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この記事では、「年の瀬」の意味や使い方、語源、類語、英語表現について考察します。
日本人にとって12月は何かと忙しい月ですが、この時期よく使われる表現が「年の瀬」です。でも、「年の瀬」とはいつからのことでしょうか?
「年の瀬」は、ビジネス上でもよく使われる言葉です。この記事を読んで「年の瀬」の意味を理解し、正しい使い方をマスターしてください。
「年の瀬」の読み方・意味・使い方
「年の瀬」とは、「年末」「歳末」「年の暮れ」の意味で、「としのせ」と読みます。
「年の瀬」とはいつからが正解?
「年の瀬」がいつからなのかは、正確な記載はありませんが、一般的には、12月の中旬から31日までのことを「年の瀬」と呼びます。
これは、全国的に12月の13日頃から正月の準備に入ることが理由のようですが、特に決まりはなく、12月に入ってから使っても問題はありません。
但し、「年の瀬が押し迫り」や「年の瀬が近づき」など表現によって使う時期が異なるので注意しましょう。
「年の瀬」の由来
なぜ、この時期を「年の瀬」と呼ぶのでしょうか。
「年の瀬」の「瀬」は、「川の中の歩いて渡れる程度に浅い所」のことで、「川の中の急な流れ」の意味もあります。浅くて流れが急な場所は、渡るのにもドタバタ苦労します。川の瀬は、船では難しく、歩いて行っても流れが激しいのでかなり危険です。ドタバタ命がけで渡らなければなりません。
この「瀬」の前に「年」が付いたのが「年の瀬」で、1年の中でも一番忙しくバタバタする時期のことを意味するようになりました。
その由来は次に説明しますが、「年の瀬」を使う場合は、このような意味があることを理解することが大切です。
「年の瀬」の語源
しかし、なぜ「年の瀬」は忙しくてあわただしいのでしょうか?
それは、江戸時代の商いの習慣にありました。江戸時代の庶民は、商品を「ツケ」で買い、代金の清算は、盆と暮れにしていました。特に暮れは、正月の準備ありなにかとお金が必要な時期で、借金を返済すれば正月の準備が出来なくなってしまう人も少なくありません。
まさに、精神的にも苦労がかさむ時期なのです。ツケを払ったら正月の餅も買えない。まさに、川の瀬に立った、危機的な状況と言えるでしょう。
「年が越せた」というように無事に借金を返して正月を迎えられることが、庶民のささやかな喜びでした。
一方、「年の瀬」は商人にとってはツケを回収する稼ぎ時でした。は除夜の鐘が鳴るまでにツケを回収しようと走り回り、お金が集まったら徹夜で帳簿をつけていたそうです。
このように、「年の瀬」は、江戸時代の商人や庶民にとって、正月を無事に迎えられるかの差し迫った時期なのです。つまり、ドタバタした様子が、川の瀬を渡るイメージにつながり、「年の瀬」の語源になりました。
その江戸時代からの感覚が、今も日本には残っています。借金の返済ではありませんが、正月に向けて慌ただしく働く姿は今も昔も変わりありません。江戸時代から続く日本独特の雰囲気が、「年の瀬」という言葉には感じられます。
「年の瀬」のビジネス上での使い方
「年の瀬」をビジネス上の挨拶文に使う場合は、忙しい時期に対する慰労や励ましの気持ちが込められていることを意識しましょう。
「年の瀬」の挨拶例
「年の瀬」を挨拶文に使う場合は、時期に合わせた表現を使うことが大切です。「年の瀬」の表現には、「年の瀬を感じる」「年の瀬が近づく」「年の瀬を迎える」「年の瀬が迫る」「良い年の瀬」などがあります。
12月に入り、1年の終わりを感じる気持ちが込められています。12月初旬に使うのが一般的です。
「例文」
- 年の瀬を感じる頃となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
- 寒さもひとしお身にしみ、年の瀬を感じる頃になりました。
12月に入ってから1週間から2週間の間で使います。
「例文」
