この記事では、「イデオロギー」の意味や使い方、語源、類語・対義語、英語表現について解説します。

歴史や社会の教科書で「イデオロギー」という言葉を見たことがあるはずです。どこか難解な言葉の印象があり、その意味を深く知らずにいる人も多いでしょう。

「イデオロギー」は、テレビの討論会や新聞などでも使われる言葉です。この記事を読んでビジネスマンとしての知識を増やしてください。

「イデオロギー」の意味と使い方

「イデオロギー」とは、「個人や社会集団によって共有される思想や信条、世界観」を意味します。一般的には政治思想などに使われることが多く、「資本主義」「社会主義」「共産主義」などが代表的な「イデオロギー」です。

「イデオロギー」は、政治や宗教に関わることなので、使い方には注意が必要です。「イデオロギー」は、あくまでも政治や宗教における体系的な思想や信条です。

個人的な発想や考え方ではありません。「私のイデオロギーでは、フレックスタイム制にすべきです」などと使うのは誤りです。

そのような場合は、「私は、フレックス制にすべきだと思います」というように個人の意見として表現するのが良いでしょう。

日本は海外に比べて政治や宗教に対する意識が低いと言えます。特に宗教に関しては、キリスト教やイスラム教を信仰する人々とはかなりの温度差があります。

海外の人とイデオロギーについて話をする場合は注意が必要です。特に相手に対して不快になるような話題はさけて、一般的な話題として扱うのが無難です。これは、国内でも強い宗教心を持っている人に対しては同様です。人間関係を壊さない距離感で接することが大切です。

しかし、ジャーナリズムの世界では、「イデオロギー」という言葉はしばしば登場します。
また、ビジネスにおいても使われることはあるので、使い方を間違えないようにしましょう。

「イデオロギー」の語源

「イデオロギー」の語源は、ギリシャ語の「イデア」と「ロゴス」になります。「イデア」は、「見えているもの、姿、形」の意味ですが、プラトン哲学では、「時空を超越した非物体的、絶対的な永遠の実在」とされ、近年では「観念・理念」の意味で使われるようになりました。「ロゴス」は「言葉・議論・尺度・理法・理性」などの複数の意味があります。

「イデオロギー」は、フランスの哲学者アントアーヌ・ルイ・クロード・デステュット・ド・トラシーが、著書の中でフランス語の「イデオロジー」という言葉を用いたのが由来と言われています。

日本に「イデオロギー」という言葉が入ってくるきっかけになったのは、マルクスとエンゲルスの著書「ドイツ・イデオロギー」です。マルクス主義とともに「イデオロギー」という言葉が、日本中に広がりました。

「イデオロギー闘争」とは

「イデオロギー闘争」とは、思想や信条が異なる2つの集団がそれぞれの主張を述べ、激しくぶつかり合うことを意味します。

「イデオロギー闘争」を政治闘争のひとつとして位置づけたのが、ロシアの革命家・レーニンです。彼はブルジョア(資本家階級の人)のイデオロギーに対してプロレタリアート(労働者)の理論と世界観を対置させながら闘争を遂行することを提唱。マルクス主義を理論的に発展させ、世界の革命運動に多大な影響を及ぼしました。

「イデオロギー分析」とは

今や「イデオロギー」は、「資本主義」か「共産主義」という2極的なものではなく、宗教や民族などさまざまなイデオロギーがあり、より複雑化しています。さらに、政治や宗教だけでなく、経済や社会、教育、スポーツなどに関してもさまざまな分野でイデオロギーが生まれています。
このようなイデオロギーを分析することが「イデオロギー分析」です。複雑多様化した世界をより良いものにするためにも、「イデオロギー分析」は不可欠になっています。

「イデオロギー」のビジネス上での使い方

海外の人とビジネスをする場合は、政治や宗教の話はタブーとされています。従って、直接的に「イデオロギー」という言葉を使うのは控えた方が良いでしょう。
日本人同士であれば、まず、問題はありませんが、論争になるような使い方は避けるべきです。

