レゾンデートルとは|意味・語源・使い方・英語表現について解説

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この記事ではレゾンデートルの意味や使い方について解説いたします。

レゾンデートルはあまり馴染みがない言葉かもしれません。しかし、この言葉を知っていると小説や哲学、経済記事をより深く理解できることでしょう。

なぜなら、レゾンデートルは哲学や文学の分野等で中心的な課題とされているからです。
それでは、実際に意味や使い方等について確認してみましょう。

レゾンデートルとはなにか

レゾンデートルとは「自身が信じる生きる理由」や「存在価値」を意味するフランス語の「raison d’etre」をカタカナ表記したものです。

他人から見た「存在価値、理由」ではなく、あくまで自分が求める「存在価値、理由」をさしています。
存在価値を別の言葉に言い換えると「その者が存在していることの意味や価値、重要性」です。

レゾンデートルの語源

フランス哲学の「実存主義」が流行した際、議論の場等では「存在理由」という意味で「レゾンデートル」の言葉が多様されていました。

その概念が外国由来ということもあり、相応する日本語を探すのではなくそのままカタカナで「レゾンデートル」と使われることが流行したのです。

なおこれまで日本になかった新概念については日本語での表現が難しいということもあり、「レゾンデートル」のようにカタカナで表現するということが多いです。

例えばラジオやキムチ、インフレーション等が例として挙げられます。

哲学的な意味

「レゾンデートル」はその意味から、哲学の主要テーマの一つとして盛んに使われてきました。
哲学的な意味の変遷を、時系列に沿って確認してみましょう。

まずデンマーク出身のキルケゴールが「人間は個人として現実に存在している」という「実存」を考えました。

ここでいう「実存」とは、他人と取り替えることができない「私」のありようを示したものです。

またキルケゴールは実存を追求する中で「絶望」にも考えを広げていきました。
絶望を素直に受け入れた上で「自分の人生は自分で作り上げる」と決めることで倫理的に生きられると考えたのです。

その後ドイツのマルティン・ハイデガーが「実存哲学」を表現しました。

ハイデガーは、過去・現在・未来という時間の流れの中に人間存在があり、未来の可能性である「死」に向き合いながら現在を生きる生き方を「実存的生き方」としたのです。

この主張はフランスやドイツの若者を中心に大いに受け入れられ、キルケゴールと共に実存主義哲学の大きな流れを作りました。

そのハイデガーに影響を受け「実存主義」の定義を明確にしたのが、フランスの哲学者であるジャン・ポール・サルトルです。
実存主義とは「現実に存在すること(実存)が本質に先立つ」という考え方で、第二次世界大戦後フランスを中心に発展しました。

サルトルは「人間は本質に先立つ実存である」と考え、人間は行動することにより何ものかになっていき、本質は持っていないと主張しました。
現実世界に拘束される中でどう行動するかが大事だという主張です。

以上から「レゾンデートル」の哲学的意味とは、死の可能性や逃れられない世界に向き合いつつ、取り替えができない自分について考える、という含みを持った「存在理由」への問いだといえます。

アイデンティティとの違い

「レゾンデートル」と似た言葉として「アイデンティティ」が挙げられます。

「アイデンティティ」は英語の「identity」を由来とするカタカナ語で、「自己同一性」等と訳されることが多いです。

自己同一性とは、自己が時間の経過や環境の変化に影響されず、連続する同一のものという意味で使われます。

また「アイデンティティを確立する」等、心理学用語として使われることもあります。
この場合「自分はこういう人間であるという確立」という意味です。

両者を比較すると、「レゾンデートル」は「存在の理由」という意味なのに対し、「アイデンティティ」は「存在の要素や基盤」という意味があります。

前者は存在への問いであるのに対し、後者は存在の確認という違いがあることが分かります。

レゾンデートルの使い方

「レゾンデートル」の意味通り、「存在価値」を問いたい時等にこの言葉を使うのが適しているといえます。

なお「レゾンデートル」は人間以外にも、会社や考え方等に対してもその存在価値や存在理由を説明する時に使うこともできます。

また哲学的背景を含んだ表現をしたい時には、「存在価値」ではなくあえてカタカナ語の「レゾンデートル」の方が良いでしょう。

レゾンデートルの例文

「レゾンデートル」の例文として、次のようなものが挙げられます。

・会社の「レゾンデートル」は、社会への価値を生み出し続けることにあると考えられている。

会社はその収益構造から、価値を提供し続けなければ瞬く間に潰れてしまいます。
ここでは、会社としての「存在価値」は社会への価値を生み出し続けることだと表現していることが分かります。

・いつでも新しいことに挑戦していくことが、彼女の「レゾンデートル」だ。

現在から未来に向かって新しい挑戦を続けていくことが彼女にとっての「存在価値」であることを表現しています。

・「レゾンデートル」と「アイデンティティ」は、似ているようで別の意味を持つ言葉である。

「レゾンデートル」は「存在の価値」という意味なのに対し「アイデンティティ」は「存在の基盤や要素」を意味しているので、使い分けが必要です。

レゾンデートルの英訳

「レゾンデートル」はフランス語の「raison d’etre」に由来しているのは先述の通りですが、これを英訳すると以下のような表現が使われます。

・reason of being
(存在理由)
・reason for living
(生きる理由、生き甲斐)

ただし、英文としてそのまま「raison d’etre」が使われることもあるようです。

英語の例文

上記の英訳を使った例文として、以下のようなものが考えられます。

・What is his reason for living ? I’m interested in it.
(彼の存在理由は何ですか?興味があります。)

彼の人柄や魅力に触れ、どのような存在理由を持っているのか関心を持ったことを表現しています。

・It is very important for me to think my reason for living.
(私にとって自分の生きる理由や生き甲斐を考えるのはとても大事なことです。)

どのような生き甲斐や生きる理由を持つかによって、その後の生き方や時間の使い方は大きく変わってきます。
ここでは、自分にとってそれらを考えることがとても重要だということを表していることが分かります。

まとめ この記事のおさらい

  • 「レゾンデートル」はフランス語の「raison d’etre」のカタカナ語で、「自身が信じる生きる理由」や「存在価値」という意味がある
  • 「レゾンデートル」はその意味から、哲学の主要テーマとして頻繁に取り扱われてきた
  • 「レゾンデートル」は「存在の理由」という意味で存在への問いと解釈されるのに対し、「アイデンティティ」は「存在の基盤や要素」を意味しており存在の確認のことである
  • 「レゾンデートル」は人以外にも会社や考え方等にも使うことができ、哲学的背景があることを示唆したい時には「存在理由」ではなくあえて「レゾンデートル」を使うことがある