- 年の瀬が近づき、今年最後のセールに向けてお忙しい日々が続いていることと存じます。
- 年の瀬か近づきましたが、くれぐれもお体に気を付けてお過ごしください。
12月中旬前後ぐらいから使います。
「例文」
- 年の瀬を迎え、なにかとお忙しい日々を過ごされていると思います。
- 年の瀬を迎え、今年も残りわずかとなりました。
中旬以降、年末が差し迫っている頃に使います。
「例文」
- 年の瀬も迫り、一段と慌ただしさが増していると存じます。
- 年の瀬が迫る中、正月商戦の準備でお忙しいことと思います。
多忙な時期ですが良い年末をお迎えくださいという意味で、年末の挨拶として使われます。
「例文」
- 本年はいろいろお世話になりました。良い年の瀬をお迎えください。
このようにビジネス文において時候の挨拶で、よく「年の瀬」は使われます。正しい使い方を学んで、ビジネスのスキルアップにお役立てください。
時候の挨拶とはなにか?月ごとに使える時候の挨拶の文例を解説
「年の瀬」の挨拶メールの書き方
「年の瀬」は年末の挨拶メールでも使われることがある言葉です。1年の締めくくりでもある年の瀬の挨拶メール、下記を参考に失礼のないよう気を付けましょう。
「年の瀬」の類語と例文
「年の瀬」の類語には、「年の暮れ」「年末」「歳末」「歳暮」「師走」などがあります。
一年の終わり。年末。
例文
・年の暮れが近づき、人も街も騒々しくなりました。
その年が終わりのこと。歳末。
例文
・今年の年末は、海外出張のため日本にはおりません。
年の暮れ。年末。
例文
・いよいよ歳末セールの準備が始まります。
年の暮れ。年末。歳末。「さいぼ」とも読む。また、お世話になった人に贈り物をすることや贈り物の意味。
例文
歳暮の町には、あちこちから餅つきの声が聞こえてきました。
陰暦の12月の異名。年の暮れの慌ただしさのイメージから現在も使われている。
例文
・師走の声を聞くと、なんとなくせわしない気持ちになります。
「年の瀬」の英語表現
「年の瀬」本来の意味を英語にするのは難しく、日本人が「年の瀬」に持つ感覚を英訳するのは不可能でしょう。英訳する場合は、単純に時期としての訳で、英語では「the last days of the year」や「the year‐end」です。意味としては「年末」に近い表現になります。
(年の瀬に向けての在庫調整に追われています。)
・I will complete that by the end of this year.
(年の瀬までには完成します。)
・The stock market will show a rising tendency toward the year‐end.
(株式相場は、年の瀬に向けて上昇するでしょう。)
また、年末の挨拶として、以下の表現を覚えておくと便利です。
(年の瀬も迫ってきました。)
「年の瀬」=「忙しい」という感覚は、日本特有のものですから英語にする場合は、あくまでも時期としての使い方で覚えるようにしましょう。
ちなみに、アメリカなどのキリスト教圏では、正月よりも「クリスマス」が重要です。11月頃からクリスマスシーズンに入り、「Holiday spirit(休日気分)」という、クリスマスシーズンのワクワク感をこの言葉で表しています。「年の瀬」という慌ただしい感覚があるのとは、だいぶ異なりますね。
まとめ この記事のおさらい
- 「年の瀬(としのせ)」は、「年末」「歳末」「年の暮れ」の意味で、一般的には12月の中旬から31日までの期間のことです。
- 「年の瀬」は、江戸時代の庶民が正月を無事に迎えられるかの差し迫った時期が語源。
- 「年の瀬」の挨拶文に使う場合は、時期に合わせて「年の瀬を感じる」「年の瀬が近づく」「年の瀬を迎える」「年の瀬が迫る」「良い年の瀬」などの表現があります。
- 「年の瀬」の類語は、「年の暮れ」「年末」「歳末」「歳暮」「師走」など。
- 「年の瀬」の英語は、「the last days of the year」や「the year‐end」になります。