ビジネス上で使う例としては、以下のようなものがあります。

・弊社の信条は、イデオロギー的にも社会に貢献するものです。
・彼は、かなりイデオロギー色の強い雑誌を購読しているようです。
・イデオロギー対立を繰り返しているだけでは、今回の難局は乗り越えられません。
・企業の社会貢献に関しは、より詳細なイデオロギー分析が必要です。

「イデオロギー」の類語後と例文

「イデオロギー」を日本語にすると「観念形態」になります。さらに、類語として、「理論体系」「政治思想」「主義」などがあります。

観念形態(かんねんけいたい)
グループまたは国についての考え方を特徴づける信条。イデオロギー。
例文
・観念形態の対立が、国際交流の障害になっています。
理論体系(りろんたいけい)
その人が信じる理論の体系のこと。
例文
「神道大意」は、神道史上初の理論体系書です。
政治思想(せいじしそう)
政治についての思想、考え方。
例文
・ナチスが掲げた政治思想によって、多くのユダヤ人の迫害されました。
主義(しゅぎ)
常に抱いている考え方や指針。学説や思想上の立場。
例文
・彼の完璧主義のお陰で、仕事が延滞しています。

「イデオロギー」の対義語と例文

「イデオロギー」の明確な対義語はありませんが、最近では「ポスト・イデオロギー」という表現が見られます。また、学生運動の全盛期には、「ノンポリ」という言葉が活動家たちによく使われました。対義語に近い表現では、「個人主義」や「アイデンティティ」があります。

ポスト・イデオロギー
1950年代、社会主義運動を推進していた知識人が、階級闘争に基づいたイデオロギーは終焉したとし、政治の世界からイデオロギー的なものを抹殺するという「ポスト・イデオロギー」が使われるようになりました。
例文
・ポスト・イデオロギーと言われる現在、本当にイデオロギーは存在しないのでしょうか。
ノンポリ
nonpolitical の略。政治的に無関心であること。1960年代の学生運動において、活動家たちが政治的や学生運動に興味を持たない学生を批判した言葉。
例文
・70年安保闘争に全ての大学生が参加したわけではありません。多くはノンポリの学生たちでした。
個人主義(こじんしゅぎ)
国家や社会の権威に対して、個人の意義や価値を重視し、個人の権利や自由を主張する考え方。
例文
困っている人を放置することが個人主義とは思えません。
アイデンティティ
自己同一性。個物や個人が変化などに流されずに、連続性や統一性、独自性を保つこと。
例文
流行に流されずに、企業としてのアイデンティティを見直すことも大切です。

「イデオロギー」の英語表現

「イデオロギー」は、ドイツ語の「Ideologie」が由来で、英語では「ideology」になります。発音は「アイディオロジー」です。

・The ideology is behind the times.
(そのイデオロギーは時代遅れです。)
・Sex equality is an integral part of democratic ideology.
(男女平等は、民主主義のイデオロギーには不可欠なものです。)
・They sold their country out for the sake of their ideology.
(彼らは自分たちのイデオロギーのために祖国を売り渡しました。)

まとめ この記事のおさらい

  • 「イデオロギー」とは、「個人や社会集団によって共有される思想や信条、世界観」を意味します。
  • 日本に「イデオロギー」という言葉が入ったのはマルクスとエンゲルスの著書「ドイツ・イデオロギー」がきっかけ。
  • 「イデオロギー」の類語は、「観念形態」「理論体系」「政治思想」「主義」など。
  • 「イデオロギー」の対義語は「ポスト・イデオロギー」「ノンポリ」「個人主義」「アイデンティティ」などが考えられます。
  • 「イデオロギー」は、ドイツ語の「Ideologie」が由来。英語では「ideology」で発音は「アイディオロジー」です。