定期的に行なわれる人事評価制度が嫌いな人は少なくありません。そもそも、なぜ人事評価を行なわなければいけないのか疑問に思っている人もいるでしょう。

この記事では人事評価制度とはなにかや、ノーレイティングとはなにかを解説します。

人事評価制度ってなに?

人事評価制度とは、対象社員の「情意(働く意欲や行動)」「業績(貢献度)」「能力(成長度)」の3つを評価して昇格・昇給、賞与、人事異動に反映させる制度です。

人事評価を行なう目的には以下の3つがあります。

人事評価を行なう目的
・企業の経営方針を社員へ明示する
・評価結果を昇格や昇給へつなげることで社員のモチベーションをアップさせる
・適材適所の実現

人事評価には、社員1人1人の目標や、業績を企業の方向性とすり合わせることで、社員の意識を統一する狙いがあります。

日頃の頑張りを認めてもらったうえで昇給や賞与に繋がると、社員のモチベーションが上がり、「もっと頑張ろう」と業務に取り組んでもらえるでしょう。

評価をするのと同時に、業績・能力を活かせるポジションへ異動を検討する機会にもなるのが人事評価制度です。

日本企業が採用している人事評価6種類

ここで日本企業が採用している人事評価方法を解説します。

自分が経験している評価方法以外にどのような評価方法があるのか、どのような特徴があるのか知って置くことが大切です。

日本で採用されている評価制度の特徴

一定のサイクルで実施されている
日本の評価制度では、四半期・半年・1年毎のように、一定のサイクルで評価を実施している企業が多い事が特徴です。

サイクルが長いほど、記憶を遡るのが難しくなるため社員の負担になり、記憶が曖昧だと記憶が鮮明な直近の行動で評価されやすくなります。

日本で採用されている評価制度は、下記のような制度の設計ミスが原因で評価が曖昧になりやすいという特徴があります。
評価が曖昧になりやすい原因
・評価基準自体が曖昧。
・社員が評価方法を理解していない。
・上司との相性で評価が決まる。
・評価結果だけを対象者に伝えて「どこがいけなかったのか」「どうすればよかったのか」というフィードバックがない。
・相対評価を行なっている場合、同じ評価の人が設定人数以上いると理由もなく下のランクに落とされてしまう。

日本の企業で実施されている6つの人事評価

1.業績・能力・情意評価
勤務態度、仕事への意欲や行動、業績目標と達成度、業務上で求められる知識やスキルを企業が定めたルールで評価をする方法です。
2.成長度評価
個人の成長を促すための評価制度です。個人の成長を重視したうえで制度を設計して評価時には成長に繋げる評価とフィードバックを行ないます。
3.MBO目標管理制度
ピーター・ドラッカーが1954年に提唱した考え方です。
個人またはチームで目標を設定して達成度で評価を決めます。
企業の目的と個人の目標の方向性をすり合わせて企業と個人の方向性を一致させることで組織への貢献度意識を高めます。
4.コンピテンシー評価
業績をあげている人をモデルに行動特性を目標設定して評価する方法です。
コンピテンシー評価では数値化できる業績目標だけではなく行動指針を立てて評価することが可能です。
行動指針を立てることで業績達成に向けてどのような行動をすればいいのかわかり、人材育成へ繋げることができます。
5.バリュー評価
企業の行動指針(バリュー)に合わせた評価軸を設定して評価を行ないます。
ヤフー株式会社で「ヤフー・バリュー」を社員の意識に植え付けるための評価方法として取り入れられたことで知名度が上がった評価方法です。
6. 360度評価
公平性や客観的な評価を受けることを目的で、対象者を360度方向から評価する制度です。

上司・同僚・部下・他部署の社員といったあらゆる方向からヒアリングや評価シートへの記入を行ないます。

評価者トレーニングを受けていない人からの評価が含まれるため、他の評価制度と組み合わせて行なわれるケースが多くあります。

人事評価をモチベーションアップに繋げる方法

人事評価を作る人事の立場に立ったとき、社員のモチベーションをアップさせるための人事評価制度にするための4つの方法は以下の通りです。

数値化・明文化した目標を立てる

社員が立てた目標で数値化できるものは数値化し、数値化できないものは箇条書きなどで具体的な内容を文章で書きます。

評価結果では数値や業績だけではなく、プロセスもフォーカスしてフィードバックをしましょう。

評価サイクルを短期間に設定する

日本企業では四半期・半年・1年というサイクルが多いですが、長くなると評価者の負担が大きくなります。

評価対象者も目標を忘れていることがあり、目標の意味がなくなることもあるでしょう。

評価サイクルを短くすると目標と業務遂行の方向を合わせることができ、評価者の負担を減らすことにも繋がります。

絶対評価を採用して社員のモチベーションを上げる

ランクにより人数が決まっている相対評価ではなく、頑張った分だけ良い評価を得られる相対評価を採用すると、社員のモチベーションアップに繋がります。

管理職は管理業務に専念させる

上司が自分の業務で手一杯で、会議や打ち合わせで席にいないと社員とコミュニケーションが取れません、おおよその業務がわかっていても細かい業務まで理解できなかったり、社員が持っている業務スキルを把握できなかったりします。

上司は管理業務に専念をして社員1人1人の進捗状況を把握して、適時フォローやアドバイスを行なう事が大切です。

欧米のノーレイティングを採用する

欧米ではスピーディーなビジネス環境の変化や多様な人材採用や、マネジメント手法の変化に伴って評価サイクルを廃止したノーレイティングが採用されています。

ノーレイティングでは週に1回、上司と1対1の面談を実施してリアルタイムでフィードバックを行なう1on1ミーティングによりフィードバックを蓄積して評価結果を出します。

綿密なコミュニケーションを行ない、対象者が納得したうえで業務に臨めるため離職率低下にも繋がるでしょう。

しかし、従来人事部が最終決定していた昇格・昇給システムが使用できなくなり直属の上司に昇格・昇給などの権限委譲を行なわなければいけないことから、大幅な人事制度改革が必要です。

人事評価制度についてのまとめ

  • 人事評価制度は「情意」「業績」「能力」の3つを評価します。
  • 人事評価制度では経営方針の明示、モチベーションアップ、適材適所の実現を目的に行ないます。
  • 日本の評価制度には一定のサイクルで実施され、評価が曖昧になりやすい特徴があります。
  • 日本企業で採用されている人事評価制度は主に6つあります。
  • 社員のモチベーションアップを図る人事評価を行なうには評価サイクルを短くして、数値化・明文化した目標を立て絶対評価で実施し、管理職は管理業務に専念します。
  • 欧米ではノーレイティングが採用されています。