圧巻の意味・使い方|圧倒との違い、英語表現と類語・対義語を解説

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ここでは、「圧巻」の意味と使い方、使用する際の注意点や例文についてを解説しています。

また、「圧倒」との違いや類義語、対義語、英語表現についても学ぶことができます。

圧巻の読み方と意味

「圧巻」は、「あっかん」と読みます。

「圧巻」とは、「他の物と比べてはるかに優れている」という意味を持つ言葉です。

「圧巻」という熟語に使われている「圧」という漢字には、「押さえつける」という意味があります。「圧」という漢字を使った他の単語には、「圧縮」「圧倒」「圧迫」などがあり、いずれも「強い力で何かを押さえつける」という意味を持っています。

また「巻」という漢字は、「まき・かん」と読み、書物や巻物を示します。

「圧巻」という言葉は、もともと「書物の中で一番優れている場所」を示す言葉として使われていましたが、それがのちに「全体の中で最も優れている部分」という意味に転じ、書物だけではなく様々な場面で使われる言葉になったと言われています。

「圧巻」とは、「全体の中で最も優れている部分」という意味から、「すごい」「形容しがたいほど素晴らしい」という意味を持つ表現として使われます。

・この映画はとてもすばらしかった。圧巻だったのが、ラストで主人公が亡くなるシーンです。
・テーブルの上に並べられた豪華なディナーの中でも七面鳥の丸焼きは圧巻である。

などのように用い、

「映画の中で最も優れた場面は、主人公が亡くなるシーンである」
「豪華なディナーの中で、七面鳥が一番すばらしい」

という意味を表します。

また「圧巻」は、

・圧巻の景色
・圧巻の演技
・圧巻の試合

などのように「全体の中で最も優れていた部分」という意味合いではなく、「優れている全般」を指し、「素晴らしい!」という意味で用られているケースもあります。
これらは一見誤用ですが、意味の拡大解釈として一般的な表現として使われつつあるのが現状です。

圧巻の由来は中国の科挙

「圧巻」という言葉は、「中国の科挙(かきょ)」に由来すると言われています。

「科挙」とは、中国の隋代(ずいだい)に制度として確立した官吏登用試験のことです。

試験後に最も優秀だった答案を他の答案の上に載せる習慣があったとされており、それを「科挙圧巻(かきょあっかん)」と言います。

「科挙圧巻」とは、他の答案(巻)で他のすべての答案を“圧”することを表しており、その意味から、書物や演劇などの中で最も優れた部分を示す言葉として「圧巻」が使われるようになったと言われています。

圧巻と圧倒の違い

「圧巻」に似た熟語として「圧倒」という言葉があります。

「圧倒」とは、「際だって優れた力をもっていること。また、その力で相手を押さえつけること」を意味しており、

・彼の剣幕に圧倒された。
・映画のラストシーンのすばらしさに圧倒された。

などのように用います。

「圧巻」という言葉が、「全体の中で一番優れている部分」という意味合いを持つのに対し、「圧倒」は「周囲の物よりはるかに勝っている」ことを示す言葉となります。

そのため「圧巻」は、

「この映画はとてもすばらしかった。圧巻だったのが、ラストで主人公が亡くなるシーンです」

と表すのに対し、

「圧倒」は、

「この映画はとても素晴らしく、他の映画を圧倒していた」

と表し、比較の対象が1本の映画だけでなく、他の映画も含まれるときに使います。

圧巻の類義語

「圧巻」の類義語には、「見どころ」、「山場」、「クライマックス」などが挙げられます。

これらの言葉はすべて、映画や演劇で「全体の中で一番優れている部分」を表現する言葉となります。

また、「圧巻」を「圧巻の景色」のように「素晴らしい」という意味合いで用いる場合の類義語として、「出色(しゅっしょく)」があります。「出色」には、「際だって他より良い」という意味があり、

