が成功裏に終わったとしても、そこまでに至る過程であまりにも深刻なトラブルが発生した場合でも、成功裏という言葉は使えません。初歩的なミスや気の緩みによるトラブルのような、心がけ一つで防げる事態によって取り組んでいる仕事が危機的状況に陥ってしまうと、後味の悪い終わり方になってしまいます。
報告や所感を求められた際には、成功裏を使うのは避け、反省や次回に向けての改善策について述べるのが望ましいでしょう。
成功裏と成功の違いがわかる例文
上記のことを踏まえて、例文で成功裏と成功の違いを確認します。例として、野外イベントを企画・運営するケースを想定します。
取り組みの過程に問題が発生せず、いい結果に終わった場合、成功という言葉を使って以下のような例文になります。
「今回のイベントは、天候に恵まれ、準備不足な点もなく無事に終えることができた。来場者数も目標を達成し、成功を収めた。」
一方、イベントの途中でトラブルが発生しながらも目標を達成できた場合は、成功裏を使って、以下のような例文になります。
「今回のイベントは、途中でいきなり雨が降ってきて一時はどうなることかと思ったが、さほど強くはなくすぐに上がったので中止にせずにすんだ。来場者数もどうにか目標に届き、成功裏に終わることができた。」
また、事前に不安要素があったものの、思いのほかうまく行った場合には、以下のような例文になります。
「今回のイベントは、当初は雨が降るという予報となっており、最後までやりきれるかどうか不安だったが、当日は薄っすらと曇った程度の空模様が続き、雨が降ることはなかった。来場者も途切れることなく目標を達成することができ、成功裏に終わった。」
成功裏の類義語とその違い
成功裏の類義語には以下のようなものがあります。
- 滞りなく
- 問題なく
- 順調に
どれも成功裏に似ていますが、ニュアンスとしてはトラブルなどがなく予定どおりにものごとが進んだり、終えたりする様子を表しており、どちらかというと成功のほうに近いと言えます。
成功裏の英語表現
成功裏を英語で表現する方法はたくさんあります。たとえば、「success」の形容詞形「successful」を用いた表現である「bring ~ to a successful conclusion」で、「~を上々の出来で終わらせる」、すなわち「~を成功裏に終える」という意味になります。
(我々は本日のイベントを成功裏に終えた)
もっとシンプルに言いたいという場合には「success」の副詞形「successfully」を使った表現もあります。
(本日のイベントは成功裏に終わった)
successfulやsuccessfullyが覚えづらいという場合には、successを使って表現する方法もあります。こちらもシンプルに表現することが可能です。
(本日のイベントは成功裏に終わった)
まとめ 本記事のおさらい
- 成功裏は、「ものごとがうまく行っている状態のうち」という意味の言葉である
- 成功との違いは思いどおりになっているかどうか
- 思いのほかうまく言った場合にも使える
- 成功裏と言えるかどうか意見が分かれる場合や全体的に後味が悪い場合は成功裏の使用を避けたほうが無難
- 上司への報告などで成功裏を使うことによって、「多少トラブルはありましたが……」という反省しているニュアンスが加わり、単に「成功しました」と言い切るよりも謙虚な姿勢である印象を与えることができます。
使用する際は組織内の雰囲気やものごとの過程と結果に注意して使うように心がけましょう。