趣向の読み方と意味 類義語・対義語・英語表現を解説

※本サイトはプロモーションを含んでいます。

この記事では「趣向」という言葉について、意味や使い方、類義語、対義語、英語表現などを解説します。

普段なんの気なしに使っていたり、話の流れに出てきても気に留めることがなかった言葉かもしれませんが、これを機会に意味や用法を理解して語彙を広げることで、社会人として成長することができるでしょう。

趣向の読み方・意味

趣向の読み方

趣向は「しゅこう」と読みます。

「趣」は音読みで「シュ」、訓読みでは「おもむ(き)」と読みます。「趣」を使った他の単語には「趣味(しゅみ)」「趣旨(しゅし)」などがあります。

「向」は音読みで「コウ」、訓読みで「む(く)」と読みます。「向」を使った他の単語には、「意向(いこう)」「傾向(けいこう)」「向背(こうはい)」などがあります。

趣向の意味

趣向には次のような意味があります。

①おもむきを出すための工夫。また、そのおもむき。
②歌舞伎・浄瑠璃で、背景となる固定した世界に対して、作品に新しい変化を与える工夫。

②の意味は歌舞伎という限られたシチュエーションで使われるものですので、この記事では①の「おもむきを出すための工夫。また、そのおもむき。」の意味での「趣向」について解説していきます。

趣向の使い方

趣向の意味は「おもむきを出すための工夫。また、そのおもむき。」ですが、もう少し噛み砕いて言うと、なにかを作ったり実行したりするときに、これまでとは違った感じや面白みを出すために、いろいろと工夫することをさして使われます。

例えば忘年会の幹事を任されたとします。「今年の忘年会は趣向を凝らしたものにしてほしい」と命じられたとしたら、忘年会は毎年決まった場所で台本通りに進行するが、今年は新しいアイディアを取り入れて今までにはない内容にしてほしいという意図が含まれています。

また、「趣向」は基本的に前向きな表現として使われます。「これまでとは趣向を変えてみた。」と言った場合は、これまでにはなかったアイディアを取り入れてよりよいものにしようという前向きな意思のあらわれです。

また、「趣向を凝らした楽しいパーティーでしたね。」のように、褒め言葉としても多く使われます。

趣向の例文

趣向は、これまでとは違った感じや面白みを出すために、いろいろと工夫することを指し、ほとんどの場合前向きな表現として使われます。よく使われる言い回しとしては、「趣向を凝らす」「趣向を変える」などがあります。次に例文をいくつか紹介します。

・今年の社員旅行はこれまでとは趣向を変えてみた。

・来月本社を訪れるロサンゼルス支店長は日本好きで有名なので、趣向を凝らしたおもてなしでお迎えすることを企画しています。

・今回の舞台は趣向を凝らした演出が随所に感じられて見ごたえがあった。

・趣向を凝らした料理の数々でもてなしを受けて大変満足した。

・これからは新しい趣向の作品にも挑戦していきたいと思っています。

・盛り付けのお皿を変えるだけでも、ずいぶんと趣向が変わったように感じるものだ。

・広告宣伝の趣向を変えたことで新しい層の顧客を呼び込むことに成功した。

趣向の類義語と例文

趣向と似たような意味を持つ言葉と例文を、次に紹介します。

「工夫(くふう)」
いろいろと考えて、よい手段を見いだすこと。また、考え出した方法・手段。
例文:家族連れにも喜んでもらえるように、飾りつけに工夫を凝らしてみた。
「捻り(ひねり)」
普通と変わってひと工夫してあること。また、変わった趣向があること。
例文:今日の講演は捻りがきいていたね。
「面白み(おもしろみ)」
面白いこと。興味。おもむき。
例文:今日の発表は面白みに欠けるところがあった。
「醍醐味(だいごみ)」
深い味わい。ほんとうのおもしろさ。
例文:思いがけない出来事に遭遇するのが目的を決めないで行く旅行の醍醐味だと僕は思う。
「興(きょう)」
心に感じる楽しさやおもしろみ。
例文:彼女の歌声は忘年会に興を添える素晴らしいものだった。
「意匠(いしょう)」
工夫をめぐらすこと。趣向。工夫。
例文:意匠を凝らしたデザインで消費者に飽きられないようにすることが必要だ。
「演出(えんしゅつ)」
特別な趣向を凝らして思い通りに事を運ぶ意。
例文:大胆な演出で参加者たちをびっくりさせた。
「アイディア」
思いつき。着想。考案。
例文:主力商品となる新商品の開発には、斬新なアイディアが欠かせない。
「発想(はっそう)」
考えを展開させたり、まとめたりして形をとらせること。
例文:彼の奇抜な発想には毎回驚かされる。
「創意工夫(そういくふう)」
独創的なアイディアを見出し、新たな方法を考え出すこと。
例文:今回の作品には創意工夫のあとがみられる。

趣向の対義語と例文

趣向という言葉自体の対義語はありませんが、「趣向を凝らす(今までのものには見られない新鮮味やおもしろみが出るようにいろいろ工夫する。)」の反対の意味を表わす表現としては、次のようなものがあります。

「つきなみ」
非常にありふれていること。平凡なこと。
例文:今日の会議ではつきなみな意見しか言えなかったので、次回は面白みのある発言ができるように下調べを頑張ろうと思う。
「変哲もない(へんてつもない)」
特に取り立てていうほどのこともない。ありふれていてつまらない。
例文:何の変哲もない店なのだが、古くから地元の人に愛され続けている名店である。

趣向と間違えやすい言葉

趣向と間違えやすい言葉に「嗜好(しこう)」があります。

読みが「しゅこう」「しこう」と似ていて話し言葉では区別がしにくいうえに、「嗜好」は「趣味嗜好」と「趣」という文字がついた単語で使われることが多いです。そのためこの「趣向」「嗜好」の2つの単語は混同してしまいがちですが、漢字も意味も違うので間違えないように注意しましょう。

趣向は「おもむきを出すための工夫。また、そのおもむき。」の意味がありますが、嗜好は「たしなみ、好み」のことをさします。

趣向の英語表現

趣向を英語で表現するには、「plan」や「design」「touch」などを使うとよいでしょう。熟語では次のような表現ができます。

・for a change
(趣向を変えて)

・for variety`s sake
(趣向を変えて)

・work out an elaborate plan
(趣向を凝らす)

趣向についてのまとめ

・「趣向」は「しゅこう」と読みます。

・「趣向」は「おもむきを出すための工夫。また、そのおもむき。」の意味があります。

・「趣向」は多くの場合、褒め言葉や前向きな表現として使われます。

・「趣向」の類義語には「工夫」「捻り」「面白み」「醍醐味」「興」などがあります。

・「趣向を凝らす」の対義語としては「つきなみ」「変哲もない」などがあります。

・「趣向」の英語表現には、「for a change(趣向を変えて)」「work out an elaborate plan(趣向を凝らす)」などがあります。