こちらでは、「刮目」という言葉についてご紹介します。

読み方も難しいため、あまり目にされたことのない方でも理解できるよう、読み方、、語源からの表現まで、、類義語や対義語なども、例文を使ってわかりやすく、詳細にわたり解説していきます。

刮目の読み方と意味

「刮目」は「かつもく」と読みます。

「刮」は「こする」であるため、「目をこする」という意味になります。そのため、「刮目」は文字が示す通り、「目をこすってよくこと」、つまり「注意して見ること」ということを表す言葉です。見る対象は人、事象のどちらにも使えます。

刮目の使い方|語源と慣用句

刮目の語源

「刮目」という言葉は、中国の古典「三国志」の故事が由来となっています。「呉志材・呂蒙伝」によれば、中国の三国時代、呉の孫権に忠告を受けた呂蒙は勉学に励み、魯粛がその才能に驚いたことから、「刮目」という言葉が使われるようになりました。

「士別れて三日なれば、即ち更に刮目して相対すべし」

つまり、「日々鍛錬している者は三日も会わなければ見違えるほどに代わっている」ということ、転じて、「いつまでも同じ先入観で物事を見ずに常に新しいものとして見よ」という意味になりました。
日本では「男子三日会わざれば刮目して見よ」という形に変化して、広く知られています。これは、「三日会わなかっただけで、見違えるように変わったので、人(男性)を見る際は気を付けてしっかりと見るように」という意味で使われています。

刮目の慣用句

こちらでは、「刮目」を含む慣用表現をご紹介します。

・「刮目に値する」:その動向や現状などを注意して見る必要があるさま。

・「刮目相対(かつもくそうたい)」または「刮目して相待つ」:目を見開き、よく見ること。進歩した相手を見直すこと。

・「刮目相看(かつもくそうかん)」:人の著しい進歩や成長を待ち望むこと。または、今までとは違う見方をして、相手のことを見直すこと。

「刮目」単独と同じ意味として使われる「刮目に値する」は、「刮目」を使う中でも使用頻度の高い表現なので、必ず覚えておきたい言葉です。「注目に値する」とほぼ同じ使われ方をされるので、簡単に使える表現です。
またご覧のように、慣用句は、出典の「三国志」をはじめ、現在でも中国語で使われる表現として、より元々の意味に近い「相手を見直す」「進歩や成長を待ち望む」と言った意味合いが残っていることが特徴です。

刮目の類義語

「刮目」の類義語は次の通りです。

「刮眼(かつがん)」

意味合いとしては、「刮目」と全く同じ意味の言葉です。
その他にも、下記の言葉が「刮目」の類義語としてあげられます。

「観察」:物事の様相をありのままにくわしく見極め、そこにある種々の事情を知ること。
もともとは仏典や漢籍で「正しくみること」の意。

「注視」:注意深くじっと見ること。

「熟視」:つくづくと見ること。じっと見つめること。

「凝視」:目を凝らして見つめること。

「虎視」:虎のように鋭い目で見まわすこと。機会を狙って、形勢をうかがうこと。

「精察」:細かく観察すること。詳しくみとどけること。

「活眼」:物事の道理を正しく見通す眼識や見識。

「着目」:重要なこと、有望なこととして注意すること。目をつけること。

こちらにあげた言葉はすべて類義語となりますが、いずれも上述の「刮眼」と比べると、「しっかりと目を見開いて見る」という意味のみとなっています。本来の意味であり、現在でも慣用句として使われる際の「相手を見直す」「成長が見られる」と言った意味合いはありません。

また、「瞠目(どうもく)」という言葉を類義語として挙げられることもありますが、「目を見張ること。見て驚き、感心感動すること」という意味で、見ること以外の意味もあり、若干意味合いが変わってくるので、使用する際は注意が必要です。

刮目の対義語

刮目の対義語は、一瞥、一見などがあります。

「一瞥(いちべつ)」:ちらっと見ること。ちょっとだけ見やること。

「一見(いっけん)」:一度見ること。ひととおり目を通すこと。ちらっと見ること。

「瞑目(めいもく)」という言葉を対義語とする向きもありますが、「目を閉じること」により、考え事にふけったり、仏に念じて祈ったりする意味があるので、少し意味合いが違います。また、瞑目には「目をつぶること」という意味以外にも「安らかに死ぬこと」という意味があるので、使用する際は気を付ける必要があります。

また、「一見」は「いちげん」という読み方もありますが、まったく違う意味合いとなり、「刮目」の反意語としては使いません。使用する際は、読み方にも注意しましょう。

「三国志」の中では、「進歩のない人間」のことを「呉下の阿蒙」と呼んでいます。これは魯粛(ろしゅく)が「呉下の阿蒙に非ず(ごかのあもうにあらず)」つまり、「呉の呂蒙ちゃんではない」と言ったところから来ています。幼い頃のイメージと大きく変わり、成長して立派になった呂蒙の姿を見て、「もう子供のころの呂蒙ちゃんではないため、小さい頃の先入観を持って見てはいけない」と思ったという逸話が由来の意味です。

類義語と対義語の例文

こちらでは、「刮目」の類義語と対義語の例文を2つずつご紹介します。

類義語の例文

・「刮眼(かつがん)」の例文
彼の研究による科学的解明は、刮眼すべき学術的成果であった。
・「注視」の例文
影響力を増したその国の政治動向は、世界中が注視している。

対義語の例文

・「一瞥(いちべつ)」の例文
待ち合わせに現れた彼女は私には一瞥もくれず、その場を立ち去った。
・「一見(いっけん)」の例文
彼の作品は一見するとありきたりに見えるが、よく見ると深みのある独創的な作品だ。

それぞれの言葉は、やはり微妙にニュアンスが違ってくるので、使用する際は、意図する意味合いを全て統括しているかどうかを考えて、適切に使うように心がけましょう。

刮目の英語表現

英語で「刮目」は「careful observation」(注意深く観察する)、「close attention」または「close watch」(注視する)、「wide recognition」(広く認識する)など様々な表現があります。また、「刮目する」では、「fixe one’s eyes on」(注視する)、「look with keen interest」(興味を持って見る)などと表現することも可能です。

・Worldwide careful observation is needed about climate change.
(世界中が気候変動を刮目する必要がある。)
・I am keeping a close watch on the situation.
(引き続き状況を刮目していこうと考えている。)
・Her remarkable contribution in this field deserves much wider recognition.
(彼女のこの分野における目覚しい貢献は更なる刮目に値する。)
・The eyes of the world are fixed upon UK’s reaction.
(世界各国はイギリスの動向を刮目している。)
・We are observing the development of this affair with keen interest.
(ことの進展を刮目している。)

いずれも、同義語の時と同じように、それぞれの表現は全く同じ意味ではなく、微妙なニュアンスの違いがありますので、伝えたい内容に応じて、最も適切な表現を選ぶことが必要となってきます。

まとめ この記事のおさらい

  • 「刮目」は「かつもく」と読み「注意して見る」という意味。
  • 「刮目」の由来は中国の古典「三国志」
  • 「刮目」の同義語は「刮眼」「観察」「注視」「熟視」
  • 「刮目」の反意語は「一瞥」「一見」
  • 英語で「刮目」は「careful observation」「close attention/ watch」「wide recognition」