台頭の読み方と意味 類義語・対義語・英語表現を解説

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ニュースや新聞記事などで「~の台頭」という言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。台頭という言葉は同音異義語も存在するため、意味や用法をしっかり理解していないと話の意味を取り違えてしまうことにもなりかねません。

この記事では台頭の意味と使い方について解説します。類語、対義語や英語表現についても紹介していきます。

台頭の読み方・意味・語源

台頭の読み方

台頭は「たいとう」と読みます。「台」はという字は「だい」と読むことが多いですが、台頭は「だいとう」ではなく「たいとう」と読むことを覚えておきましょう。

台頭の意味

台頭には、次の2つの意味があります。

①頭をもたげること。勢力を得てくること。
②上奏文などで高貴の人に関した語を、敬意をあらわして改行し、普通の行よりも高く上に出して書くこと。

①の「頭をもたげること。勢力を得てくること。」は、それまで存在すら知られていなかった人や集団が一気に注目を集めたり、勢いを増してくるようになったりすることを表現するときに使われます。主に急成長により世間に広く存在を知られるようになった人やもの、企業をさすときによく使われる言葉です。

もともとは「頭をもたげること」の意味でしたが、頭を持ち上げるさまが勢いを増して頭角を現す様子を思わせることから、「台頭」といえば「急激に力を増して勢いにのる」ことをさして使うようになりました。

②の意味にある上奏文(じょうそうぶん)は、見聞きしたことがない人も多いと思います。「上奏」とは「意見や事情などを天皇に申し上げること。」「明治憲法下で、官庁・議院などが意見・事実を開陳し、天皇に奏聞したこと。」をいい、そのための文書が上奏文です。

現代の日常生活で、②の意味で「台頭」を使うことはほとんどありませんので、以下、この記事では①の「頭をもたげること。勢力を得てくること。」の意味で使う「台頭」について解説していきます。

台頭の語源

「台頭」の「台」は多くの場合「だい」と読み、高い土台や物を載せる台、また、見晴らしのきく高い台、台地を意味します。では、なぜ「台頭」は「たい」と読むのかを「台頭」の語源から説明していきます。

「台頭」はもともと「擡頭」と書いていました。「擡」の字はあまりなじみがありませんが、音読みでは「タイ」、訓読みでは「もた(げる)」と読み、「持ちあげる、あがる」という意味を持っています。

この「擡」に「頭」がつくことで、「頭をもたげる(持ち上げる)こと」「勢力を得てくること」を意味しました。ただ、「擡」という字は画数も多く、日常で使うにはなかなか定着しにくいものでした。そのため、簡単で似た読みを持つ「台」に置き換えられて「台頭」と表すようになったのです。

台頭の例文

「台頭」は、あるものや人、企業などが急激に勢いを増して目が離せない存在になったり、その業界やジャンルにおいて中心となっていきそうなときに使います。次に例文をいくつか紹介します。

  • スマートフォンの台頭により、デジタルカメラ業界は大きな転換期を向かえることとなりました。
  • 世界経済における中国の台頭は、日本を含むアジア諸国に大きな影響を与える可能性を秘めています。
  • 若い選手が台頭し、今日の試合は新旧が入れ替わるスリリングな展開となりました。
  • 鎌倉時代には、天皇を中心とする大和朝廷に替わり武士が台頭するようになりました。
  • 息子の台頭をまのあたりにして、世代交代の日も近いと感じた。
  • 制裁下の北朝鮮で「ヤクザ勢力」が台頭…警察と癒着、利権握る(Yahoo!ニュースより)

台頭の類義語と例文

「台頭」と似たような意味を持つ言葉と例文を、次に紹介します。

頭角を現す(とうかくをあらわす)
学識・才能が人よりめだって優れ、際立って目立つようになることで、人や団体に対して使います。

例文
彼はリーダーになったとたんに頭角を現した。

 

のし上がる(のしあがる)
他を差し置く勢いで高い地位に登り詰めるさまを表わす言葉です。

例文
デビューして1年足らずで、一気にスターの座にのし上がった。

 

抜きん出る(ぬきんでる)
人並みはずれて優れている、秀でているさまを指します。

例文
彼の抜きんでた才能は、会社の期待の的になっている。

 

急成長(きゅうせいちょう)
短い期間において著しく発達・発展、あるいは上達するようなさまを指します。

例文
AIの急成長で我々の暮らしは変わりつつある。

 

躍り出る(おどりでる)
はなやかに人前に姿をあらわすこと。目立った場所・地位に立つことを表わします。

例文
彼がトップに躍り出たことにより、営業部の士気が高まった。

 

急伸(きゅうしん)
売り上げ・利益・業績などが急に伸びることを指します。

例文
販促を見直して広告を打ったことで、今期は売り上げが急伸した。

台頭の対義語と例文

「台頭」と反対の意味を持つ言葉と例文を、次に紹介します。

衰退(衰えて勢いを失うこと)

例文
大型ショッピングモールができたことにより、個人商店は衰退の一途をたどっている。

 

下り坂(くだりざか)
物事の盛りが過ぎて衰えてゆくさまを表わします。

例文
ストリーミングの発達により、音楽CDの売り上げは下り坂だ。

 

凋落(ちょうらく)
おちぶれること、衰えることを指す表現です。

例文
不正が発覚し、A社は凋落していった。

 

急降下(急降下)
数値などが急激に下がることをいいます。

例文
B社の株価が急降下した。

 

退廃(たいはい)
衰えすたれることをいいます。「退廃的」の言い回しでもよく使います。

例文
仕事を辞めてからというもの、彼は退廃的な生活を送っているようだ。

 

減退(げんたい)
減り衰えること。減って少なくなることを指します。

例文
給料アップの交渉がうまくいかなかったので、仕事のやる気が減退してしまった。

 

下向き(したむき)
ものごとが衰え始めるさまを表わします。

例文
消費税の増税により景気が下向きになりつつある。

台頭の英語表現

「台頭」の英語表現には、次のようなものがあります。

・rise
「rise」は動詞としても使われ、元々は「(高さが)上がる」「(太陽などが)出る・昇る」といった意味があります。名詞として「物事の始まり」や「進歩」をあらわす際にも使われます。

I feel like the next generation is rising.
(次世代の台頭を感じます。)

・emergence
「emergence」は「出現」を意味する名詞で、「勢力を増してきたものが現れる」というニュアンスで使うことが出来ます。

We can see the emergence of wonderful technologies.
(素晴らしい技術の台頭を目にすることが出来ます。)

台頭についてのまとめ

  • 台頭は「たいとう」と読みます。
  • 台頭は「頭をもたげること。勢力を得てくること」の意味があり、急成長により世間に広く存在を知られるようになった人やもの、企業をさすときによく使われる言葉です。
  • 台頭の語源は「擡頭」で、「持ちあげる、あがる」の意味の「擡」と「頭」が合わさった単語です。のちに「台頭」と書かれるようになりました。
  • 台頭の類義語には、「頭角を現す」「のし上がる」「急成長」「躍り出る」などがあります。
  • 台頭対義語には「衰退」「下り坂」「凋落」「退廃」などがあります。
  • 台頭を英語で表現するには、「rise」「emergence」を使うとよいでしょう。