・商品開発部が開発した新商品は、出色の出来だ。すぐに人気商品となることだろう。
・今回のアカデミー賞受賞作品は、歴代の受賞作の中でも出色の出来と言えるだろう。

などのように用います。

圧巻の対義語

「圧巻」という言葉が「全体の中で優れている部分」を意味するのに対し、「圧巻ではない状態」「他から抜きんでていない状態」を示す言葉として、「伯仲(はくちゅう)」「互角(ごかく)があります。

「伯仲」とは、「力が近接し優劣がつけがたい」という意味を持つ言葉です。

「伯仲」の「伯」は、中国の兄弟の序列で最年長者を示し、また「仲」は兄弟の序列で中にある人、次兄を指します。この二人に大きな差がなかったことから、「力が接近していて優劣がつけられない」ことを表す言葉として、「伯仲」が使われるようになったとされています。

一般的には「実力伯仲(じつりょくはくちゅう)」という四字熟語で使われることが多い言葉です。

「互角」とは、「互いの力量が同じくらいで、優劣がつけられない」という意味を持つ言葉です。

もともとは、「牛角(ごかく)」と言う漢字が使われており、牛の左右の角の長短・大小の差がないことから、二つの物が同等である言葉として用いられます。
後に「牛角」から「互角」と書かれるようになり、現在では「互角」が一般的です。

類義語と対義語の例文

「圧巻」の類語の例文として、

見どころの例文
・この映画の見どころは、映画のストーリーがすべて事実に基づいているということだろう。
山場の例文
・議会はついに山場を迎えた。いよいよ今回の最大のテーマである人事考課についての議論に入る。
クライマックスの例文
・キャンプファイヤーは林間学校のクライマックスである。

などが挙げられます。

「圧巻」の対義語の例文として、

伯仲の例文
・今日の試合は、実力伯仲の良い内容だった。
・彼と彼女は実力伯仲。良いライバルとして互いに刺激しあえるだろう。
互角の例文
・実力は互角。次の試合の勝敗を決めるのは勝利に対する執念だけだ。
・能力は互角なはずなのに、ここまでレポート内容に違いがあるとは。やる気の問題だろう。

などが挙げられます。

圧巻の英語表現

「圧巻」の英語表現は、「the best part」「the highlight」「masterpiece」などがあります。

「the best part」は、「最も優れている部分」という意味の言葉で、「the best part of~」と繋げることで、「~の一番良いところ」「~の醍醐味」という意味を表します。

「the best part」の例文として、

・The best part of traveling is enjoying the local culture.
(地方文化を楽しむことは、旅の醍醐味である)
・This is the best part of the novel.
(ここがこの本の山場だ)

などが挙げられます。

また「the highlight」は、「見どころ」「ハイライト」「クライマックス」という意味を持ちます。
一般的に「本日のハイライト」などと使われており、「本日の中で最も優れている部分」を表す言葉となります。

「highlight」の例文として、

・The highlight of the day’s program was the match between Oda and Okada.
(今日の試合の一番の山場は、織田と岡田の試合だった)

が挙げられます。

「masterpiece」は、「最高傑作」「絶品」という意味を持つ言葉です。主にアートやデザイン作品に対して使われる言葉となります。

「Masterpiece」の例文として、

・His design is a real masterpiece.
(彼のデザインは本当にすばらしい!)
・The movie is an immortal masterpiece.
(この映画は不屈の名作だ!)

などが挙げられます。

まとめ この記事のおさらい

・「圧巻」とは、「他の物と比べてはるかに優れている部分」を意味する言葉である。
・「圧巻」の由来は、中国の「科挙」にある。
・「圧巻」という言葉が、「全体の中で一番優れている部分」という意味合いを持つのに対し、「圧倒」は「周囲の物よりはるかに勝っている」ことを示す言葉である。
・「圧巻」の類義語には、「見どころ」「山場」「クライマックス」などがある。
・「圧巻」の対義語には、「伯仲」「互角」がある。
・「圧巻」の英語表現は、「the best part」「the highlight」「masterpiece」などがある。