「大事をとって」は慎重な判断を示す表現
「大事をとって」は、物事を軽く見ず、無理をせずに慎重に対処する判断
「大事をとって休む」ってよく聞くけど、自分を大事にするって変な感じがするな。ビジネスで上司に使ってもいいんだっけ?
その疑問はもっともです。「大事をとる」は「自分」ではなく「事態」を重く見る意味なので、自己中心的ではありません。使い方のルールさえ押さえれば、非常に便利で好印象を与える表現です。
「大事をとって」の意味と語源・基本的な使い方


「大事をとって」の読み方は「だいじをとって」です。その意味は、以下の2点に集約されます。
- 無理をせず、安全・確実な方向を選択する
- 物事を軽くとらえず、深刻に・重く受け止める
この言葉は、後に続く動詞(「休む」「やめる」など)を修飾する副詞的役割を持ち、特に「後ろ向きに見える行動」を取る理由を説明する際に用いるのが特徴です。「無理をしない慎重な判断」というニュアンスをその行動に付加します。
「大事をとって」の語源は「大事をとる」という動詞です。「とる」には「そのように心がける、態度を示す」という意味があります。「大事を態度として示す」、つまり「慎重に構える」ことが元の意味です。単独の「大事をとる」は、何に対して慎重なのかが曖昧になりがちでした。「大事をとって」という形が発達し、具体的に「何を」するのかを示せるようになったことで、現在のように広く使われるようになりました。
基本特徴の整理
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 読み方 | だいじをとって | |
| 核心的な意味 | 無理をせず、重く受け止めて慎重に対処する | 軽視の対極にある考え方 |
| 文法的な役割 | 副詞(後に動詞を伴う) | 例:〜て休む、〜て見送る |
| 付与するニュアンス | 後ろ向きな行動の肯定的な理由付け | 「休む」ことが「配慮」になる |
| 語源 | 動詞「大事をとる」(慎重に構える) | 「とって」の形で具体化が容易に |
ビジネスでの使い方:自分・目下・目上への使い分け


「大事をとって」はビジネスシーン、特に体調不良やリスク回避を説明する際に多用されます。使い方を誤ると失礼にあたる可能性があるため、自分・目下・目上への使い分けを明確に理解することが肝要です。
「自己中心的」と感じる方もいますが、正しくは「事態を重く見て」の意味です。自分が取る控えめな行動の理由として、相手への配慮を示すのに適しています。
休ませる・控えさせる判断の理由として、管理者の配慮を示す言い回しです。相手を気遣う姿勢が伝わります。
「大事をとって休んでください」は、相手の行動を指示・助言する表現です。目上の人に使うと失礼に当たり、大変失礼です。代わりに「ご無理なさらないよう」「ご自愛ください」などの直接的な気遣いの言葉を使いましょう。
この言葉が修飾するのは、基本的に「休む」「見送る」「取りやめる」「延期する」「控える」など、何かを「しない」選択や積極的な行動の一時停止を表す動詞です。「大事をとって新しいプロジェクトを始める」とは一般的に言いません。リスクを避け、現状を維持する方向性の言葉と結びつく点を押さえておきましょう。
知っておきたい類語と対義語の比較
表現の幅を広げるためにも、類語と対義語を理解し、使い分けましょう。
類語:同じ「慎重さ」でもニュアンスが違う
- 念のため
-
「大丈夫だろうが、確認・準備をしておく」という意味。「大事をとって」よりも気軽で日常的な響きがあり、重大な判断よりも軽微な備えに使います。
例:予報は晴れだが、念のため折り畳み傘を持っていく。 - 万が一に備えて
-
「発生する可能性が低いが、重大な事態に備える」という意味。「大事をとって」よりもリスクの重大性を強調し、具体的な対策を伴うことが多いです。
例:震災に万が一に備えて、水と食料を備蓄する。 - 慎重を期して
-
「注意深さを十分に加える」という意味で、「大事をとって」とほぼ同義に近い改まった表現です。特に書面や公式な場面で好まれます。
例:契約前に、慎重を期して条文を再度精査する。
対義語:反対の態度・行動を表す言葉


