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現代では、長時間労働による過労死が問題になることが多く、労働時間が過剰に長いブラック企業も少なくありません。
しかし、2018年6月には働き方改革関連法案が可決し、労働時間に関する制度の見直しが行われます。
この記事では、労働時間の定義と日本の平均労働時間の現状や、ここ数年の傾向、世界各国との平均労働時間の比較などを解説します。
そもそも労働時間とはなにか?
平均労働時間について考えるにあたり、労働時間の定義をわかっておく必要があります。
労働時間とは指揮命令下に置かれている時間
労働時間とは、労働者が使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間のことです。一般的に、下記のような時間は労働時間に含まれます。
手待ち時間とは、従業員がなにもしていない状態ではあるものの、なにかあったときにはいつでも対応出来るように待機している時間のことで、主に以下のような時間があげられます。・店員がお店でお客さまを待っている時間。
・運送業などの運転者が、貨物の積込や積卸のために待機している時間。
・ビル管理や警備業務中の仮眠時間(突発的な事態への対応が義務付けられている場合)。
制服や作業着などの着用を義務付けられている場合や、事務所内で指定の衣服に着替える時間は労働時間とみなされます。会社から指定されていない場合(本人の都合でカジュアルな服で通勤し、職場についてからスーツに着替えるなど。)は、労働時間とはみなされません。
昼食中でも、電話がかかってきたリお客さまがきたら応対することを義務付けられている場合は、労働時間とみなされます。
研修や社員旅行などの行事は、参加が義務付けれらている場合、出席しないことが給与や賞与の査定に影響する場合などは、労働時間として認められることが多いです。
労働時間にならないもの
下記のものは労働時間には含まれません。
従業員が使用者(会社)の指揮命令下から解放されて自由に過ごすことができる時間が休憩時間です。会社内で過ごしたとしても労働時間には含まれません。
通勤時間は個々人が本を読んだりゲームをしたり自由に使える時間です。そのため労働時間には含まれません。
自宅から客先に直行、また客先から自宅に直帰する移動時間は労働時間とみなされないのが一般的です。通勤時間と同じように、自分の好きなことをして過ごすことができる時間であるためです。
法定労働時間とは労働時間の限度
法定労働時間は、労働基準法で定められている労働時間の限度です。原則として1週で40時間、1日に8時間ほどです。
上記の限度を超える場合は、36協定の提出と割増賃金の支払いが必要です。
働き方改革関連法案で残業時間の上限ができる
2018年6月に可決した働き方改革関連法案では、残業時間の上限が下記のように定められました。
法律上は、残業時間の上限がありません(行政指導のみ)。
法律で残業時間の上限を定め、上限を超える残業はできなくなります。
残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間で、臨時的な特別の事情がなければ超えることはできません。(月45時間は、1日当たり2時間程度の残業に相当します。)
臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、以下の残業時間を超えることはできません。
・年720時間以内
・複数月平均80時間以内(休日労働を含む)
・月100時間未満(休日労働を含む)
月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までです。
日本の平均労働時間は1,972時間ほど
一般労働者の総実労働時間は、過去3年間のあいだに、全体で1,996時間(2015年)、1,981時間(2016年)、1,972時間(2017年)と、減少傾向にあります。
条件別にどんな傾向があるかをみてみると、従業員数別では、各年ともに従業員5,000人以上の企業において総実労働時間が短くなっています。
女性比率でみてみると、女性比率の高い上位100社の総実労働時間は、各年において全体平均より短く、減少傾向にあります。
全体の労働時間は減っているという結果ですが、条件別にみてみると、全ての企業で減少傾向にあるわけではないことがわかります。
日本と世界の平均労働時間の比較
日本の2017年の平均労働時間は、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、年間1,710時間で世界主要国の中では22位という結果です。(雇用者、給与所得者、自営業者を含む全就業者を対象にしているため、前章と値が違っています。)
平均労働時間が一番長いのはメキシコの2,257時間で、アジアでは韓国の2,024時間(全体で3位)です。
日本は労働時間が長いという印象がありますが、この結果をみると世界一長いという訳ではないことがわかります。
しかし、日本ではサービス残業が問題視されていることもあり、実際に働いている時間が測られていない部分も少なくないでしょう。
平均労働時間についてのまとめ
- 労働時間には、手待ち時間(客待ちなどの待機時間)、着替え時間、電話番、参加が強制されている研修や社内行事なども含まれます。休憩時間、通勤時間、営業先へ直行する移動時間などは労働時間に含みません。
- 法定労働時間は、労働基準法で定められている労働時間の限度です。原則として1週で40時間11日に8時間です。これを超える場合は、36協定(サブロク協定)の提出と割増賃金の支払いが必要です。
- 働き方改革関連法案で、残業の上限が法律で定められました。
- 日本の一般労働者の平均労働時間は減少傾向にあります(日本経団連調査)。規模の大きい企業のほうが小規模企業にくらべて減少が顕著で、女性比率の高い企業は全体平均より労働時間が短く、減少傾向があります。
- 日本の平均労働時間は世界主要国のなかで22位という結果があります(OECDの調査)。一番長いのはメキシコの2,257時間で、アジアでは韓国の2,024時間(全体で3位)です。