IT土方とはどんな仕事内容か|年収・将来性・必要なスキルなど解説

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IT土方という言葉がネット上を賑わすことがあります。「IT」と「土方」という一見馴染みのない言葉同士が合わさっていますが、一般的な用語として浸透していないのが現状です。

そこでこの記事では、IT土方の意味や語源、その背景について取り上げます。

IT土方とはなにか

「IT土方」とは、「システムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)、カスタマーエンジニア等情報技術産業で働く労働者」の俗称です。
特に、情報技術産業の末端労働者をさしています。また、上記の中でもプログラマーをさしている場合もあります。

デジタル土方やIT土木作業員、システム屋等と表現されることもあります。

IT土方の語源

「IT土方」の語源を知る上で、まずは「土方」について確認しておくと分かりやすいです。

土木・建築業界において、発注元から直接依頼を請け負っているのが「元請け」です。元請けは大手企業やそのグループ会社が担っていることが多いといわれています。

元請けは発注元との折衝やプロジェクトの管理、後述する「下請け」のマネジメント等を担当しています。

そして元請けが請けた依頼は「下請け」に回ってきます。「下請け」はそれを更に「孫請け」に依頼します。
なお「下請け」は一社に限らず、「二次請け」や「三次請け」のように数社関わることもままあります。

この「孫請け」で働く建築作業員や土木作業員を通称して「土方」といいます。土方の元には、誰にでもできる単純作業が安価で流れてくることが多いです。

情報技術産業においてもこの構造は極めて似通っている為、「IT土方」という言葉が生まれたといわれています。

新3Kとはなにか

「新3K」とはIT土方の特徴といわれる「きつい」「帰れない」「給料が安い」等の頭文字を取ったものです。

新3Kの内訳は「厳しい」や「休日が少ない」等が充てられることもあります。

元々は肉体労働者をさす「ブルーカラー」と呼ばれる人たちの業界の特徴である「きつい」「汚い」「危険」を「3K」と表現していました。

それが派生してIT土方版の3Kなので「新3K」と呼ばれるようになったとの説が有力です。

IT土方の仕事内容

一般的な仕事内容として、システムエンジニアの場合はシステムの設計をします。またプログラマーはその設計に基づいてプログラムを作るのが仕事です。

そんな中でIT土方は、以下のような簡単な作業を担当することが多いです。

  • 別の人が用意したテストスクリプトに沿って、ひたすらボタンを押下する。
  • プログラムで使われている関数の名前を修正し、プログラムの動作に影響が出ないようにする。
  • 簡単な内容を修正し、プログラムが正常に動くようにする。

これらはプログラマーでなくともできる内容もあり、だからこそIT土方は待遇が悪いといわれているのです。

プログラマーとシステムエンジニアの違い

先述したように、プログラマーは設計に基づいてプログラムを作成します。対してシステムエンジニアは、その設計書を作成するのが仕事です。

システムエンジニアが設計を作成した上でプログラマーが稼働するという点で、特にプログラマーをIT土方ということがあります。

商流とはなにか

「商流」は「商的流通」や「取引流通」とも呼ばれ、売買によって商品等が移転していくことを意味しています。

また発注元から元請けや下請けを介して、孫請けに依頼が届くまでの流れをさす意味でも使われます。

情報技術産業の商流を理解することは、この産業の構成や待遇等を把握する上で極めて重要だといえます。

IT土方が生まれる背景

IT土方が生まれる背景として、大きく3つの要因があげられます。

情報技術産業の商流

発注元から依頼内容がIT土方に届くまでに、元請けや下請けといった会社が介在します。5社以上介するケースもあり、介する会社が増えれば増える程IT土方の手取りは減ってしまうのです。

この業界構造の中で働く限り、IT土方の待遇が劣悪になるのは必然といえます。

長時間労働

単価が安い、納期が短いこと等に起因し、IT土方は長時間労働を強いられることも珍しくありません。

そうすると特定のスキルを身につけてキャリアアップしたり、ゆっくりと転職活動に励むといったことも難しくなってきます。

その為、IT土方は現状に甘んじている人が一定数いるのです。

コスト

一般的に、正社員は派遣社員よりも雇うのにコストがかかります。また一度正社員として雇ってしまうと、簡単にクビにはしにくいものです。

そこで単純労働はコストを節約でき、また業務量にあった仕事を依頼があったその時だけ外注すれば良いと元請けは考えます。

結果、IT土方の待遇が悪くなっていくのも自明だといえます。

デスマーチとはなにか

情報技術産業には、「デスマーチ」といわれる期間があります。

「デスマーチ」とは、プロジェクトの納期が短い等の理由で多忙な日々を強いられることをさします。

システム開発はバグや不具合等で遅延することが往々にして起こりますが、仮に遅延しても納期は変動しないことが一般的です。

そうなると、残業や休日出勤等で遅延をフォローする必要があるのです。連日の終電や連勤が重なり、強制的な長時間労働の期間が発生します。

この期間のことをいわゆる「デスマーチ」と表現しています。このデスマーチを解消する為、遅延の対処方法を考えますが、よく挙げられるのが以下です。

・人員を増やす等して、人海戦術を試みる
人が増えればその分一人ひとりの負担が減るという考え方です。

・納品物の質を下げてでも納期を遵守し、一旦は提出する
納期を変更することが難しい場合、一旦提出した後に差し戻しを受けることで間接的に納期を延長しようとします。

・発注元や元請けからの叱責を覚悟で、納期の延長を打診する
窮状を訴えることで納期の延長を懇願します。最も望ましい策だと思える一方、最も現実性に乏しい案だともいえます。一旦設定された納期が覆ることは極めて稀だからです。

これらの対応策が通らなかった場合、デスマーチが発生します。一過性のものとはいえ、業界で常態化している問題として指摘されていることです。

IT土方の年収と将来性

厚生労働省の調査等によると、情報技術産業に従事する20代から30代の平均年収は413万円です。

しかし、IT土方に限った場合100万円から350万円程度といわれています。つまり、IT土方は同業種の中でも極めて劣悪な待遇で労働を強いられていると換言できます。

また、どんなに年次が上がっても450万円程度が上限です。このことから、IT土方の年収と将来性はかなり厳しいことが分かります。

だからこそ、思い切って他業種に転職したり、あるいはスキルを身につけた上で上位の仕事に移る等の脱出が必要になってきます。

業界の構造上自分を安売りせざるを得ない為、将来を見据えた脱出策を講じることが重要だといえます。

まとめ この記事のおさらい

  • IT土方とは、「システムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)、カスタマーエンジニア等情報技術産業で働く労働者」の俗称
  • IT土方の語源は、業界構造や業界内での立ち位置が土方に似通っていることに由来している
  • IT土方の仕事内容は単純作業が多く、長時間労働の割に薄給なのが特徴
  • 年収や将来性はかなり厳しく、慢性的な業界の問題点になっている
  • 将来を見据え、IT土方の脱出策を講じることが自分を守る上で重要