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イノベーションは、企業の戦略としてなくてはならないものです。特に近年のビジネスシーンでは、破壊的イノベーションについて語られることが少なくありません。
この記事では、破壊的イノベーションについて解説します。破壊的イノベーションの種類や事例、破壊的イノベーションによる影響、破壊的イノベーションを起こすための考え方などを知ることができます。
イノベーションは新たな価値を創造すること
「イノベーション」の語源は、英語で「変革する」「刷新する」という意味の動詞「innovate」の名詞形「innovation」からきています。
イノベーションはビジネスにおいて、既存のモデルから飛躍し、新規モデルへと移行することを意味し、日本では技術革新の意味で用いられることが多いです。
しかし、本来は技術革新だけに留まらない広義なものであり、従来のモノ、しくみ、組織などを改革して社会的に意義のある新たな価値を創造し、社会に大きな変化をもたらす活動全般をさす概念です。
破壊的イノベーションは業界構造を劇的に変化させること
破壊的イノベーションは、米ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・M・クリステンセン教授が提唱したイノベーションモデルのひとつです。
破壊的イノベーションは既存事業の秩序を破壊し、業界構造を劇的に変化させる画期的なイノベーションのことをいいます。
1997年にクリステンセンが発表した、『イノベーションのジレンマ』で、破壊的イノベーションは提唱されています。
破壊的イノベーションには以下の2種類のモデルがあります。
一つ目は、市場に出ている製品よりも、低機能、低価格でユーザビリティを優先した商品を提供することでローエンド層を獲得し、改良を繰り返しハイエンド層を取り込んでいく手法のイノベーション。
破壊的技術を用いて、それまで市場になかった新しい価値を提供することでシェアを獲得するイノベーションです。
2種類の破壊的イノベーションの内容
ローエンド型破壊的イノベーション
ローエンド型の破壊的イノベーションは、低価格、低機能でシンプルな商品を実現し市場に投入することでローエンド層を支配するイノベーションです。
ローエンド層を獲得しながら改良を重ね、ハイエンド層のニーズを満たすまでになり、大企業のシェアを奪っていく手法です。
ローエンド型イノベーションの例としては、LCC(格安航空会社)があげられます。
LCCが登場するまでは、機内食やCAによるサービスを売りにして差別化を図っていましたが、最低限のサービスを低価格で提供するLCCがイノベーションを起こしました。
もう一つの例として、回転寿司もローエンド型イノベーションです。回転寿司は、ネタの品質と職人の腕で高価格で勝負していた寿司業界に、低価格と最低限のサービスでイノベーションを起こしました。
新市場型破壊的イノベーション
新市場型イノベーションは、技術革新により生み出した製品やサービスを、新しい価値基準のもとで、まったく新しい市場に投入する破壊的イノベーションです。
ローエンド型は価格で顧客を引き付けシェアを獲得する手法ですが、新市場型は「新しい価値」でシェアを獲得します。
新市場型イノベーションの例としてはウォークマンなどの携帯型音楽プレイヤーがあげられます。
音楽はステレオなどの装置のある場所で聴くものでしたが、外出先や移動中にいつでもどこでも音楽が聴ける「音楽を持ち歩く」という新しい価値で、新市場を作り出しました。
ローエンド型と新市場型ははっきりと区別できるものではなく、破壊的イノベーションには2種類のタイプが組み合わさったものが多くみられます。
携帯型音楽プレーヤーを新市場型の例として紹介しましたが、ステレオに比べ音質が劣化するのは否めないことや、価格が抑えられている点ではローエンド型ともいえるでしょう。
破壊的イノベーションと対極の持続的イノベーション
破壊的イノベーションの対極にあるのが持続的イノベーションです。
持続的イノベーションは、価値を向上するイノベーションです。顧客の要望を取り入れ、より価値の高いものへと改良を重ね、付加価値をつけていくイノベーションで、大企業や優良企業が得意としています。
しかし持続時イノベーションは、イノベーションのジレンマを引き起こしてしまうという問題があります。
イノベーションのジレンマは成功した企業に起こりうる失敗
イノベーションのジレンマとは、業界トップになった企業が顧客の意見に耳を傾け、さらに高品質の製品サービスを提供することがイノベーションに立ち後れ、失敗を招くという考え方です。
成功した企業が顧客の要望を満たそうとするあまりに、顧客が求めるレベルを追い越してしまい、過剰なスペックの製品を生み出してしまう「オーバーシューティング(過剰解決)」の状態を引き起こしてしまうことです。
破壊的イノベーションで、ユーザビリティに優れた新しい価値を持つ商品が投入されれば、顧客の興味を奪われてしまいます。
破壊的イノベーションによる影響
破壊的イノベーションが市場や企業に与える影響には、以下のものがあげられます。
影響①:爆発的な利益を生み出す
破壊的イノベーションは、現代までとは違う画期的な考え方で新しい商品を市場に投入し、あっという間にシェアを獲得し爆発的な利益をもたらします。
影響②:大企業の市場からの脱落
破壊的イノベーションは、大企業の主力事業のシェアを奪う可能性が大いにあります。
持続的イノベーションにコストを費やしてきた大企業にとって、破壊的イノベーションは脅威です。
影響③:雇用の損失
破壊的イノベーションにより市場が変化すると、雇用も変化していき、主力事業からの撤退を余儀なくされれば、従来必要とされていた人手がいらなくなります。
近年よく話題にあがるAI(人工知能)により、人が行っていた仕事がロボットに置き換えられることによる雇用の損失も、破壊的イノベーションの影響でしょう。
破壊的イノベーションの起こすにはなにが必要か
無消費を探す
無消費を探し、解決することが破壊的イノベーションを起こすことにつながります。
クリステンセンは、新市場型の破壊的イノベーションを「無消費」に対抗するイノベーションといっています。
無消費とはなにかの制約によって製品やサービスが使われていない状態のことで、制約には「スキル」「資力」「アクセス」「時間」の4つがあります。
上記の4つを解決する観点で市場をみる事で、破壊的イノベーションを起こす道が見えるでしょう。
オーバーシューティングのサービスを探す
無消費を解決していくことが破壊的イノベーションにつながります。しかし、オーバーシューティング(過剰解決)の製品やサービスを探して、ローエンド型の破壊的イノベーションを目指す方法もあります。
破壊的イノベーションは独立した別組織に任せる
既存顧客の満足度をあげるために持続的イノベーションを繰り返してきた人たちにとっては、破壊的イノベーションは自分たちが今までしてきたことを破壊することにつながります。
従来とは全く別の観点で物事を進めることが重要なため、決裁も迅速に行われる必要があります。破壊的イノベーションは、考え方もやり方も従来の方法にとらわれない、独立した組織に任せるのが得策です。
破壊的イノベーションについてのまとめ
- 破壊的イノベーションとは、業界構造を劇的に変化させる画期的なイノベーションのことで、クレイトン・M・クリステンセン教授が提唱したものです。
- 破壊的イノベーションには、ローエンド型と新市場型の2種類があります。
- 従来の、製品価値を高める持続的イノベーションは、イノベーションのジレンマを引き起こす可能性があります。
- 破壊的イノベーションは爆発的な利益を生み出す反面、大企業の市場からの脱落や雇用の損失などの影響を及ぼします。
- 破壊的イノベーションを起こすには、無消費を解決することやオーバーシューティングの製品・サービスを探すことが始まりです。