- 軽視する:物事の重要性を低く見積もり、軽く扱う態度を指します。「大事」の対極にある直接的な概念です。
例:上司のアドバイスを軽視した結果、大きなミスを招いた。 - 無理を押して/無理やり:自分の限界や状況を顧みず、強引に行動する様子です。「無理をせず」の反対語として使えます。
例:体調は万全ではなかったが、無理を押して出場した。(「大事をとって欠場した」の反対表現)
実践で役立つ例文集と英語表現




様々な場面での例文
- 体調不良による欠勤・早退
「咳の症状が残っているため、大事をとって本日は休暇を頂戴します。」 - ビジネス上の判断(取引・提案)
「現時点では市場の動向が不透明です。リスクを考慮し、大事をとって新規計画は一旦見送ります。」 - 日常生活での使用
「足首を軽く捻挫しました。大事になる前に、大事をとってしばらく運動を控えます。」
日本語の「大事をとって」に完全に一致する単語はありませんが、以下のフレーズで「慎重を期して」「念のために」のニュアンスを伝えられます。
- just in case(最も一般的な「念のため」)
例:I’ll stay home today just in case.(大事をとって今日は家にいます。) - to be on the safe side(安全側に立って)
例:We canceled the event to be on the safe side.(大事をとってイベントを中止しました。) - to err on the side of caution(用心に誤る=慎重すぎるくらいが良い)
例:It’s better to err on the side of caution.(大事をとったほうが良い。)
「大事をとって」を使いこなすためのポイントまとめ
- 意味:無理をせず、物事を重く受け止めて慎重に行動する判断を示す。
- 使い方の鉄則:自分自身や部下・同僚に対して使用可。上司・目上の人に行動を促す形では使用禁止。
- 結びつく動詞:「休む」「控える」「見送る」など、リスク回避や行動抑制の表現。
- 類語との比較:「念のため」は軽めの備え、「万が一に備えて」は重大リスクへの準備。
- 英語表現:”just in case” や “to be on the safe side” が近い。
この言葉の真価は、単なる「休み」を「チームやプロジェクト全体への配慮」として昇華させる点にあります。ネガティブな行動をポジティブな文脈で説明できる便利な表現として、ぜひ活用してください。
「大事をとって」に関するよくある質問(FAQ)
- 「大事をとって」は自分に対して使うと自己中心的ですか?
-
いいえ。この言葉は「自分自身を大切にする」ではなく、「事態を重大と受け止めて」慎重に対処する意味です。「周囲への感染リスクを考慮して大事をとって休む」という言い回しは、むしろ周囲への配慮を示す丁寧な表現として評価されます。
- 上司に「大事をとって休んでください」と言うのはなぜダメ?
-
この表現には、相手に対して「控える」「休む」といった具体的な行動を指示・助言するニュアンスが含まれます。目上の人に行動を指示するのは失礼にあたるため、避けるべきです。代わりに「どうぞご無理なさらず」「お体をご自愛ください」など、直接的な気遣いの言葉を使いましょう。
- 「大事をとって参加する」と言えますか?
-
一般的には不自然です。「大事をとって」は、リスクを避けて行動を抑制・停止する文脈で使われます。「参加する」という積極的な行動を修飾する言葉としての相性は良くありません。何かを「する」ための慎重さを表したい場合は、「慎重に検討した上で参加する」など別の表現を選ぶのが適切です。
- 類語の「念のため」と「大事をとって」はどう使い分ける?
-
重大さの度合いで使い分けます。「念のため」は「傘を持っていく」「確認メールを送る」など、気軽な備えに使います。一方、「大事をとって」は「休む」「プロジェクトを見送る」など、結果や影響が大きい判断・行動の理由説明に使います。ビジネスの重要な判断において、「念のため」を使うと軽く聞こえることがあるので注意が必要です。





