「黙想」とは?「黙祷」との違い、やり方や効果などを解説

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この記事では、「黙想」の意味や使い方、効果、黙祷との違い、類語、英語表現などについて解説します。

「黙想」という言葉からどんなイメージを浮かべるでしょうか?黙祷と同じような意味で解釈する人もいるかもしれませんが、黙想と黙祷とでは全く意味が異なります。黙想は武道などの稽古の前におこなわれる大切なものです。

また、黙想は社会人に有効なストレス解消法としても注目されています。この記事を通して、「黙想」の正しい意味と使い方を理解し、社会人としての知識の幅を広げてください。

黙想とは


黙想とは、「黙って考えにふけること」で、武道などの稽古の前後に行われることが一般的です。内なる自分に目を向け、深層心理にはたらきかけ、考え方や動き方について考察する方法です。

自分が望むパフォーマンスをイメージすることで実際のパフォーマンスにつなげることができる「イメージトレーニング」に類似した訓練法とも言えます。但し、イメージトレーニングとは異なり、より精神的なニュアンスが強くあります。

剣道では、「集中する」「課題のおさらい」「心を落ち着かせる」などの目的で黙想をおこないます。

熟思黙想とは

黙想を使った四文字熟語に「熟思黙想(じゅくしもくそう)」があります。「精神をじっと集中して、静かに物事を考えるさま」の意味で、「熟思」は、「よくよく考えること、深く思いをめぐらすこと」です。

例文

  • 今こそ、将来のことを熟思黙想してじっくり考えるべきです。
  • あんなに熟思黙想して出した結論なのに、周囲から猛反対されてしまいました。

熟思黙想の類義語としては、「沈思黙考(ちんしもっこう)」があります。

例文

  • 哲学好きの彼は、いつもひとりで沈思黙考しています。

黙想のやり方


学校でおこなわれている黙想は、授業前に目を閉じて静かに自分の内面に思いを巡らせる時間です。「なんの勉強をするか考えよう」など具体的なテーマを持って、深呼吸してから黙想に入ります。

先生の「黙想」の号令で開始し、「やめ」で黙想を終了させます。学校での瞑想の時間は30秒ぐらいで武道などの黙想よりは短くなっているようです。学校の場合、短時間で集中力を高めるための簡易な方法として、黙想を採用しているようです。

剣道などの武道でおこなわれている黙想においても絶対的な決まりはありませんが、ここでは剣道での代表的な黙想のやり方を紹介します。

正座して、目を閉じる

黙想の伝統的な方法は、正座し右手の甲を下にして左手の甲を右手の上に置きます。これは仏教的な考え方から左手(理性)で右手(感情)を抑え込むという意味があるそうです。かるく目は閉じるか、周囲を警戒するという古来の考えから薄目にする場合もあります。

深呼吸をして、心身をリラックスさせる

黙想に大切なことは姿勢よりも精神の状態です。あれこれ心が乱れていては黙想の効果は得られません。まずは、深く息を吸ってリラックスさせ、自分自身に問いかけながら、心を整えます。

稽古の目的や自分自身の課題について考える

黙想中は漫然として考えるのではなく、自分の弱点や課題について考え、どのような稽古をどのくらいするかなど具体的なことを思い浮かべ、強くなるために稽古している自分をイメージすることが大切です。

考え過ぎたら無心になる

自分の課題や稽古のやり方などを考え過ぎて心が乱れた場合は、一切の感情を忘れて無心になることも必要です。一切の雑念を追い払うように呼吸に集中しましょう。100%無心になることは難しいですが、心を落ち着かせるには効果があります。

このように剣道では自分が上達するためのイメージを作り上げるのに黙想が活用されています。

黙想の使い方


黙想は言葉の意味としては「黙って考えにふけること」で、一般的な文章においては以下のような使い方をします。

例文

  • 親友が自殺した彼女は、死について黙想していました。
  • 新人は今回のミスについてしばらく黙想しました。
  • 彼は黙想するために自宅の部屋を改装しました。
  • 姪の学校では毎朝授業前に黙想をおこなっているようです。

黙想の効果


黙想は、ある特定のイメージを浮かべることで心と体の状態を整える方法です。武道だけでなく人生を楽しく生き抜くためにも大いに役立ちます。黙想には、以下のような効果が考えられます。

  • 全てをポジティブに受け止められる。
  • ありのままの自分を受け止められる。
  • 幸福感がアップする。
  • 人生の質が高まる。
  • 未来に希望が持てるようになる。

このように人生を前向きに考えられるようになると人間関係も改善し、ストレスのない健康的な生活が送れるようになるのです。大阪体育大学が剣道部員におこなった実験では、黙想後、脳のα波が増加したことが報告されています。

α波は、心をリラックスさせ、記憶力や集中力、免疫力などを向上が期待される脳波として知られています。このように黙想は、科学的にもその効果が証明されています。

黙想と黙祷の違い


黙想と似た表現に「黙祷」がありますが、その意味は大きく異なります。黙祷とは「無言のまま心の中で祈ること」で、戦争や災害などで亡くなった人々を追悼する式典などでおこなわれる行為を意味します。

黙想は、自分の内面に集中する行為で、死者を追悼する意味はありません。黙想と黙祷では思いを馳せる対象が全く異なります。言葉の響きから同じ意味のように誤解されやすいので注意してください。

黙想の類義語


黙想の類語には「瞑想」「黙考」「思索」「熟考」「沈思」などがあります。

瞑想(めいそう)

目を閉じて深く静かに思いをめぐらすこと。

例文

  • 彼は仕事前のルーティンとして、毎朝デスクで瞑想をしています。
黙考(もっこう)

黙って深く考えること。

例文

  • 部長はしばらく黙考してから重い口を開きました。
思索(しさく)

思いめぐらす。考え求める。

例文

  • 彼はなにかを思索するように湖面を眺めていました。
熟考(じゅっこう)

じゅうぶんに考えること。十分に思いをめぐらせること。

例文

  • 今回の新商品は熟考を重ねた上で決断しました。
沈思(ちんし)

深く考え込むこと。いろいろ思案すること。

例文

  • 毎日忙しく仕事に没頭する彼には、沈思する時間が必要です。

黙想の英語表現


黙想の英語表現は、名詞が「meditation」、動詞は「meditate」です。

例文

  • He came up with the plan after long meditation.
  • 彼は長い間黙想すると、その計画を思いつきました。

  • He meditates for at least half an hour every day after work.
  • 彼は毎日、仕事が終わったら少なくとも30分は黙想しています。

まとめ この記事のおさらい

  • 黙想は、「黙って考えにふけること」で、武道などの稽古の前後に行われることが一般的。
  • 熟思黙想は、「精神をじっと集中して、静かに物事を考えるさま」の意味。
  • 剣道での黙想のやり方は、「正座して、目を閉じる」「深呼吸をして、心身をリラックスさせる」「稽古の目的や自分自身の課題について考える」「考え過ぎたら無心になる」です。
  • 黙想には、「ポジティブになれる」「ありのままの自分を受け止められる」などさまざまな効果があります。
  • 黙祷は、戦争や災害でなくなった人々を追悼する意味で、自分を見つめる黙想とは意味が異なります。
  • 黙想の類語は「瞑想」「黙考」「思索」「熟考」「沈思」など。
  • 黙想の英語表現は、名詞が「meditation」、動詞は「meditate」です。